「雲の峰」の俳句 50選 -くものみね-
夏になると、峰のような形をした、もくもくとしている積乱雲をよく見かけます。
このような雲は「雲の峰」と表現され、俳句においては夏の季語でもあり、多くの作品に詠み込まれてきました。
このページには、「雲の峰」が詠まれた俳句を多く集めました。いかにも夏といった雰囲気に満ちた作品ばかりですので、どうかじっくりと鑑賞してみて下さい。
目次
- 1 「雲の峰」の俳句 50選
- 1.1 青空の 深くて曲る 雲の峰
- 1.2 秋風は まだこえかねつ 雲の峰
- 1.3 雨と成 恋はしらじな 雲の峰
- 1.4 嵐にも 崩れぬものよ 雲の峰
- 1.5 生々と 切株にほふ 雲の峰
- 1.6 生きながら 雲の峯とや なりぬらん
- 1.7 いざ風の 鑽(たがね)きりこめ 雲の峰
- 1.8 沖に出て 陸地見えざる 雲の峰
- 1.9 乙女子が すべりも落ちよ 雲の峰
- 1.10 おのづから おのづからこそ 雲の峰
- 1.11 駈けてゆく 水際遠し 雲の峰
- 1.12 かさなるや 山々の峯 雲の峯
- 1.13 雲の峰 あたり人かげ なかりけり
- 1.14 雲の峰 いくつ崩れて 月の山
- 1.15 雲の峰 裏は明るき 入日かな
- 1.16 雲の峰 風なき海を 渡りけり
- 1.17 雲の峰 崩れてすべて 崩れ果つ
- 1.18 雲の峰 崩れんとして なほ高く
- 1.19 雲の峰 ころがつていく 毬の先
- 1.20 雲の峰 吸ひ込まれゆく 機影あり
- 1.21 雲の峰 人間小さく 働ける
- 1.22 雲の峰 街より低く なりゐたり
- 1.23 雲の峰 眉間に湧くは 掴むべし
- 1.24 雲の峰 夢にもわきて かぎりなし
- 1.25 桑摘みの 昼をもどるや 雲の峰
- 1.26 ぐん~と 伸び行く雲の 峰のあり
- 1.27 航海や よるひるとなき 雲の峰
- 1.28 虚無僧の 二人つれだつ 雲の峰
- 1.29 しづかさや 湖水の底の 雲の峰
- 1.30 すき腹に 風の吹けり 雲の峰
- 1.31 涼しさよ 手まり程なる 雲の峰
- 1.32 船頭の はだかに笠や 雲の峰
- 1.33 大の字に 寝て見たりけり 雲の峰
- 1.34 立ちならぶ 有象無象や 雲の峰
- 1.35 月呑みて なか~吐ず 雲の峰
- 1.36 東京の 方に當りて 雲の峰
- 1.37 土用餅 腹で広がる 雲の峰
- 1.38 取りつきて 消ゆる雲あり 雲の峰
- 1.39 泥くさき 子供の髪や 雲の峰
- 1.40 投げ出した 足の先なり 雲の峰
- 1.41 秀吉の ひるねの夢や 雲の峰
- 1.42 人として 在る寂しさや 雲の峰
- 1.43 人のなす 罪より低し 雲の峰
- 1.44 帆の多き 阿蘭陀船や 雲の峰
- 1.45 ほの~と 日出づる前の 雲の峰
- 1.46 牧草を 積みし間の 雲の峯
- 1.47 牧はるか 屯す馬に 雲の峰
- 1.48 松の芽の 伸び美しき 雲の峰
- 1.49 爼の 魚の眼が見る 雲の峰
- 1.50 眼にさわる 鳥は消たり 雲の峰
「雲の峰」の俳句 50選
「雲の峰」が詠み込まれた俳句を集め、句の文字の五十音順に並べました。
どうぞ、ごゆっくりとご鑑賞下さい。
青空の 深くて曲る 雲の峰
【作者】右城暮石(うしろ ぼせき)
秋風は まだこえかねつ 雲の峰
【作者】正岡子規(まさおか しき)
雨と成 恋はしらじな 雲の峰
【作者】与謝蕪村(よさ ぶそん)
嵐にも 崩れぬものよ 雲の峰
【作者】上島鬼貫(うえじま おにつら)
生々と 切株にほふ 雲の峰
【作者】橋本多佳子(はしもと たかこ)
生きながら 雲の峯とや なりぬらん
【作者】寺田寅彦(てらだ とらひこ)
いざ風の 鑽(たがね)きりこめ 雲の峰
【作者】尾崎紅葉(おざき こうよう)
【補足】鑽(たがね)とは、鋼鉄でつくった金工用の「のみ」のことです。なお、「鑽」は「のみ」や「きり」とも読まれることがあります。
沖に出て 陸地見えざる 雲の峰
【作者】右城暮石
乙女子が すべりも落ちよ 雲の峰
【作者】斯波園女(しば そのめ)
【補足】乙女子(おとめご=少女子)とは、少女のことです。
おのづから おのづからこそ 雲の峰
【作者】広瀬惟然(ひろせ いぜん)
駈けてゆく 水際遠し 雲の峰
【作者】星野立子(ほしの たつこ)
【補足】「水際」の読み方は「みずぎわ」です。
かさなるや 山々の峯 雲の峯
【作者】森 鴎外(もり おうがい)
雲の峰 あたり人かげ なかりけり
【作者】久保田万太郎(くぼた まんたろう)
雲の峰 いくつ崩れて 月の山
【作者】松尾芭蕉(まつお ばしょう)
【補足】この句は、芭蕉の『奥の細道(おくのほそみち)』に詠み込まれています。「月の山」は、山形にある月山(がっさん)のことで、出羽三山(でわさんざん)の一つに数えられます。
雲の峰 裏は明るき 入日かな
【作者】内藤鳴雪(ないとう めいせつ)
【補足】入日(いりひ)とは、夕日のことをいいます。
雲の峰 風なき海を 渡りけり
【作者】夏目漱石(なつめ そうせき)
雲の峰 崩れてすべて 崩れ果つ
【作者】右城暮石
雲の峰 崩れんとして なほ高く
【作者】高浜年尾(たかはま としお)
雲の峰 ころがつていく 毬の先
【作者】飯田龍太(いいだ りょうた)
【補足】「毬」の読み方は「まり」です。
雲の峰 吸ひ込まれゆく 機影あり
【作者】稲畑汀子(いなはた ていこ)
雲の峰 人間小さく 働ける
【作者】星野立子
雲の峰 街より低く なりゐたり
【作者】右城暮石
雲の峰 眉間に湧くは 掴むべし
【読み】くものみね みけんにわくは つかむべし
【作者】富安風生(とみやす ふうせい)
雲の峰 夢にもわきて かぎりなし
【作者】加藤楸邨(かとう しゅうそん)
桑摘みの 昼をもどるや 雲の峰
【作者】臼田亞浪(うすだ あろう)
【補足】桑摘み(くわつみ)とは、蚕(かいこ)を育てるための桑の葉を摘み取ること、また、摘み取る人のことをいいます。
ぐん~と 伸び行く雲の 峰のあり
【作者】高浜虚子(たかはま きょし)
航海や よるひるとなき 雲の峰
【作者】高浜虚子
虚無僧の 二人つれだつ 雲の峰
【作者】泉 鏡花(いずみ きょうか)
【補足】虚無僧(こむそう=こもそう、ぼろんじ)とは、普化宗(ふけしゅう:日本仏教の禅宗のひとつ)の僧で、深編笠(ふかあみがさ)をかぶって、尺八を吹きながら諸国をまわって修行をします。
しづかさや 湖水の底の 雲の峰
【作者】小林一茶(こばやし いっさ)
すき腹に 風の吹けり 雲の峰
【作者】小林一茶
涼しさよ 手まり程なる 雲の峰
【作者】小林一茶
船頭の はだかに笠や 雲の峰
【作者】宝井其角(たからい きかく)
大の字に 寝て見たりけり 雲の峰
【作者】小林一茶
立ちならぶ 有象無象や 雲の峰
【作者】会津八一(あいづ やいち)
【補足】有象無象(うぞうむぞう)とは、世の中にある、くだらないものの意です。
月呑みて なか~吐ず 雲の峰
【作者】西山泊雲(にしやま はくうん)
東京の 方に當りて 雲の峰
【作者】石井露月(いしい ろげつ)
【補足】「當」は「当」の旧字体です。
土用餅 腹で広がる 雲の峰
【作者】森川許六(もりかわ きょりく)
【補足】土用餅(どようもち)とは、夏の土用についた餅のことで、食べると力が出るといわれます。
取りつきて 消ゆる雲あり 雲の峰
【作者】加賀千代女(かがの りよじょ)
泥くさき 子供の髪や 雲の峰
【作者】井上井月(いのうえ せいげつ)
投げ出した 足の先なり 雲の峰
【作者】小林一茶
秀吉の ひるねの夢や 雲の峰
【作者】会津八一
【補足】豊臣秀吉(とよとみ ひでよし)は、戦国時代 から安土桃山時代にかけての武将で、織田信長(おだ のぶなが)の後を継いで天下を統一しました。
人として 在る寂しさや 雲の峰
【作者】斎藤 玄(さいとう げん)
人のなす 罪より低し 雲の峰
【作者】小林一茶
帆の多き 阿蘭陀船や 雲の峰
【作者】正岡子規
【補足】「阿蘭陀船」の読み方は「おらんだぶね、おらんだせん」です。
ほの~と 日出づる前の 雲の峰
【作者】原 石鼎(はら せきてい)
牧草を 積みし間の 雲の峯
【作者】長谷川かな女(はせがわ かなじょ)
牧はるか 屯す馬に 雲の峰
【作者】阿部みどり女(あべ みどりじょ)
【補足】「屯す」の読み方は「たむろす」です。
松の芽の 伸び美しき 雲の峰
【作者】横光利一
爼の 魚の眼が見る 雲の峰
【作者】桂 信子(かつら のぶこ)
【補足】「俎」の読み方は「まないた」です。
眼にさわる 鳥は消たり 雲の峰
【作者】加賀千代女
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