昼寝の俳句 30選 -ひるね-
暑い夏の午後などには、昼寝をするつもりはなくても、いつのまにか眠りに落ちてしまうことがあります。
このような「昼寝」は俳句において夏の季語でもあり、多くの作品に詠み込まれてきました。
このページには、「昼寝」が詠まれた俳句を多く集めました。昼寝に特有な雰囲気に満ちた作品ばかりですので、どうかじっくりと鑑賞してみて下さい。
目次
- 1 昼寝の俳句 30選
- 1.1 家中が 昼寝してをり 猫までも
- 1.2 今迄は 罪もあたらぬ 昼寝哉
- 1.3 うつぶせに ねるくせつきし 晝寐かな
- 1.4 かいなづる 昼寝の鬢の ほつれかな
- 1.5 帰り来て 女房を起す 晝寝かな
- 1.6 かびの香に 昼寝してをり 山の坊
- 1.7 壁に倚り 長き昼寝を かへりみる
- 1.8 こそ~と 昼寝もせずに 児達かな
- 1.9 子やあはれ 泣くにも間ある 昼寝覚め
- 1.10 さみしさの 昼寝の腕の 置きどころ
- 1.11 しばらくの 机辺の昼寝 深かりし
- 1.12 住職の 留守に昼寝を せしは虚子
- 1.13 そこはかとなく昼寝すと 人の云ふ
- 1.14 他愛なき 顔して居りぬ 昼寝人
- 1.15 たが為ぞ 朝起昼寝 夕涼
- 1.16 たまさかの 二日続きの 晝寝かな
- 1.17 剃髪は 昼寝の夢で ありしかな
- 1.18 天井に 潮騒映る 晝寝かな
- 1.19 何の音 昼寝覚ませし 音つゞく
- 1.20 寝返りを 打ちてそろそろ 昼寝覚め
- 1.21 ひだり腕 すこし長くて 昼寝せり
- 1.22 人並に 昼寝したふりする子哉
- 1.23 人を見て 又々むりに 昼寝哉
- 1.24 ひやひやと 壁をふまへて 昼寝哉
- 1.25 ふる里は 晝寝に夢も 無かるべし
- 1.26 むすばれて 蝶も昼寝や 糸ざくら
- 1.27 もたいなや 昼寝して聞 田うへ唄
- 1.28 やはらかき 稚子の昼寝の つづきけり
- 1.29 世の中の 重荷おろして 昼寝哉
- 1.30 弱き身を たよりにされて 昼寝かな
昼寝の俳句 30選
「昼寝」が詠み込まれた俳句を集め、句の文字の五十音順に並べました。
どうぞ、ごゆっくりとご鑑賞ください。
家中が 昼寝してをり 猫までも
【作者】五十嵐播水(いがらし ばんすい)
今迄は 罪もあたらぬ 昼寝哉
【作者】小林一茶(こばやし いっさ)
【補足】句末の「哉(かな)」は、詠嘆の意を表します。
うつぶせに ねるくせつきし 晝寐かな
【作者】久保田万太郎(くぼた まんたろう)
【補足】「晝寐」は「昼寝」に同じです。
かいなづる 昼寝の鬢の ほつれかな
【作者】高橋淡路女(たかはし あわじじょ)
【補足】「かいなづる(掻い撫づる)」は「手や櫛(くし)などでなでる」の意です。
帰り来て 女房を起す 晝寝かな
【作者】会津八一(あいづ やいち)
かびの香に 昼寝してをり 山の坊
【作者】高浜虚子(たかはま きょし)
【補足】坊(ぼう)は、僧侶や幼い男の子を意味します。
壁に倚り 長き昼寝を かへりみる
【作者】大野林火(おおの りんか)
【補足】「倚り」の読み方は「より(よりかかり、もたれの意)」です。
こそ~と 昼寝もせずに 児達かな
【作者】河野静雲(こうの せいうん)
【補足】児達(こだち)とは、子どもたちを意味します。
子やあはれ 泣くにも間ある 昼寝覚め
【作者】中村汀女(なかむら ていじょ)
さみしさの 昼寝の腕の 置きどころ
【作者】上村占魚(うえむら せんぎょ)
しばらくの 机辺の昼寝 深かりし
【作者】亀井糸游(かめい しゆう)
【補足】机辺(きへん)とは、机の近くを意味します。
住職の 留守に昼寝を せしは虚子
【作者】稲畑汀子(いなはた ていこ)
【補足】高浜虚子(たかはま きょし)は、明治中期から昭和中期にかけての俳人です。
そこはかとなく昼寝すと 人の云ふ
【作者】相生垣瓜人(あいおいがき かじん)
【補足】「そこはかとなく」は「どうということもなく」に同じです。
他愛なき 顔して居りぬ 昼寝人
【作者】高橋淡路女
【補足】昼寝人(ひるねびと)とは、昼寝をする人、昼寝をしている人を意味します。
たが為ぞ 朝起昼寝 夕涼
【作者】宝井其角(たからい きかく)
たまさかの 二日続きの 晝寝かな
【作者】八木林之介(やぎ りんのすけ)
【補足】「たまさか」とは、めったにないことを表現する言葉です。
剃髪は 昼寝の夢で ありしかな
【作者】鈴木真砂女(すずき まさじょ)
【補足】剃髪(ていはつ)とは、髪を剃(そ)ることをいいます。
天井に 潮騒映る 晝寝かな
【作者】横光利一(よこみつ りいち)
何の音 昼寝覚ませし 音つゞく
【作者】右城暮石(うしろ ぼせき)
寝返りを 打ちてそろそろ 昼寝覚め
【作者】稲畑汀子
ひだり腕 すこし長くて 昼寝せり
【作者】能村登四郎(のむら としろう)
人並に 昼寝したふりする子哉
【作者】小林一茶
人を見て 又々むりに 昼寝哉
【作者】小林一茶
ひやひやと 壁をふまへて 昼寝哉
【作者】松尾芭蕉
ふる里は 晝寝に夢も 無かるべし
【作者】会津八一
【補足】「無かるべし」は「無いだろう、無いにちがいない」という意味です。
むすばれて 蝶も昼寝や 糸ざくら
【作者】加賀千代女(かがの ちよじょ)
【補足】「糸ざくら」は、枝垂桜(しだれざくら)の別名です。
もたいなや 昼寝して聞 田うへ唄
【作者】小林一茶
【補足】「もたいなや」は「もったいないなあ」といった意味です。
やはらかき 稚子の昼寝の つづきけり
【作者】山口誓子(やまぐち せいし)
【補足】稚児(ちご)とは、乳児、赤ん坊、幼い子を意味します。
世の中の 重荷おろして 昼寝哉
【作者】正岡子規(まさおか しき)
弱き身を たよりにされて 昼寝かな
【作者】高田蝶衣(たかだ ちょうい)
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