「夏の海」の俳句 30選　－なつのうみ－

海といえば、四季のうちで一番ふさわしいのは夏のように思えます。

そして、「夏の海」は俳句において夏の季語でもあり、多くの作品に詠み込まれてきました。

このページには、「夏の海」「夏海」詠まれた俳句を多く集めました。いかにも夏といった雰囲気に満ちた作品ばかりですので、どうかじっくりと鑑賞してみて下さい。

「夏の海」の俳句 30選

「夏の海」「夏海」が詠み込まれた俳句を集め、句の文字の五十音順に並べました。

どうぞ、ごゆっくりとご鑑賞下さい。

合言葉　ささやき夏の海に寄る

【作者】仙田洋子(せんだ ようこ)

天草の　島山高し　夏の海

【作者】高浜虚子(たかはま きょし)

【補足】天草(あまくさ)は、熊本の地方の名です。

雨斜め　夏海へゆく　汽車の胴

【作者】柴田白葉女(しばた はくようじょ)

餡こぼさぬ　老婆の如し　夏の海

【作者】永田耕衣(ながた こうい)

【補足】「餡」の読み方は「あん」です。

壱岐の島　途切れて見ゆる　夏の海

【作者】高浜虚子

【補足】壱岐の島(いきのしま)は、長崎にある離島です。

岩鼻に　佛刻まん　夏の海

【作者】会津八一(あいづ やいち)

オホーツク　ブルーに夏の海無辺

【作者】高澤良一(たかざわ よしかず)

【補足】樺太(からふと)・千島列島・カムチャツカ半島などに囲まれた海の名称です。

神やこの島好みけん　夏の海

【作者】西山宗因(にしやま そういん)

西方は　浄土か輝く　夏の海

【作者】桂 信子(かつら のぶこ)

【補足】西方(さいほう)とは、西の方のことをいいます。

寂しきは　夏の海なり　足二本

【作者】永田耕衣

島々や　千々に砕けて　夏の海

【作者】松尾芭蕉(まつお ばしょう)

【補足】「千々に(ちぢに)」とは、多数に分けられるさまをいいます。

そりこ打て　遐世ながらの　夏の海

【作者】臼田亜浪(うすだ あろう)

【補足】遐世(かせい)とは、長い年月のことを意味します。

遠くより　風来て夏の海となる

【作者】飯田龍太(いいだ りょうた)

夏海の　声あつまりて　句碑除幕

【作者】細見綾子(ほそみ あやこ)

夏海へ　大河の口や　あからさま

【作者】松根東洋城(まつね とうようじょう)

夏海へ　燈台みちの　穂麦かな

【作者】飯田蛇笏(いいだ だこつ)

【補足】穂麦(ほむぎ)とは、穂の出た麦のことです。

夏海や　名も平戸島　高からず

【作者】上村占魚(うえむら せんぎょ)

【補足】平戸島(ひらどじま)は、長崎県北部にある島です。

夏海を　見下ろして木を　ゆさぶれる

【作者】細見綾子

夏の海　これより先は　海の夏

【作者】桂 信子

夏の海　滾ち女の胸の上

【作者】伊丹三樹彦(いたみ みきひこ)

【補足】「滾ち(たぎち)」とは、水が激しく流れることをいいます。

夏の海　遠きは紺の　平らけく

【作者】上村占魚

【補足】「平らけく」とは、「平安である、無事である」という意味です。

波頭　立たぬうねりも　夏の海

【作者】後藤比奈夫(ごとう ひなお)

【補足】波頭(なみがしら、はとう)とは、波が盛り上がった先の部分をいいます。

晩年や　空気で冷える　夏の海

【作者】永田耕衣

別荘や　膳を向けたる　夏の海

【作者】正岡子規(まさおか しき)

見とほしに　夏海紺を　ふかめたり

【作者】柴田白葉女

目に余る　夏海なれば　石擲ぐる

【作者】沢木欣一(さわき きんいち)

【補足】「擲ぐる」の読み方は「なぐる(≒投げる)」です。

戻り来て　瀬戸の夏海　絵の如し

【作者】高浜虚子

よるべなく　光あかるし　夏の浜

【作者】山口誓子(やまぐち せいし)

【補足】「よるべなく」とは、「孤独であり不安である」という意味です。

衰老は　水のごと来る　夏の海

【作者】永田耕衣

【補足】衰老(すいろう)とは、年老いて精気・体力が衰えることをいいます。

わが立つ崖　大きな影を　夏海ヘ

【作者】大野林火(おおの りんか)

　関　連　ペ　ー　ジ　

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