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蜘蛛の俳句 30選 -くも-

蜘蛛の巣

あまり見かけることは多くありませんが、蜘蛛の巣の模様は幾何学的でもあり、しばし見とれてしまうことあります。

そして、「蜘蛛」は俳句において夏の季語でもあり、多くの作品に詠み込まれてきました。

このページには、「蜘蛛」が詠まれた俳句を多く集めました。夏の風情に満ちた作品ばかりですので、どうかじっくりと鑑賞してみて下さい。

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目次

蜘蛛の俳句 30選

「蜘蛛」が詠み込まれた俳句を集め、句の文字の五十音順に並べました。

どうぞ、ごゆっくりとご鑑賞下さい。

 

 

明け易く いとなみ初めし 蜘蛛の脚

【作者】小澤碧童(おざわ へきどう)

 

朝の間に 蜘蛛の囲 払ひおく事に

【作者】高浜年尾(たかはま としお)

【補足】蜘蛛の囲(くものい)とは、蜘蛛の巣のことをいいます。

 

畦焼くや 蜘蛛走り出し 石の上

【作者】西山泊雲(にしやま はくうん)

【補足】「畦」の読み方は「あぜ」です。

 

囲をはりて 坐りし蜘蛛や 月の中

【作者】長谷川かな女(はせがわ かなじょ)

 

浮草や 蜘蛛渡りゐて 水平ら

【作者】村上鬼城(むらかみ きじょう)

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末枯に 漂ひをりし 蜘蛛の糸

【作者】波多野爽波(はたの そうは)

【補足】末枯(うらがれ)とは、草や木の先の方が枯れることです。

 

朧月 暈のうちなる 軒の蜘蛛

【作者】阿部みどり女(あべ みどりじょ)

【補足】朧月(おぼろづき)とは、かすんで見える月のことをいいます。「暈」の読み方は「かさ」です。

 

影抱へ 蜘蛛とどまれり 夜の畳

【作者】松本たかし(まつもと たかし)

 

仮死の蜘蛛 こらへ切れずに 歩き出す

【作者】右城暮石(うしろ ぼせき)

 

枯菊に 虹が走りぬ 蜘蛛の糸

【作者】松本たかし

 

帰省して なつかしき雨 蜘蛛の囲に

【作者】京極杞陽(きょうごく きよう)

雨滴が付いた蜘蛛の巣

 

くづれたる 露におびえて 葦の蜘蛛

【作者】飯田蛇笏(いいだ だこつ)

【補足】「葦」の読み方は「あし」です。

 

國破れて 蜘蛛に宿かる 山居かな

【作者】中 勘助(なか かんすけ)

【補足】「國」は「国」の旧字体です。山居(さんきょ)とは、山の中の住まい、また、山の中に住むことをいいます。

 

暮れいろの 蜘蛛寸借の 形して

【作者】栗林千津(くりばやし ちづ)

【補足】「暮れいろ」とは、夕暮れ時の暗くなってきた空の色のことをいいます。寸借(すんしゃく)とは、ちょっと借りることです。

 

早乙女に 蜘蛛の囲 流れかゝりけり

【作者】吉岡禅寺洞(よしおか ぜんじどう)

【補足】早乙女(さおとめ)とは、田植をする若い女性のことです。

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時化来ると 囲を変へ急ぐ 風の蜘蛛

【作者】石塚友二(いしづか ともじ)

【補足】時化(しけ)とは、悪天候のために海が荒れることです。

 

十薬の 花ひつぱつて 蜘蛛の絲

【作者】星野立子(ほしの たつこ)

【補足】十薬(じゅうやく)は、ドクダミ(ドクダミ科の多年草の一種)の生薬(しょうやく)としての名称です。

 

白露の 蜘蛛の囲 そこにここにかな

【作者】高浜虚子(たかはま きょし)

 

涼しくて 眼に見えざりし 蜘蛛の糸

【作者】右城暮石

 

塵取の 手にも夕ベの 蜘蛛の糸

【作者】鈴木花蓑(すずき はなみの)

【補足】「塵取」の読み方は「ちりとり」です。

 

月涼し いそしみ綴る 蜘蛛の糸

【作者】杉田久女(すぎた ひさじょ)

【補足】「いそしむ」とは、心を込めておこなうことをいいます。「綴る」の読み方は「つづる」です。

 

つゆばれや 一筋横に 蜘蛛の糸

【作者】小澤碧童

日が射している蜘蛛の巣

 

ぱつと火に なりたる蜘蛛や 草を焼く

【作者】高浜虚子

 

張り緊めて 金剛力や 蜘蛛の糸

【作者】石塚友二

【補足】金剛力(こんごうりき)とは、非常に強大な力のことです。

 

晩景や わが佇つのみに 蜘蛛怒る

【作者】飯島晴子(いいじま はるこ)

【補足】「佇つ」の読み方は「つ」です。

 

ひとすぢの 蜘蛛の糸垂れ 蟻地獄

【作者】行方克巳(なめかた かつみ)

 

ぶら下る とんぼの羽根や 蜘蛛は留守

【作者】寺田寅彦(てらだ とらひこ)

 

冬の蜘蛛 ある夜動きて 殺されぬ

【作者】加藤楸邨(かとう しゅうそん)

 

枕上み夜はふ蜘蛛も 影負ひて

【作者】石塚友二

【補足】枕上(まくらがみ)とは、まくらもとのことです。

 

水甕に 蜘蛛の落ちたる 神の留守

【作者】宮武寒々(みやたけ かんかん)

【補足】「水甕」の読み方は「みずがめ」です。

 

 


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