ひな祭りの俳句 100選 -雛・ひいな-

吊るし雛と段飾り

ひな祭りは「桃の節句」ともいわれるように、桃の花がよく似合うような美しい行事です。

俳句においても単に「雛」だけでなく、「雛段」「雛飾り」「雛の燭」「雛の宿」「紙雛」など様々なものが詠まれています。

このページには、ひな祭りに関する風物が詠まれた俳句の中から 100句を選びました。ひな祭りの少し春めいた雰囲気が感じられるものばかりですので、どうかじっくりと鑑賞してみて下さい。

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目次

ひな祭りの俳句 100選

桜餅と白酒

「雛」「女雛(めびな)」「雛段」などが詠み込まれた俳句を集め、句の文字の五十音順に並べました。

俳句において、これらは春の季語として扱われます。

なお、「雛(ひな)」は「ひいな」と 3音にして使われることも多くみられます。

 

淡雪や 女雛は袂 うち重ね

【作者】臼田亞浪(うすだ あろう)

【補足】(たもと)とは、和服の袖の下の袋状の部分をいいます。

 

衣裳持 なりしひひなの 衣桁かな

【作者】後藤夜半(ごとう やはん)

【補足】衣桁(いこう)とは、着物などを掛けて家具のことです。

 

一塊の 雪もなくなり 雛あられ

【作者】阿部みどり女(あべ みどりじょ)

 

一対の 雛一対の 雛の燭

【作者】後藤夜半

【補足】(しょく)とは、照明としてともす火(=灯火、燈火)、あかりのことです。

 

いとほしや 髪そゝくれて 古雛

【作者】高橋淡路女(たかはし あわじじょ)

【補足】「そそくれて」は「ほつれて、乱れて」という意味です。

 

今は酔ひて 耳の遠さよ お白酒

【作者】阿波野青畝(あわの せいほ)

 

謡ひやめ 雛の客を 迎へけり

【作者】高浜虚子(たかはま きょし)

 

うつむきて 瓔珞重し わがひひな

【作者】及川 貞(おいかわ てい)

【補足】瓔珞(ようらく)とは、宝石などを連ねて編み、仏像などの首や胸などに掛けた飾り物のことです。

 

うら若き 妻いとほしみ 残雛

【作者】会津八一(あいづ やいち)

 

襟元に 風の小寒き 雛流す

【作者】鈴木真砂女(すずき まさごじょ)

 

老いてこそ なほなつかしや 雛飾る

【作者】及川 貞

 

老もまた 貰ひ溜りし 雛飾る

【作者】後藤夜半

 

老いゆくは 淋しきものよ 雛祭

【作者】高浜年尾(たかはま としお)

 

大方は 雛人形の 箱と見し

【作者】桂 信子(かつら のぶこ)

 

おくれ雛 まぶたに重き 恙かな

【作者】阿部みどり女

【補足】(つつが)とは、病気や災難などを意味する言葉です。

雛人形と雪洞

 

御雛を しやぶりたがりて 這子哉

【作者】小林一茶(こばやし いっさ)

【補足】「這子哉」の読み方は「はうこ(子)かな」です。

 

貝の雛 貝閉ぢ合はせ 逢瀬とす

【作者】後藤夜半

【補足】逢瀬(おうせ)とは、男女がひそかに会うことをいいます。

 

紙雛 さみしきかほを 並べけり

【作者】三橋鷹女(みつはし たかじょ)

 

漢字ひとつ ふたつ忘れて 雛飾る

【作者】仙田洋子(せんだ ようこ)

 

かんばせの ひびのかなしき 雛かな

【作者】野村喜舟(のむら きしゅう)

【補足】「かんばせ」とは「顔つき、顔の色」のことです。

 

冠を 正しまゐらす 雛かな

【作者】野村喜舟

【補足】「冠」の読み方は「かんむり(=かぶりもの)」です。

 

君に似よ 我に似よとて 雛まつり

【作者】会津八一

 

草の戸も 住み替はる世ぞ 雛の家

【作者】松尾芭蕉(まつお ばしょう)

 

消し遊ぶ ひひなの影を つつむ影

【作者】山口青邨(やまぐち せいそん)

 

格子より のぞく雛の間 昼行灯

【作者】山口青邨

【補足】「行灯」の読み方は「あんどん」です。

 

紅梅の 宿にもどれば 雛の客

【作者】中 勘助(なか かんすけ)

 

さしあたり 雛の調度を 並べみん

【作者】高澤良一(たかざわ よしかず)

【補足】調度(ちょうど)とは、日常で使う身のまわりの道具類のことです。

 

皿沈む 水のあかるさ 雛の家

【作者】井上 雪(いのうえ ゆき)

 

時世には つれぬひゝなの 姿哉

【作者】正岡子規(まさおか しき)

 

偲ぶ人あり雛流す 心はも

【作者】稲畑汀子(いなはた ていこ)

【補足】「偲ぶ」の読み方は「しのぶ」です。

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笏もちて 面かくるゝ 雛かな

【作者】高野素十(たかの すじゅう)

【補足】笏(しゃく)とは、束帯(そくたい=平安時代以降の天皇や公家の正装)の時に右手に持つ細長く薄い板のことです。「面」の読み方は「おもて(=顔)」です。

 

少年の こちらむきたる 雛あそび

【作者】後藤夜半

 

燭台の 倒れ易さよ 雛かざる

【作者】高浜年尾

【補足】燭台(しょくだい)とは、ろうそくを立てるのに使う台のことで、照明用も道具です。

 

白酒に さざめくといふ ことのあり

【作者】後藤夜半

 

白酒の 酔やひゝなに 恨あり

【作者】正岡子規

【補足】「恨」の読み方は「うらみ」です。

 

白酒や 玉の杯 一つづつ

【作者】村上鬼城(むらかみ きじょう)

 

捨雛に 薄日かげろふ 山鴉

【作者】木村蕪城(きむら ぶじょう)

【補足】捨雛(すてびな)とは、川などに雛を流す「流し雛」のことです。

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だいがさを かたげて老いし 雛かな

【作者】久保田万太郎(くぼた まんたろう)

【補足】だいがさ(台笠、台傘)とは、雛人形の仕丁(しちょう=従者)が持っている道具で、頭にかぶる丸い笠です。

 

たわやめの あえかに酔ひぬ お白酒

【作者】日野草城(ひの そうじょう)

【ほそく】たわやめ(手弱女:たおやめ)とは、やさしい女性のことです。「あえか」は、弱々しく頼りない様子を表現する言葉です。

 

端然と 恋をしてゐる 雛かな

【作者】夏目漱石(なつめ そうせき)

【補足】「端然(たんぜん)」とは、姿などが乱れを見せずに整っている様子を表現する言葉です。

 

手にうけて 雪よりかるし 雛あられ

【作者】久保田万太郎

 

手渡しに 子の手こぼるる 雛あられ

【作者】中村汀女(なかむら ていじょ)

 

天平に つながる雛に 雪の翳

【作者】阿部みどり女

【補足】天平(てんぴょう)は奈良時代の元号(げんごう)で、729年から749年までの期間です。「翳」の読み方は「かげ」です。

 

とぼしらの 明治の雛 飾りけり

【作者】山口青邨

【補足】「とぼしら」は、数が足りないことを表現する言葉です。

 

灯し置く 雛の一と間の 広すぎし

【作者】長谷川かな女(はせがわ かなじょ)

灯された雪洞と雛人形

 

永き日の 夜をながくし 雛祭

【作者】森 澄雄(もり すみお)

 

流し雛 かやとまみえし 雛の絵馬

【作者】後藤夜半

 

流し雛 とは言へ古りて なほ飾る

【作者】及川 貞

 

後の雛 うしろ姿ぞ 見られける

【作者】泉 鏡花(いずみ きょうか)

【補足】「後の雛(のちのひな)」とは、旧暦の 9月9日(重陽の節句)または 8月1日(八月朔日)に雛人形を飾るという、江戸時代の習慣です。

 

函を出て より添ふ雛の 御契り

【作者】杉田久女(すぎた ひさじょ)

【補足】「函」「御契り」の読み方は、それぞれ「はこ(=箱)」「おんちぎり(=約束、縁)」です。

 

箱を出る 顔わすれめや 雛二対

【作者】与謝蕪村(よさ ぶそん)

【補足】この句は、芥川龍之介の短編小説『雛』の冒頭に掲げられています。

 

はなさけり 古きを祝ふ 雛の宿

【作者】松岡青蘿(まつおか せいら)

 

母の雛 最も古りて 清くあり

【作者】原 石鼎(はら せきてい)

美しい女雛

 

菱餅や 雛なき宿も なつかしき

【作者】小林一茶

 

人の世の 月日を惜しむ 雛かな

【作者】吉武月二郎(よしたけ つきじろう)

 

人は寝て 雛がはやしの 太鼓哉

【作者】正岡子規

【補足】はやし(囃子)とは、拍子をとり、気分を出すために添える音楽のことです。

 

独りごちつゝ置きゆける 雛道具

【作者】高澤良一

 

雛遊び 都の宿ぞ 思はるゝ

【作者】正岡子規

 

雛あられ 母屋の雛も まだ見ずに

【作者】長谷川かな女

【補足】「母屋」の読み方は「おもや」です。

 

雛あられ 昼も闌けしと 思ふかな

【作者】後藤夜半

【補足】「闌けし」の読み方は「けし」です。

 

雛市に 見とれて母に おくれがち

【作者】杉田久女

 

雛飾り 美しき石も 飾りたり

【作者】山口青邨

 

雛かざる なかに髪結 来りけり

【作者】久保田万太郎

【補足】「髪結」の読み方は「かみゆい」です。

 

雛飾る 暇はあれど 移るべく

【作者】中村汀女

 

雛菓子の 金米糖の 今むかし

【作者】富安風生(とみやす ふうせい)

【補足】金米糖(こんぺいとう)とは、表面にとげとげがある小粒の砂糖菓子の名前です。

 

雛壇に 美しかりし 夕日かな

【作者】星野立子(ほしの たつこ)

 

雛段に 木の菱餅の 重ねられ

【作者】山口誓子(やまぐち せいし)

 

雛壇に すがりまどろむ 男かな

【作者】原 石鼎

【補足】「まどろむ」とは、とろとろと眠ることをいいます。

 

雛段に 炊きたての飯 奉る

【作者】山口誓子

【補足】「奉る(たてまつる)」とは、「差し上げる、献上する」という意味です。

雛段の雛道具

 

雛段の 高きへ登る 紅き階

【作者】山口誓子

 

雛壇や 鳶のながし目 過ぐるあり

【作者】波多野爽波(はたの そうは) 

【補足】「鳶」の読み方は「とび」です。

 

雛段や 平家は好ましかりけらし

【作者】平畑静塔(ひらはた せいとう)

 

雛流し 沖に白浪 立つが見ゆ

【作者】細見綾子(ほそみ あやこ)

 

雛の客 言はぬが花の 名をきかれ

【作者】平畑静塔

 

雛の燭 かたみに揺れて しづもりぬ

【作者】水原秋桜子(みずはら しゅうおうし)

【補足】(しょく)とは、照明用にともす火、あかりのことです。

 

雛の灯に 酢貝浮かして 遊びけり

【作者】長谷川かな女

 

雛の日の 哀愁いつの 年よりか

【作者】桂 信子

 

雛の日の 都うづめし 深雪かな

【作者】鈴木花蓑(すずき はなみの)

【補足】「深雪」の読み方は「みゆき(雪の美称)」です。

 

雛の日や 海はかたぶき 砂に沁み

【作者】永田耕衣(ながた こうい)

 

雛の間に 隣りひつそり 家族の間

【作者】右城暮石(うしろ くれいし)

 

雛の間や 色紙張りまぜ 廣襖

【作者】杉田久女

【補足】「廣」は「広」の旧字体です。

 

雛の眼の 遠い空見て おはすなり

【作者】臼田亜浪

【補足】「おはすなり」は「おいでになる、いらっしゃる」という意味です。

 

雛の餅 きのふは帰る 雁を見て

【作者】百合山羽公(ゆりやま うこう)

 

雛見世の 灯を引ころや 春の雨

【作者】与謝蕪村

 

ひひなよりは 大きくなりぬ 桃咲けり

【作者】内田百間(うちだ ひゃっけん)

ピンク色の桃の花

 

ひん~と 鳴るものも有 雛あそび

【作者】森川許六(もりかわ きょりく)

 

まなじりの 紅若やかに 今年雛

【作者】高橋淡路女

【補足】「まなじり(眦)」とは「めじり(目尻)」のことです。

 

自らを 辞す雛の間の 影法師

【作者】平畑静塔

 

みなあらた 産家に隣る 雛かざり

【作者】加舎白雄(かや しらお)

【補足】産家(さんか)とは、産科を職業とする家のことです。

 

みなし子の ひとりで遊ぶ 雛哉

【作者】正岡子規

 

みよしのゝ 里にも桃の 節句かな

【作者】桜井梅室(さくらい ばいしつ)

【補足】「みよしの」は、吉野(地方)の雅称(がしょう:風雅な呼び方)です。

 

ものいはゞ うしといふらん 箱の雛

【作者】松岡青蘿

【補足】「うし(憂し)」には「つらい」「切ない」「嫌だ」などの意味があります。

 

桃さくら 其奥床し 夜の雛

【作者】松岡青蘿

 

桃に早き 雛かざる世を 惜みけり

【作者】尾崎迷堂(おざき めいどう)

 

桃の日の ふと華やぎて 書く便り

【作者】稲畑汀子

【補足】「華やぎて」の読み方は「はなやぎて」です。

 

桃の日や 蟹は美人に 笑るゝ

【作者】服部嵐雪(はっとり らんせつ)

 

病み臥しの 身に雛の灯の ともる夜や

【作者】村山故郷(むらやま こきょう)

 

世におくれ 人におくれて 雛飾る

【作者】山口青邨

 

夜を籠めて 降りて雪晴 雛飾る

【作者】後藤夜半

【補足】「夜(よ)を籠めて」は「まだ夜が明けないうちに、まだ暗いうちに」という意味です。

 

若き父 鯛を釣り来と 雛まつり

【作者】山口青邨

女雛の横顔と桃の花

 


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