霞の俳句 50選 -かすみ-
霧(きり)や靄(もや)などによって遠くの景色がぼやけている様子を表現する言葉に「霞」という言葉があります。
この「霞」は文学的な表現で、俳句においては春の季語ともなっています。
このページには、「霞」が詠まれた俳句を多く集めました。霞んでいる春特有の雰囲気に満ちた作品ばかりですので、どうかじっくりと鑑賞してみて下さい。
目次
- 1 霞の俳句 50選
- 1.1 あけぼのや 霞がくれに 花ざくら
- 1.2 あめりかの 波打ちよする 霞かな
- 1.3 生きることに 不機嫌となり 霞見る
- 1.4 いたき歯を うつかり噛みし 霞かな
- 1.5 一本の 杖の行手に 夕霞
- 1.6 大いなる 港に作る 霞かな
- 1.7 加賀染や 霞み残りの 鴉啼き
- 1.8 霞から 真下に下す 雲雀哉
- 1.9 霞みきて 木の芽あからむ おもひかな
- 1.10 霞み来て なほうるはしき 何々ぞ
- 1.11 霞みけり 山消えうせて 塔一つ
- 1.12 霞濃し 海のありかを 指ししより
- 1.13 霞みゐて 四国山脈 起伏せる
- 1.14 霞とも 山とも見えず 朧月
- 1.15 霞より 川現れて 甲斐を出づ
- 1.16 霞む海 汽車に眠りて 母やすし
- 1.17 霞む日の かなしき絵巻 ひろげゆく
- 1.18 霞む日の 佐渡みえ山の 雪も見ゆ
- 1.19 霞む日や 鳶舞ひ落つる 西の京
- 1.20 霞む日や 見ゆる限りは 同じ国
- 1.21 霞む日を 戻りてものを 言はざりし
- 1.22 霞む街 抜け来る音の 紛れなし
- 1.23 かすむやら 目が霞やら ことしから
- 1.24 風返し 峠風なき 日の霞
- 1.25 かへり見れば 行きあひし人の 霞みけり
- 1.26 きらめきの 野路に霞みて ゆけるもの
- 1.27 雲をふみ 霞を吸ふや 揚雲雀
- 1.28 こたつ出て まだ目の覚ぬ 霞哉
- 1.29 山門を 下りて京去る 霞かな
- 1.30 獅子の児の 親を仰げば 霞かな
- 1.31 死んでから 背丈がのびる 霞かな
- 1.32 すべ知らず 山に向へば 霞み消ゆ
- 1.33 雪嶺 と色同じくて 霞立つ
- 1.34 僧とゐて しづかに霞 吸ふばかり
- 1.35 そこいらに 都の見えぬ 霞哉
- 1.36 撞きもせぬ 鐘を見に行く 霞かな
- 1.37 どこ見ても 霞だらけに けさの春
- 1.38 何處やらに 鶴の聲聞く 霞かな
- 1.39 鳶飛んで 天にいたれる 霞かな
- 1.40 鳥どもの 恋さま~に 霞かな
- 1.41 菜の花や かすみの裾に 少づゝ
- 1.42 昼見ゆる 星うらうらと 霞かな
- 1.43 富士にたつ 霞程よき 裾野かな
- 1.44 仏法の それは大きな 霞かな
- 1.45 ふるさとの 山有難し けふ霞む
- 1.46 ほとほとと 白酒をつぐ 霞かな
- 1.47 まき落ちて 浪とどろける 霞かな
- 1.48 町なかの 銀杏は乳も 霞けり
- 1.49 真似をして 霞をかくす 嵐かな
- 1.50 みちのくの 女が立てり 霞む山
霞の俳句 50選
「霞」が詠み込まれた俳句を集め、句の文字の五十音順に並べました。
どうぞ、ごゆっくりとご鑑賞下さい。
あけぼのや 霞がくれに 花ざくら
【作者】日野草城(ひの そうじょう)
あめりかの 波打ちよする 霞かな
【作者】正岡子規(まさおか しき)
生きることに 不機嫌となり 霞見る
【作者】田川飛旅子(たがわ ひりょし)
いたき歯を うつかり噛みし 霞かな
【作者】久保田万太郎(くぼた まんたろう)
一本の 杖の行手に 夕霞
【作者】桂 信子(かつら のぶこ)
大いなる 港に作る 霞かな
【作者】河東碧梧桐(かわひがし へきごとう)
加賀染や 霞み残りの 鴉啼き
【作者】橋 閒石(はし かんせき)
【補足】加賀染(かがぞめ)とは、加賀絹の染め物のことです。「鴉」の読み方は「からす」です。
霞から 真下に下す 雲雀哉
【作者】正岡子規
【補足】「雲雀」の読み方は「ひばり」です。
霞みきて 木の芽あからむ おもひかな
【作者】原 石鼎(はら せきてい)
霞み来て なほうるはしき 何々ぞ
【作者】原 石鼎
霞みけり 山消えうせて 塔一つ
【作者】正岡子規
霞濃し 海のありかを 指ししより
【作者】中村汀女(なかむら ていじょ)
霞みゐて 四国山脈 起伏せる
【作者】山口誓子(やまぐち せいし)
霞とも 山とも見えず 朧月
【作者】正岡子規
霞より 川現れて 甲斐を出づ
【作者】神蔵 器(かみくら うつわ)
霞む海 汽車に眠りて 母やすし
【作者】松崎鉄之介(まつざき てつのすけ)
霞む日の かなしき絵巻 ひろげゆく
【作者】水原秋桜子(みずはら しゅうおうし)
霞む日の 佐渡みえ山の 雪も見ゆ
【作者】能村登四郎(のむら としろう)
霞む日や 鳶舞ひ落つる 西の京
【作者】正岡子規
【補足】「鳶」の読み方は「とび」です。
霞む日や 見ゆる限りは 同じ国
【作者】正岡子規
霞む日を 戻りてものを 言はざりし
【作者】細見綾子(ほそみ あやこ)
霞む街 抜け来る音の 紛れなし
【作者】右城暮石(うしろ ぼせき)
【補足】「紛れなし」の読み方は「まぎれなし」です。
かすむやら 目が霞やら ことしから
【作者】小林一茶(こばやし いっさ)
風返し 峠風なき 日の霞
【作者】稲畑汀子(いなはた ていこ)
かへり見れば 行きあひし人の 霞みけり
【作者】正岡子規
きらめきの 野路に霞みて ゆけるもの
【作者】稲畑汀子
雲をふみ 霞を吸ふや 揚雲雀
【作者】正岡子規
【補足】揚雲雀(あげひばり)とは、ヒバリが空高く舞い上がること、また、そのヒバリのことをいい、春の季語です。
こたつ出て まだ目の覚ぬ 霞哉
【作者】高井几董(たかい きとう)
山門を 下りて京去る 霞かな
【作者】金尾梅の門(かなお うめのかど)
【補足】山門(さんもん)とは、寺の正門のことをいいます。
獅子の児の 親を仰げば 霞かな
【作者】幸田露伴(こうだ ろはん)
【補足】「児」の読み方は「(こ=子)」です。
死んでから 背丈がのびる 霞かな
【作者】栗林千津(くりばやし ちづ)
すべ知らず 山に向へば 霞み消ゆ
【作者】福田蓼汀(ふくだ りょうてい)
雪嶺 と色同じくて 霞立つ
【作者】相馬遷子(そうま せんし)
僧とゐて しづかに霞 吸ふばかり
【作者】殿村菟絲子(とのむら としこ)
そこいらに 都の見えぬ 霞哉
【作者】正岡子規
撞きもせぬ 鐘を見に行く 霞かな
【作者】井上井月(いのうえ せいげつ)
【補足】「撞きもせぬ」の読み方は「つきもせぬ」です。
どこ見ても 霞だらけに けさの春
【作者】正岡子規
何處やらに 鶴の聲聞く 霞かな
【読み】どこやらに つるのこえきく かすみかな
【作者】井上井月
鳶飛んで 天にいたれる 霞かな
【作者】幸田露伴
鳥どもの 恋さま~に 霞かな
【作者】石井露月(いしい ろげつ)
菜の花や かすみの裾に 少づゝ
【作者】小林一茶
【補足】「裾」の読み方は「すそ」です。
昼見ゆる 星うらうらと 霞かな
【作者】芥川龍之介(あくたがわ りゅうのすけ)
富士にたつ 霞程よき 裾野かな
【作者】井上井月
仏法の それは大きな 霞かな
【作者】野村喜舟(のむら きしゅう)
ふるさとの 山有難し けふ霞む
【作者】山口青邨(やまぐち せいそん)
ほとほとと 白酒をつぐ 霞かな
【作者】田川飛旅子
まき落ちて 浪とどろける 霞かな
【作者】原 石鼎
町なかの 銀杏は乳も 霞けり
【作者】芥川龍之介
【補足】「銀杏」の読み方は「いちょう」です。
真似をして 霞をかくす 嵐かな
【作者】野沢凡兆(のざわ ぼんちょう)
みちのくの 女が立てり 霞む山
【作者】山口青邨
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