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鹿の季語 15 と俳句 50選 - しか -

落ち葉の上の二匹の小鹿

鹿の鳴き声は人の心に強く響くものがあり、万葉の時代から和歌などにも多く詠み込まれてきました。

俳句においても、鹿に関する季語は春・夏・秋・冬にわたって数多くのものがあり、多くの俳人たちによって取り上げられてきました。

このページには、「鹿の季語・俳句」を四季それぞれについて集めました。季節それぞれの鹿のいる光景が目に浮かぶような俳句を選んでありますので、是非ともチェックしてみて下さい。

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目次

鹿の季語と俳句について

こちらに向かって歩いてくる小鹿

「春の鹿」「夏の鹿」「鹿」「冬の鹿」などをはじめとする鹿に関する季語と、鹿について詠まれた俳句を 50句集め、四季それぞれに分けました。

季節の句ごとに、俳句の文字の五十音順に並べてありますので、じっくりと鑑賞してみて下さい。

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春の鹿の季語と俳句

 

桜の木の下の三匹の鹿

 

石段の ふちを登りぬ 孕み鹿

【作者】高橋淡路女(たかはし あわじじょ)

【季語】孕み鹿(はらみじか)

 

かかはらず がほに屎りをり 春の鹿

【作者】阿波野青畝(あわの せいほ)

【季語】春の鹿

【補足】「屎る(しる)」は、「糞(ふん)をする」という意味です。

 

雲割れて 日差すや起てる 孕鹿

【作者】秋元不死男(あきもと ふじお)

【季語】孕鹿

 

銭湯を 出し人に立つ 春の鹿

【作者】原 石鼎(はら せきてい)

【季語】春の鹿

 

孕鹿 とぼとぼ雨に ぬれて行く

【作者】高浜虚子(たかはま きょし)

【季語】孕鹿

 

孕み鹿 肘にて起ちし ことも見る

【作者】山口誓子(やまぐち せいし)

【季語】孕み鹿

【補足】「肘」の読み方は「ひじ」です。

 

孕み鹿 より来ることの 愛しさよ

【作者】岸 風三楼(きし ふうさんろう)

【季語】孕み鹿

 

孕鹿 若草山を 辿りけり 孕鹿

【作者】正岡子規(まさおか しき)

【季語】孕鹿

【補足】「辿りけり」の読み方は「たどりけり」です。

 

春鹿の 眉ある如く 人を見し

【作者】原 石鼎

【季語】春鹿

 

春鹿を 射て舁きいでし 甌窶かな

【作者】飯田蛇笏(いいだ だこつ)

【季語】春鹿

【補足】「舁き」「甌窶」の読み方は、それぞれ「き(=かつぎ)」「おうる(=高くて狭い地、小さな丘)」です。 

 

反古を食み ひもじがりをり 春の鹿

【作者】阿波野青畝

【季語】春の鹿

【補足】反古(ほご)とは、不用になった紙のことをいいます。

 

枕にも なれよ旅寐の 春の鹿

【作者】松岡青蘿(まつおか せいら)

【季語】春の鹿

【補足】「旅寐」の読み方は「たびね」です。

 

夏の鹿の季語と俳句

 

夏の草原の鹿の群れ

 

顔よせて 鹿の子ほのかに あたたかし

【作者】三橋鷹女(みつはし たかじょ)

【季語】鹿の子

 

灌仏の 日に生まれあふ 鹿の子かな

【作者】松尾芭蕉(まつお ばしょう)

【季語】鹿の子

【補足】「灌仏(かんぶつ)の日」とは、お釈迦様の誕生日(4月8日) のことです。

 

この鹿や 人なれがほに 袋角

【作者】百合山羽公(ゆりやま うこう)

【季語】袋角

【補足】袋角(ふくろづの)とは、生えかわって「こぶ」のようになっている鹿の角のことをいいます。

 

鹿の角 先づ一節の 別れかな

【作者】松尾芭蕉

【季語】鹿の角

 

袖かけて 折らさじ鹿の 袋角

【作者】斯波園女(しば そのめ)

【季語】袋角

 

夏鹿の 大路かけりし すねの音

【作者】原 石鼎

【季語】夏鹿

 

夏鹿の 面を横に 歩きけり

【作者】永田耕衣(ながた こうい)

【季語】夏鹿

【補足】「面」の読み方は「おもて(=顔の意)」です。

 

拝殿の 下に生れゐし 子鹿かな

【作者】杉田久女(すぎた ひさじょ)

【季語】子鹿

 

人を見る こころもとなき 鹿の子かな

【作者】後藤夜半(ごとう やはん)

【季語】鹿の子

 

袋角 定かにそれと あはれなり

【作者】高浜年尾(たかはま としお)

【季語】袋角

 

二俣に わかれ初けり 鹿の角

【作者】松尾芭蕉

【季語】鹿の角

【補足】「二俣」「初けり」の読み方は、それぞれ「ふたまた」「そめけり」です。

 

見おぼえの ある顔をして 袋角

【作者】後藤夜半

【季語】袋角

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秋の鹿の季語と俳句

 

秋の山を歩く鹿

 

あさましく 山にぞ明けし 鹿火屋かな

【作者】原 石鼎

【季語】鹿火屋

【補足】鹿火屋(かびや)とは、鹿や猪などが田畑を荒らさないように火をたく小屋のことです。

 

囲み見る ただの火にして 鹿火あはれ

【作者】皆吉爽雨(みなよし そうう)

【季語】鹿火

 

鹿火屋あり 歯朶群落の 崖を負ひ

【作者】高浜年尾

【季語】鹿火屋

【補足】「歯朶」の読み方は「しだ」です。

 

恋すてふ 角切られけり 奈良の鹿

【作者】小林一茶(こばやし いっさ)

【季語】鹿

【補足】「恋すてふ」は「恋しているという」の意味です。

 

鹿垣の ずり破れたる 山路かな

【作者】阿波野青畝

【季語】鹿垣

【補足】鹿垣(ししがき)とは、田畑を荒らしに来る鹿や猪などを防ぐための仕切りのことです。

 

鹿垣の 門鎖し居る 男かな

【作者】原 石鼎

【季語】鹿垣

 

鹿垣や 青々濡るる 蔦かづら

【作者】飯田蛇笏

【季語】鹿垣

 

鹿の足 よろめき細し 草紅葉

【作者】西山泊雲(にしやま はくうん)

【季語】鹿

 

鹿寄せの 笛まだ鳴らず 秋の暮

【作者】長谷川かな女(はせがわ かなじょ)

【季語】鹿寄せ

 

神仏よ 鹿ねぢ伏せて 角切らす

【作者】百合山羽公

【季語】鹿

 

月と成 闇となりつゝ 鹿の恋

【作者】高井几董(たかい きとう)

【季語】鹿

 

奈良の宿 御所柿くへば 鹿が鳴く

【作者】正岡子規

【季語】鹿

【補足】御所柿(ごしょがき)は、奈良の御所(ごせ)原産の甘柿です。

 

寐時分や 戸に吹付る 鹿の声

【作者】松岡青蘿

【季語】鹿の声

 

びいと啼く 尻声悲し 夜の鹿

【作者】松尾芭蕉

【季語】鹿

【補足】「啼く」の読み方は「く」です。

 

もの忘れ したらん貌や 落し角

【作者】高橋淡路女

【季語】落し角

【補足】「貌」の読み方は「かお」です。

 

山上憶良を鹿の 顔に見き

【作者】後藤夜半

【季語】鹿

【補足】山上憶良(やまのうえのおくら)は、奈良時代の歌人です。

 

行く秋を すつくと鹿の 立ちにけり

【作者】正岡子規

【季語】鹿

 

をりをりに 鹿のかほ出す 紅葉哉

【作者】正岡子規

【季語】鹿

 

冬の鹿の季語と俳句

 

雪山の二匹の鹿

 

空也忌に 拝むや鹿の 裘

【作者】松瀬青々(まつせ せいせい)

【季語】空也忌

【補足】空也忌(くうやき)は、平安時代の僧・空也の命日である 11月13日(旧暦)です。「裘」の読み方は「かわごろも(=皮衣)」です。

 

炬燵して 鹿来る山を 思ひけり

【作者】百合山羽公

【季語】炬燵(こたつ)

 

しぐるゝや 鹿にものいふ 油つぎ

【作者】加舎白雄(かや しらお)

【季語】しぐるゝ

 

すゝ掃の 埃かつぐや 奈良の鹿

【作者】炭 太祇(たん たいぎ)

【季語】すゝ掃

【補足】「埃」の読み方は「ほこり」です。

 

遠出して 鹿も時雨に 逢ひにけり

【作者】鈴木真砂女(すずき まさごじょ)

【季語】時雨

 

冬の鹿 頸細々と 木枝嗅ぐ

【作者】長谷川かな女

【季語】冬の鹿

【補足】「頸」の読み方は「くび(=首)」です。

 

まだ鹿の 迷ふ道なり 初しぐれ

【作者】加賀千代女(かがのちよじょ)

【季語】初しぐれ

 

わかれ鹿 霜の笹山 わたるなり

【作者】加藤暁台(かとう きょうたい)

【季語】霜

 

鹿の季語のまとめ

 

春の鹿
孕み鹿
夏鹿
鹿の子
子鹿
鹿の角
袋角
鹿
鹿の声
鹿火
鹿火屋
鹿垣
鹿寄せ
落し角
冬の鹿

 

 


 関 連 ペ ー ジ 


四季それぞれの俳句、有名な俳句を以下のページに集めてありますので、是非ご覧になってみて下さい。

⇒ 春の俳句 25

⇒ 夏の俳句 25

⇒ 秋の俳句 25

⇒ 冬の俳句 25

⇒ 有名な俳句 30選

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