扇風機の俳句 30選　－せんぷうき－

夏の暑い日に、手軽に涼しさを得ることができる扇風機は、とても便利な道具といえるでしょう。

この「扇風機」は俳句において夏の季語でもあり、多くの作品に詠み込まれてきました。

このページには、「扇風機」が詠まれた俳句を多く集めました。扇風機が送ってくれる涼しげな風が感じられるような作品ばかりですので、どうかじっくりと鑑賞してみて下さい。

扇風機の俳句 30選

夏の季語である「扇風機」が詠み込まれた俳句を集め、句の文字の五十音順に並べました。

どうぞ、ごゆっくりとご鑑賞下さい。

海よりの　風に加へて　扇風機

【作者】稲畑汀子(いなはた ていこ)

久闊の　何から話そ　扇風機

【作者】高木晴子(たかぎ はるこ)

【補足】久闊(きゅうかつ)とは、長く音信をしないことを意味します。

癖のある　扇風機なり　見てをりぬ

【作者】京極杞陽(きょうごく きよう)

扇風機　嘘八百を　廻すかな

【作者】野村喜舟(のむら きしゅう)

扇風機　大き翼を　やすめたり

【作者】山口誓子(やまぐち せいし)

扇風機　かけてふはつく　団扇あり

【作者】中村汀女(なかむら ていじょ)

扇風機　籠のレモンに　風送る

【作者】横山白虹(よこやま はっこう)

扇風機　嫌ひな妻との　四十年

【作者】高澤良一(たかざわ よしかず)

扇風機　厳秘の文書　飛ばんとす

【作者】日野草城(ひの そうじょう)

【補足】厳秘(げんぴ)とは、絶対に外部に漏らしてはならない秘密、極秘を意味します。

扇風機　好むインコの　喋り出す

【作者】堀口星眠(ほりぐち せいみん)

扇風機　ジヤズの楽器の　いまやすむ

【作者】百合山羽公(ゆりやま うこう)

扇風機　つばさが消えて　風となる

【作者】日野草城

扇風機　止めれば雨の音のまた

【作者】久保田万太郎(くぼた まんたろう)

扇風機　何も云はずに　向けて去る

【作者】中村汀女

扇風機　一つに集ふ　喪なりけり

【作者】橋本榮治(はしもと えいじ)

【補足】「集ふ」の読み方は「つどう」です。

扇風機　人は屈みて　球を突く

【作者】京極杞陽

扇風機　吹き瓶の花　撩乱す

【作者】高浜虚子(たかはま きょし)

【補足】撩乱(りょうらん＝繚乱)とは、いりみだれたさまを意味します。

扇風機　吹き消す恋の　ささめ言

【作者】岡本綺堂(おかもと きどう)

【補足】ささめ言(私語)とは、ひそひそ話。、ないしょ話を意味します。

扇風機　古びし涼を　ふりかぶる

【作者】能村登四郎(のむら としろう)

扇風機　真白し船の　客となる

【作者】山口誓子

扇風機　まはれる茶の間　ぬけにけり

【作者】芝不器男(しば ふきお)

扇風機　むなしき卓を　吹き払ふ

【作者】日野草城

樽造り　照らす如くに　扇風機

【作者】辻田克巳(つじた かつみ)

【補足】「樽造り」の読み方は「たるづくり」です。

妻と子の　同じ本読む　扇風機

【作者】久米正雄(くめ まさお)

何もなき　袂吹かるゝ　扇風機

【作者】日野草城

【補足】「袂」の読み方は「たもと」です。

睡りたる子に止めて置く　扇風機

【作者】稲畑汀子

盃洗に　さゞなみ立つや　扇風機

【作者】芝不器男

【補足】盃洗(はいせん)とは、盃を水洗いするために水を張る器のことです。

ひとところ　軋みて車内　扇風機

【作者】辻田克巳

【補足】「軋みて」の読み方は「きしみて」です。

もの思ふごと扇風器　休めるは

【作者】石塚友二(いしづか ともじ)

夕闇に　めぐる怪体や　扇風機

【作者】芥川龍之介(あくたがわ りゅうのすけ)

【補足】怪体(けたい)とは、「いまいましいさま、しゃくにさわるさま、 奇妙なさま、不思議なさま」を意味します。

　関　連　ペ　ー　ジ　

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