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お盆の俳句 30選 -精霊会-

輝いている蓮の花

私たちは子供のころから、詳しい意味はわからないながらもお盆の行事に接してきました。お盆はとても日本らしい風習であり、お正月と並んで年中行事を代表するものです。

その内容は地域によって様々なものがありますが、夏に祖先の霊を供養する行事は奈良時代に確立されていたといわれています。

そのうち、盆踊りは全国的に行なわれていて、夏の大イベントともいえるでしょう。

このページには、お盆ついて詠まれた俳句を集めました。お盆の夏の光景が思い浮かぶようなものばかりですので、是非ともこれらを鑑賞してみて下さい。

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目次

お盆の俳句について

盆提灯

お盆に関する「盂蘭盆」「盆の月」「踊り」「盆燈籠」「盆提灯」などが詠み込まれた句を集めて、俳句の文字の五十音順に並べました。これらはすべて、秋の季語です。

俳句の季語は、春夏秋冬のそれぞれをさらに 3つに分けることがあります。秋は「初秋」「仲秋」「晩秋」となり、お盆に関するものは初秋の季語に分類されます。

なお、精霊会(しょうりょうえ)とは、盂蘭盆会(うらぼんえ)と同じく「お盆」のことです。

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お盆の俳句 30

 

うつし世の 月を真上の 踊かな

【作者】松本たかし

【補足】

うつし世」とは、「(生きている人々が住む、目に見える)この世=現世(げんせ、げんせい)」のことをいいます。

また、「踊(おどり、をどり)」とは盆踊りのことをいいます。

 

 

盂蘭盆会 遠きゆかりと ふし拝む

【作者】高浜虚子(たかはま きょし)

【補足】

盂蘭盆会(うらぼんえ)、盂蘭盆」は、いわゆる「お盆」のことです。

盂蘭盆はサンスクリット語の「ウランバナ(=逆さに吊るす、かけるの意)」を音写したものです。

 

 

盂蘭盆の 出わびて仰ぐ 雲や星

【作者】飯田蛇笏(いいだ だこつ)

 

 

盂蘭盆や こよひきこえず 波の音

【作者】久保田万太郎(くぼた まんたろう)

 

 

遅く出て 海を鎮むる 盆の月

【作者】大野林火(おおの りんか)

【補足】

「鎮むる」の読みは「しずむる」です。

 

 

親一人 子一人盆の あはれなり

【作者】夏目漱石(なつめ そうせき)

 

 

きらきらと 一と降りしたり 盆の雨

【作者】吉武月二郎(よしたけ つきじろう)

蓮の葉についた雨のしずく

 

 

艸まくら 故郷の人の 盆会かな

【作者】加藤暁台(かとう きょうたい)

【補足】

「艸」の読みは「くさ」です。

 

 

城かべに 松の暗さや 盆の月

【作者】原 石鼎(はら せきてい)

 

 

信心の 母にしたがふ 盆會かな

【作者】飯田蛇笏

【補足】

信心(しんじん)とは、信仰して祈ること、信仰心のことをいいます。

「會」は「会」の旧字体です。

 

 

簾垂る 盆提灯は きえしかど

【作者】久保田万太郎

【補足】

「簾」の読みは「すだれ」です。

 

 

月更けて 猫も杓子も 踊かな

【作者】与謝蕪村(よさ ぶそん)

【補足】

「猫も杓子(しゃくし)も」は、「誰でも、どんな者も」を意味する表現です。

 

 

新盆や 絵巻は雲の 帯長く

【作者】中村草田男(なかむら くさたお)

【補足】にいぼん あらぼん

新盆(にいぼん)とは、その人が亡くなってから初めての盆のことをいい、「あらぼん」ということもあります。

 

 

新盆や ひそかに草の やどす露 

【作者】久保田万太郎

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軒提灯 家紋いかつく 盆が来る

【作者】大野林火

 

 

母歩く 庭と思ひぬ 盆の月

【作者】長谷川かな女

 

 

母に吊る 盆燈籠を 消さじとぞ

【作者】長谷川かな女

【補足】

盆燈籠(ぼんとうろう、どうろう)は、お盆にお墓に供える飾りのことで、「盆灯篭」などと表記されることもあります。

 

 

孤つ家の 桐葉がくりぬ 盆燈籠

【作者】飯田蛇笏

【補足】

「孤つ家」の読みは「ひとつや」です。

 

 

盆提灯 比翼しづかに 灯りけり

【作者】久保田万太郎

【補足】

比翼(ひよく)とは、二羽の鳥が互いにその翼(つばさ)を並べることをいいます。

この句では、そのような絵柄が盆提灯に描かれていると解します。

 

 

盆燈籠 真白き房に 風見えて

【作者】高橋淡路女(たかはし あわじじょ)

 

 

盆の月 お山の空は 夜もあおし

【作者】富安風生(とみやす ふうせい)

月と青い夜空

 

 

盆の月 暫し燈籠と 重なりぬ

【作者】富安風生

【補足】

「暫し」の読みは「しばし」で、「少しの間、しばらく」の意です。

 

 

盆の月 柱に照つて ゐたりけり

【作者】久保田万太郎

 

 

盆の月 ひかりを雲に わかちけり

【作者】久保田万太郎

 

 

盆の月 侘び寝の蚊帳に さしわたり

【作者】高橋淡路女

【補足】

侘び寝(わびね)とは、さびしく寝ることをいいます。

「蚊帳」の読みは「かや」です。

 

 

盆は皆に 逢うて踊つて 一夜きり

【作者】大野林火

 

 

盆夕べ 佛壇の灯に 賑へる

【作者】大野林火

【補足】

「賑へる」の読みは「にぎわえる」です。

 

 

女童ら お盆うれしき 帯を垂れ

【作者】富安風生

【補足】めのわらわ

女童」の読みは「めわらわ(めのわらわ)」で、「女の子、少女」のことをいいます。

浴衣に帯を締めた二人の女の子

 

 

山里の 盆の月夜の 明るさよ

【作者】高浜虚子

 

 

夕されば 山路も盆の 人どほり 

【作者】吉武月二郎

【補足】

「夕されば」は「夕方になると」の意です。

また、山路(やまじ)とは、山の中の道のことをいいます。

 


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