「冴え返る」の俳句 50選 -さえかえる-

白い梅の花

春になって少しずつ暖かくなり始めた頃に、冬の厳しい寒さが戻ってくることがあります。

このようなときには、目にするものが冴え冴えとしているように感じられます。

「冴え返る」はこの感覚を表現する言葉で、多くの俳句作品にも季語として詠み込まれてきました。

このページには、「冴え返る」が詠まれた俳句の中から 50句を選びました。春先でありながらも寒さの中の凛とした美しい情景が目に浮かぶような俳句ばかりですので、どうかじっくりと鑑賞してみて下さい。

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目次

「冴え返る」の俳句 50選

「冴え返る」が詠み込まれた俳句を集め、句の文字の五十音順に並べました。

この「冴え返る」は、俳句において春の季語とされます。

 

あまぐもは しろし詩文に 冴返る

【作者】飯田蛇笏(いいだ だこつ)

【補足】詩文(しぶん)とは、詩と文、あるいは文芸を意味します。

 

伊豆も又 冴返る日の あることを

【作者】稲畑汀子(いなはた ていこ)

 

一本の 薄紅梅に 冴え返る

【作者】高浜虚子(たかはま きょし)

 

海遠き 国の嶺々 冴え返る

【作者】原 石鼎(はら せきてい)

【補足】「嶺々」の読み方は「みねみね」です。

 

衰へし いのちを張れば 冴返る

【作者】日野草城(ひの そうじょう)

梅の花と青空

 

影よりも 風の日向の 冴返る

【作者】稲畑汀子

【補足】「日向」の読み方は「ひなた」です。

 

神鳴や 一むら雨の さへかへり

【作者】向井去来(むかい きょらい)

【補足】むら雨(村雨:むらさめ)とは、ひとしきり降っては止む雨のことをいいます。

 

枯枝の さきそろひゐて 冴え返る

【作者】室生犀星(むろう さいせい)

 

還暦の 春に酒なし 冴えかへる

【作者】中 勘助(なか かんすけ)

【補足】還暦(かんれき)とは、数え年 61歳の呼び方です。60年で生まれたときの干支(かんし、えと)に帰ることから名付けられたものです。

 

君行かば われとどまらば 冴返る 

【作者】正岡子規(まさおか しき)

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苦節には 十年は足らず 冴返る

【作者】秋元不死男(あきもと ふじお)

 

雲に鳶 富士たかき日の 冴返る

【作者】飯田蛇笏

【補足】「鳶」の読み方は「とび(=タカ科の鳥類)」です。

 

冴返り 鴨らは闇の 遠くを見る

【作者】松村蒼石(まつむら そうせき)

 

冴え返り 冴え返りつゝ 春央ば

【作者】 西山泊雲(にしやま はくうん)

【補足】「央ば」の読み方は「なかば」です。

 

冴返り 冴返りつゝ 人となり

【作者】星野立子(ほしの たつこ)

白梅と青空

 

冴返り つゝ雨降る日 風吹く日

【作者】星野立子

 

冴返りて 又居ずなりぬ 春の蝿

【作者】高浜虚子

 

冴返る 庵に小さき 火鉢かな 

【作者】村上鬼城(むらかみ きじょう)

【補足】(いお、いおり)とは、質素な小さな家のことをいいます。

 

冴返る 音や霰の 十粒程

【作者】正岡子規

【補足】「霰」の読み方は「あられ」です。

 

冴返る 思ひにありし 吾が心

【作者】稲畑汀子

【補足】「吾が心」の読み方は「がこころ」です。

早春の草

 

冴返る 面輪を薄く 化粧ひけり

【作者】日野草城

【補足】面輪(おもわ)とは、顔のことです。「化粧ひけり」の読み方は「けわいけり」です。

 

冴え返る 川上に水 なかりけり

【作者】村上鬼城

 

冴え返る 雲ことごとく 息づくか

【作者】加藤楸邨(かとう しゅうそん)

 

冴返る 頃を御厭ひ なさるべし 

【作者】夏目漱石(なつめ そうせき)

【補足】「御厭ひ」の読み方は「おいとい」です。

 

冴え返る 匙を落して 拾ふとき

【作者】細見綾子(ほそみ あやこ)

【補足】「匙」の読み方は「さじ」です。

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冴返る すまじきものの 中に恋

【作者】鈴木真砂女(すずき まさごじょ)

 

冴え返る 空灰色に 凧一つ

【作者】会津八一(あいづ やいち)

【補足】「凧」の読み方は「たこ」で、春の季語です。

 

冴え返る 空を歩いて きたりけり

【作者】平井照敏(ひらい しょうびん)

 

冴えかへる それも覚悟の ことなれど

【作者】高浜虚子

 

冴返る 月の高さを 聞くにつけ

【作者】永井龍男(ながい たつお)

夜空の三日月

 

冴えかへる とて美しき 仏顔

【作者】石原八束(いしはら やつか)

 

冴えかへる 山ふかき廬の 閾かな

【作者】飯田蛇笏

【補足】「廬(前出の庵と同じ)」「閾」の読み方は、それぞれ「いお」「しきみ」です。 

 

冴返る 夜を遊楽の 頸飾

【作者】飯田蛇笏

【補足】「頸飾」の読み方は「くびかざり」です。

 

誰がための 高き石垣 冴え返る

【作者】金田咲子(かなだ さきこ)

 

ただ一日 ゆるす懶惰に 冴返る

【作者】林 翔(はやし しょう)

【補足】懶惰(らんだ)とは、なまけおこたることをいいます。

 

乳呑子の よくねる今夜 冴返る

【作者】滝井孝作(たきい こうさく)

【補足】乳呑子(ちのみご)とは、赤ん坊や乳児のことをいいます。

 

妻の肌 乳張つてゐる 冴返る

【作者】滝井孝作

 

鶴の羽や 白きが上に 冴え返る

【作者】河東碧梧桐(かわひがし へきごとう)

 

常盤木の 冴返りたる 面会日

【作者】石田波郷(いしだ はきょう)

【補足】常盤木(ときわぎ)とは、常緑樹のことです。

 

友ら逝き わが生きのびて 冴え返る

【作者】日野草城

【補足】「逝く(ゆく)」とは、人が死ぬことを意味します。

五重塔と夕空

 

昇る日に 冴え返る色 見えにけり

【作者】原 石鼎

 

袴着て 此冴返る日に 出る事か

【作者】尾崎紅葉(おざき こうよう)

 

人に死し 鶴に生まれて 冴返る

【作者】夏目漱石

 

真青な 木賊の色や 冴返る

【作者】夏目漱石

【補足】木賊(とくさ)は、トクサ科の植物名です。

 

三日月は そるぞ寒は さえかへる

【作者】小林一茶(こばやし いっさ)

 

水餅の 水の濁りや 冴返る

【作者】日野草城

【補足】水餅(みずもち)とは、貯えるために水につけておいた餅のことをいいます。

 

物置けば すぐ影添ひて 冴返る

【作者】大野林火(おおの りんか)

 

屋根の雪 ずり落ちんとし 冴返る

【作者】久保田万太郎(くぼた まんたろう)

 

山峡の 杉冴え返る 谺かな

【作者】芥川龍之介(あくたがわ りゅうのすけ)

【補足】「山峡」「谺」の読み方は、それぞれ「やまかい(=山と山の間)」「こだま」です。

 

宵月の 二十あまりや 冴え返る

【作者】会津八一

新月に近い頃の三日月

 


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