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川の俳句 100選 -四季の川-

緑の樹木の中を流れる川

日本の河川の数は、一級・二級・準用を合わせると 35,000ほどの数となります。ですから、私たちの身近なところに必ず川があると言っても、言い過ぎではないでしょう。

俳句の世界でも、四季それぞれの風景の中で流れる川が、多くの俳人たちによって数多く詠まれてきました。

このページには、川が詠み込まれた俳句の中から、季節で分けた春の川、夏の川、秋の川、冬の川の俳句をそれぞれ 25句ずつ、合計で 100句を選びました。是非とも、これらをじっくりと味わってみて下さい。

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目次

「春の川」の俳句 25

 


  春  


 

海かけて にはかに曇る 春の川

【作者】松村蒼石(まつむら そうせき)

 

烏帽子着て 渡る禰宜あり 春の川

【作者】夏目漱石(なつめ そうせき)

【補足】烏帽子(えぼし)は男性の被り物(かぶりもの)です。禰宜(ねぎ)は神職の一つで、広く神職をいうこともあります。

 

鴨と家鴨 争とけて 春の川

【作者】阿部みどり女(あべ みどりじょ)

【補足】「家鴨」の読み方は「あひる」です。

 

木戸出るや 草山裾の 春の川

【作者】飯田蛇笏(いいだ だこつ)

 

九十九里浜 そのどんじりの 春の川

【作者】鈴木真砂女(すずき まさじょ)

【補足】九十九里浜(くじゅうくりはま)は、千葉県東部の砂浜海岸です。「どんじり」とは、最も末であることをいいます。

 

それとなく ひとの見てゆく 春の川

【作者】飯田龍太(いいだ りゅうた)

 

鶴一羽 渡りそむるや 春の川

【作者】正岡子規(まさおか しき)

【補足】「渡りそむる」は「渡りはじめる」という意味です。

 

中程は 早き流れや 春の川

【作者】高浜年尾(たかはま としお)

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何染めて 紅流す 春の川

【作者】正岡子規

 

橋杭に 小さき渦や 春の川

【作者】夏目漱石

 

春川に 身をさかしまに 濯ぎをり

【作者】星野立子(ほしの たつこ)

【補足】「さかしま(逆しま)」は「さかさま」と同じです。「濯ぎ」の読み方は「すすぎ」です。

 

春川の 日暮れんとする 水嵩かな

【作者】村上鬼城(むらかみ きじょう)

【補足】「水嵩」の読み方は「みずかさ、みかさ」です。

 

春の川 くぬぎ林の 裾流れ

【作者】細見綾子(ほそみ あやこ)

【補足】「くぬぎ」はブナ科の落葉高木です。

 

春の川 手紙まろめて 流しけり

【作者】内藤鳴雪(ないとう めいせつ)

【補足】「まろめる(丸める、円める)」は「まるめる」と同じです。

 

春の川 出茶屋の前を 流れけり

【作者】正岡子規

【補足】出茶屋(でぢゃや)とは、出店(でみせ)の茶屋のことをいいます。

 

春の川 水重なつて 流れけり

【作者】岸田稚魚(きしだ ちぎょ)

新緑と川

 

春の川 豊かに沃土 貫けり

【作者】稲畑汀子(いなはた ていこ)

【補足】沃土(よくど)とは、地味(ちみ:作物栽培における土地の生産力)が豊かな土地や土壌のことです。

 

春の川を 隔てて男 女かな

【作者】夏目漱石

 

一桶の 藍流しけり 春の川

【作者】正岡子規

 

ひとの子を あまたかくして 春の川

【作者】平井照敏(ひらい しょうびん)

【補足】あまた(数多)とは、「たくさん、数多く」の意味です。

 

灯の上の 山に雉子鳴く 春の川

【作者】飯田龍太

【補足】「雉子」の読み方は「きじ」です。

 

病者等が 指さし春の 川光る

【作者】西東三鬼(さいとう さんき)

 

山の日の きら~落ちぬ 春の川

【作者】村上鬼城

 

友禅の 沈みて長し 春の川

【作者】野村泊月(のむら はくげつ)

【補足】友禅(ゆうぜん)は「友禅染め」の略です。

 

我が肝を 曳きて古しや 春の川

【作者】永田耕衣(ながた こうい)

【補足】「曳きて」の読み方は「きて」です。

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「夏の川」の俳句 25

 


  夏  


 

あながちに 夏川越しぬ 酒の酔

【作者】尾崎迷堂(おざき-めいどう)

【補足】「あながちに」は「むりに、むやみに」という意味です。

 

馬に乗つて 河童遊ぶや 夏の川

【作者】村上鬼城

 

ざぶざぶと 夏川渡る 小荷駄哉

【作者】正岡子規

【補足】小荷駄(こにだ)とは、馬につけて運ばせる荷物のことです。

 

竹藪の 中に道つけ 夏の川

【作者】右城暮石(うしろ ぼせき)

 

夏川に 架かれる橋に 木戸ありぬ

【作者】高浜虚子(たかはま きょし)

 

夏川に 蔵より仕出す 簀子哉

【作者】宝井其角(たからい きかく)

【補足】「簀子」の読み方は「すのこ」です。

 

夏川に 濯ぎて遠き 子を思ふ

【作者】中村汀女(なかむら ていじょ)

 

夏川に こゝろまかせや はなし亀

【作者】望月宋屋(もちづき そうおく)

 

夏川に 手を突っ込んで 上高地

【作者】高澤良一(たかざわ よしかず)

【補足】上高地(かみこうち)は、長野県西部にある景勝地です。

 

夏川の あなたに友を 訪ふ日かな

【作者】正岡子規

 

夏川の 美しき村 又訪はん

【作者】高野素十

 

夏川の 音のすゝしき 闇夜哉

【作者】正岡子規

夜の川と流し燈籠

 

夏川の こゑともならず 夕迫る

【作者】飯田龍太

 

夏川の 淵の砂浜 あはれなる

【作者】山口誓子(やまぐち せいし)

 

夏川や 砂さだめなき 流れ筋

【作者】飯田蛇笏

 

夏川や つたいありきつ 里の背戸

【作者】立花北枝(たちばな ほくし)

 

夏川や どこかで笛を 吹いて居る

【作者】幸田露伴(こうだ ろはん)

 

夏川や 一つ瀬やがて 二た流れ

【作者】原 石鼎(はら せきてい)

 

夏川や 枕にひゞく 山の宿

【作者】正岡子規

 

夏川や 水の中なる 立咄し

【作者】正岡子規

【補足】「立咄し」の読み方は「たちばなし」です。

 

夏川を 越すうれしさよ 手に草履

【作者】与謝蕪村(よさ ぶそん)

【補足】「草履」の読み方は「ぞうり」です。

 

夏河を 電車はためき 越ゆるなり

【作者】石田波郷(いしだ はきょう)

 

夏の河 赤き鉄鎖の はし浸る

【作者】山口誓子

【補足】鉄鎖(てっさ)とは、鉄製のくさりのことです。

 

夏の川 汽車の車輪の 下に鳴る

【作者】山口誓子

 

夏の河 美貌の少年工が佇つ

【作者】草間時彦(くさま ときひこ)

【補足】「佇つ」の読み方は「つ」です。

 

 

「秋の川」の俳句 25

 


  秋  


 

秋川に なげる投網の 光かな

【作者】中 勘助(なか かんすけ)

【補足】「投網」の読み方は「とあみ」です。

 

秋川の こつこつと流れ ゐたりけり

【作者】平井照敏

 

秋川や 岸に従ふ 流れざま

【作者】尾崎迷堂

 

秋川を 黒犬游ぐ 薄日かな

【作者】内田百間(うちだ ひゃっけん)

【補足】薄日(うすび)とは、弱い日ざしのことをいいます。

 

秋の川に 突き出し楼の 句会かな

【作者】西山泊雲(にしやま はくうん)

 

秋の川 膝までつかり 釣りにけり

【作者】久保田万太郎(くぼた まんたろう)

 

秋の川 ひといつまでも 後ろより

【作者】飯田龍太

 

秋の川 真白な石を 拾ひけり

【作者】夏目漱石

 

秋の川 全く峡を 出でにけり

【作者】尾崎迷堂

【補足】「狭」の読み方は「かい、はざま」です。

 

荒れし跡 名残ともなく 秋の川

【作者】稲畑汀子

 

一群は 地蔵流しか 秋の川

【作者】寺田寅彦(てらだ とらひこ)

 

偏りし 流れの深く 秋の川

【作者】山口誓子

【補足】「偏りし」の読み方は「かたよりし」です。

紅葉と川

 

汐引けば 米とぐと言ふ 秋の川

【作者】阿部みどり女

 

酒肆を出て 蘆荻に橋や 秋の川

【作者】飯田蛇笏

【補足】酒肆(しゅし)とは、酒屋あるいは酒を飲ませる店のことをいいます。蘆荻(ろてき)は、蘆(あし)と荻(おぎ)のことです。

 

少年が 愛す窪地の 秋の川

【作者】細見綾子

【補足】「窪地」の読み方は「くぼち」です。

 

そろそろと 秋もの凄し 角田河

【作者】正岡子規

 

煙草すて 秋の川たり 顔うつる

【作者】岸 風三楼(きし ふうさんろう)

 

中洲にも 柳の家や 秋の川

【作者】高浜虚子

 

流れゆく もの皆ゆるく 秋の川

【作者】高浜虚子

 

ぶつかつて 来て流れ去る 秋の川

【作者】山口青邨(やまぐち せいそん)

 

町中を 雑音を沈めて 秋の川

【作者】阿部みどり女

 

見るかぎり 同じ速さの 秋の川

【作者】山口誓子

 

物忌の 灯を捨つる婦や 秋の川

【作者】野村泊月

【補足】物忌(ものいみ)とは、不吉として物事を忌み避けることです。

 

夕焼の はたと消えけり 秋の川

【作者】村上鬼城

 

指一本 浸してぬらす 秋の川

【作者】山口青邨

【補足】「浸して」の読み方は「ひたして」です。

 

 

「冬の川」の俳句 25

 


  冬  


 

鮎死で 瀬のほそりけり 冬の川

【作者】正岡子規

 

渦解きて 荒瀬のり越す 冬の川

【作者】前田普羅(まえだ ふら)

 

海ちかく 潟なせりけり 冬の川

【作者】水原秋桜子(みずはら しゅうおうし)

 

雲絶えて 源涸れぬ 冬の川

【作者】正岡子規

 

ここに来て なほ山の瀬の 冬の川

【作者】山口青邨

 

捨てられて 菊なまなまと 冬の川

【作者】古舘曹人(ふるたち そうじん)

 

棲家とづ 閑の冬川 あきらかに

【作者】飯田蛇笏

【補足】「棲家」の読み方は「すみか」です。

 

絶壁に ふれては渦を 冬の川

【作者】山口青邨

 

沿ひ行けば 夜の雲うつる 冬の川

【作者】山口誓子

 

太陽の 力とどめず 冬の川

【作者】稲畑汀子

 

谷深み 杉を流すや 冬の川

【作者】夏目漱石

 

曳船の 男突つ立ち 冬の川

【作者】中村汀女

【補足】「曳船」の読み方は「ひきふね、ひきぶね、えいせん」です。

 

ひとの世の うらがはけづる 冬の川

【作者】平井照敏

雪と川

 

冬川に 青々と見ゆ 水藻かな

【作者】村上鬼城

【補足】「水藻」の読み方は「みずも」です。

 

冬川に 音して舟の 投げ釣瓶

【作者】吉武月二郎(よしたけつきじろう)

【補足】釣瓶(つるべ)は、海水を汲み上げるための桶です。

 

冬川に かゝりて太し 石の橋

【作者】高野素十

 

冬川の 家鴨よごれて 集ひけり

【作者】河東碧梧桐(かわひがし へきごとう)

【補足】「集ひけり」の読み方は「つどいけり」です。

 

冬川の 刃の削ぎとりし 一砂丘

【作者】福田蓼汀(ふくだ りょうてい)

 

冬川や 朽ちて渡さぬ 橋長し

【作者】寺田寅彦

 

冬川や 腰くだけたる 石の橋

【作者】河野静雲(こうの せいうん)

 

冬川や 小さき石に 浪の花

【作者】村上鬼城

 

冬川や のぼり初めたる 夕芥

【作者】杉田久女(すぎた ひさじょ)

 

冬の川 石飛び渡り 越えにけり

【作者】正岡子規

 

冬の川 励み流るゝ 瀬あるかな

【作者】尾崎迷堂

 

冬の河 われに嗅ぎより 犬去れり

【作者】加藤楸邨(かとう しゅうそん)

 

 


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