日向ぼこの俳句 40選 -ひなたぼこ-
寒い冬の日であっても、日当たりの良いところで日向ぼこをしていると、とても穏やかな気持ちになることがあります。
このような「日向ぼこ」は俳句において冬の季語でもあり、多くの作品に詠み込まれてきました。
このページには、「日向ぼこ」「日向ぼこり」が詠まれた俳句を多く集めました。冬の日の穏やかな雰囲気に満ちた作品ばかりですので、どうかじっくりと鑑賞してみて下さい。
目次
- 1 日向ぼこの俳句 40選
- 1.1 吾子とゐて 吾子をわするゝ 日向ぼこ
- 1.2 いくたびも 日を失ひぬ 日向ぼこ
- 1.3 うとうとと 生死の外や 日向ぼこ
- 1.4 御地蔵と 日向ぼこして 鳴ち鳥
- 1.5 かたまつて 同じ事務服 日向ぼこ
- 1.6 くるめきは 日にわれにあり 日向ぼこ
- 1.7 けふの日の 燃え極まりし 日向ぼこ
- 1.8 凩や 崖下はよき 日向ぼこ
- 1.9 子とありて 燃えつるる耳 日向ぼこ
- 1.10 この年の ひとつの夢と 日向ぼこ
- 1.11 三猿と ならび腰かけ 日向ぼこ
- 1.12 死を悼み 生をわらひて 日向ぼこ
- 1.13 前世にも 日向ぼこりに 飽かざりし
- 1.14 焚火して 日向ぼこして 漁師老い
- 1.15 ちかよりて 老婦したしく 日向ぼこ
- 1.16 伝へ聞く 友の栄華や 日向ぼこ
- 1.17 丁寧に 仏具を磨き 日向ぼこ
- 1.18 時惜しみ 惜しまず日向ぼこりかな
- 1.19 ともあれと 日向ぼこりに 招じけり
- 1.20 撫で下す 顔の荒れゐる 日向ぼこ
- 1.21 なにもなき 元日もよし 日向ぼこ
- 1.22 人として 淋しき人の 日向ぼこ
- 1.23 人を恋ふ 日にめぐり逢ひ 日向ぼこ
- 1.24 人を見る 目細く日向ぼこりかな
- 1.25 日向ぼこ あの世さみしきかも知れぬ
- 1.26 日向ぼこ 一家の舵を とりながら
- 1.27 日向ぼこ かうしてゐても 腹が減る
- 1.28 日向ぼこ して光陰を 惜みをり
- 1.29 日向ぼこ してにこ~と 待たれゐし
- 1.30 日向ぼこ してゐるさまの 見下され
- 1.31 日向ぼこ し乍ら出来るほどの用
- 1.32 日向ぼこ 何やら心 せかれゐる
- 1.33 日向ぼこ 日向がいやに なりにけり
- 1.34 日向ぼこ 呼ばれて去れば それきりに
- 1.35 日向ぼこ 笑ひくづれて 散りにけり
- 1.36 ふところに 手紙かくして 日向ぼこ
- 1.37 まなうらは 火の海となる 日向ぼこ
- 1.38 まなぶたは 今万華鏡 日向ぼこ
- 1.39 両膝に 幸せ集め 日向ぼこ
- 1.40 ゐながらに 日向ぼこりの 小書斎
日向ぼこの俳句 40選
「日向ぼこ」「日向ぼこり」が詠み込まれた俳句を集め、句の文字の五十音順に並べました。
どうぞ、ごゆっくりとご鑑賞下さい。
なお、「日向ぼこ」は、「日向ぼっこ」「日向ぼこう」「日向ぼこり」ということもあります。
吾子とゐて 吾子をわするゝ 日向ぼこ
【作者】五十崎古郷(いかざき こきょう)
【補足】吾子(あこ)とは、「わが子」のことです。
いくたびも 日を失ひぬ 日向ぼこ
【作者】後藤夜半(ごとう やはん)
うとうとと 生死の外や 日向ぼこ
【作者】村上鬼城(むらかみ きじょう)
御地蔵と 日向ぼこして 鳴ち鳥
【読み】おじぞうと ひなたぼこして なくちどり
【作者】小林一茶(こばやし いっさ)
かたまつて 同じ事務服 日向ぼこ
【作者】岡本 眸(おかもと ひとみ)
くるめきは 日にわれにあり 日向ぼこ
【作者】皆吉爽雨(みなよし そうう)
【補足】「くるめき(転めき、眩めき)」とは、「目がくらむこと、めまい」のことをいいます。
けふの日の 燃え極まりし 日向ぼこ
【作者】松本たかし(まつもと たかし)
凩や 崖下はよき 日向ぼこ
【作者】野村喜舟(のむら きしゅう)
【補足】「凩」の読み方は「こがらし(=木枯し)」です。
子とありて 燃えつるる耳 日向ぼこ
【作者】皆吉爽雨
【補足】「燃えつるる耳」は「燃えてしまった耳」という意味です。
この年の ひとつの夢と 日向ぼこ
【作者】村越化石(むらこし かせき)
三猿と ならび腰かけ 日向ぼこ
【作者】福田蓼汀(ふくだ りょうてい)
【補足】三猿(さんえん)とは、日光東照宮(にっこうとうしょうぐう)にある猿の像で、「見ざる・聞かざる・言わざる」の姿をしています。
死を悼み 生をわらひて 日向ぼこ
【作者】京極杞陽(きょうごく きよう)
【補足】「悼(いた)む」とは、人の死を悲しみなげくことをいいます。
前世にも 日向ぼこりに 飽かざりし
【作者】相生垣瓜人(あいおいがき かじん)
【補足】前世(ぜんせ)とは、現世(げんせ:=この世)に生まれ出る前の世のことをいいます。
焚火して 日向ぼこして 漁師老い
【作者】鈴木真砂女(すずき まさじょ)
【補足】「焚火」の読み方は「たきび」です。
ちかよりて 老婦したしく 日向ぼこ
【作者】飯田蛇笏(いいだ だこつ)
伝へ聞く 友の栄華や 日向ぼこ
【作者】日野草城(ひの そうじょう)
丁寧に 仏具を磨き 日向ぼこ
【作者】鈴木花蓑(すずき はなみの)
時惜しみ 惜しまず日向ぼこりかな
【作者】石塚友二(いしづか ともじ)
ともあれと 日向ぼこりに 招じけり
【作者】中村汀女(なかむら ていじょ)
撫で下す 顔の荒れゐる 日向ぼこ
【作者】松本たかし
なにもなき 元日もよし 日向ぼこ
【作者】中 勘助(なか かんすけ)
人として 淋しき人の 日向ぼこ
【作者】京極杞陽
人を恋ふ 日にめぐり逢ひ 日向ぼこ
【作者】後藤夜半
人を見る 目細く日向ぼこりかな
【作者】高浜虚子(たかはま きょし)
日向ぼこ あの世さみしきかも知れぬ
【作者】岡本 眸
日向ぼこ 一家の舵を とりながら
【作者】京極杞陽
【補足】「舵」の読み方は「かじ」です。
日向ぼこ かうしてゐても 腹が減る
【作者】鈴木花蓑
日向ぼこ して光陰を 惜みをり
【作者】後藤夜半
【補足】光陰(こういん)とは、月日・歳月のことを意味します。
日向ぼこ してにこ~と 待たれゐし
【作者】星野立子(ほしの たつこ)
【補足】「待たれゐし」は「お待ちになっていた」の意と解します。
日向ぼこ してゐるさまの 見下され
【作者】波多野爽波(はたの そうは)
日向ぼこ し乍ら出来るほどの用
【作者】稲畑汀子(いなはた ていこ)
【補足】「し乍ら」の読み方は「しながら」です。
日向ぼこ 何やら心 せかれゐる
【作者】阿部みどり女(あべ み どりじょ)
日向ぼこ 日向がいやに なりにけり
【作者】久保田万太郎(くぼた まんたろう)
日向ぼこ 呼ばれて去れば それきりに
【作者】中村汀女
日向ぼこ 笑ひくづれて 散りにけり
【作者】富安風生(とみやす ふうせい)
ふところに 手紙かくして 日向ぼこ
【作者】鈴木真砂女
まなうらは 火の海となる 日向ぼこ
【作者】阿部みどり女
【補足】「まなうら(眼裏)」とは、目の奥・まぶたの裏のことです。
まなぶたは 今万華鏡 日向ぼこ
【作者】加藤三七子(かとう みなこ)
【補足】「まなぶた(瞼)」とは、「まぶた(=目の蓋の意)」のことです。
両膝に 幸せ集め 日向ぼこ
【作者】村越化石
ゐながらに 日向ぼこりの 小書斎
【作者】上村占魚(うえむら せんぎょ)
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