年用意の俳句 30選 -としようい-
年の暮に、新年を迎えるためのいろいろな用意をすることを年用意ということがあります。
この「年用意」は俳句において冬の季語でもあり、多くの作品に詠み込まれてきました。
このページには、「新年を迎えるためのいろいろな用意をすること」が詠まれた俳句を多く集めました。いよいよ新しい年を迎える頃の雰囲気に満ちた作品ばかりですので、どうかじっくりと鑑賞してみて下さい。
目次
- 1 年用意の俳句 30選
- 1.1 あるがまま とは年用意にも及ぶ
- 1.2 エレベーター 使ふ生活も 年用意
- 1.3 片付ける ことよりはじめ 年用意
- 1.4 替へておく 電球幾つ 年用意
- 1.5 簡単な 筈があれこれ 年用意
- 1.6 簡単に いつもの如く 年用意
- 1.7 厨の灯 ひとつ吊り足し 年用意
- 1.8 心にも 捨つるものあり 年用意
- 1.9 沙弥が刷る 歳徳神も 年用意
- 1.10 少しづつ 思ひ出しては 年用意
- 1.11 外濠の 鴨を窗辺に 年用意
- 1.12 田仕舞の 地蔵に供華や 年用意
- 1.13 長男の 力借りもし 年用意
- 1.14 年用意 終へたる髮の うす湿り
- 1.15 年用意 ならぬ古壺 買ひ戻る
- 1.16 年用意 年々妻は 手を抜けり
- 1.17 年用意 明治の玻璃戸 てふ歪み
- 1.18 年用意 靄あたゝかき 日なりけり
- 1.19 年用意 やうやく主婦の 顔となり
- 1.20 年用意 をはりし水を 打ちにけり
- 1.21 縄の玉 ころがってゐる 年用意
- 1.22 白菜と 夜目に運びて 年用意
- 1.23 抽斗に 肚立ててゐる 年用意
- 1.24 久々に 穴掘ることも 年用意
- 1.25 一袋 猫もごまめの 年用意
- 1.26 病室の 夫に聞くこと 年用意
- 1.27 病僧や かさりこそりと 年用意
- 1.28 古机 塗りかへもして 年用意
- 1.29 ふる雪の かりそめならず 年用意
- 1.30 文筆の徒にもありけり 年用意
年用意の俳句 30選
「年用意」が詠み込まれた俳句を集め、句の文字の五十音順に並べました。
どうぞ、ごゆっくりとご鑑賞下さい。
あるがまま とは年用意にも及ぶ
【作者】稲畑汀子(いなはた ていこ)
エレベーター 使ふ生活も 年用意
【作者】岡本 眸(おかもと ひとみ)
片付ける ことよりはじめ 年用意
【作者】稲畑汀子
替へておく 電球幾つ 年用意
【作者】稲畑汀子
簡単な 筈があれこれ 年用意
【作者】稲畑汀子
【補足】「筈」の読み方は「はず」です。
簡単に いつもの如く 年用意
【作者】稲畑汀子
【補足】「如く」の読み方は「ごとく」です。
厨の灯 ひとつ吊り足し 年用意
【作者】岡本 眸
【補足】厨(くりや)とは、食物を調理する所、台所のことをいいます。
心にも 捨つるものあり 年用意
【作者】山田弘子(やまだ ひろこ)
沙弥が刷る 歳徳神も 年用意
【作者】河野静雲(こうの せいうん)
【補足】沙弥(しゃみ)とは、出家しても未だ正式の僧になっていない男子のことをいいます。歳徳神(としとくじん)は、その年の福徳をつかさどる神様です。
少しづつ 思ひ出しては 年用意
【作者】稲畑汀子
外濠の 鴨を窗辺に 年用意
【作者】飯田蛇笏(いいだ だこつ)
【補足】「窗」は「窓」の異体字です。
田仕舞の 地蔵に供華や 年用意
【作者】角川源義(かどかわ げんよし)
【補足】田仕舞(たじまい)とは、収穫が終った後の祝いの飲食のことです。供華(くげ)は、仏前または死者に花を供えること、また、その供えた花のことです。
長男の 力借りもし 年用意
【作者】稲畑汀子
年用意 終へたる髮の うす湿り
【作者】岡本眸
年用意 ならぬ古壺 買ひ戻る
【作者】下村ひろし(しもむら ひろし)
年用意 年々妻は 手を抜けり
【作者】高澤良一(たかざわ よしかず)
年用意 明治の玻璃戸 てふ歪み
【作者】稲畑廣太郎(いなはた こうたろう)
【補足】玻璃戸(はりど)とは、「ガラス戸」のことをいいます
年用意 靄あたゝかき 日なりけり
【作者】久保田万太郎(くぼた まんたろう)
【補足】「靄」の読み方は「もや」です。
年用意 やうやく主婦の 顔となり
【作者】稲畑廣太郎
年用意 をはりし水を 打ちにけり
【作者】岸 風三楼(きし ふうさんろう)
縄の玉 ころがってゐる 年用意
【作者】高野素十(たかの すじゅう)
白菜と 夜目に運びて 年用意
【作者】中村汀女(なかむら ていじょ)
【補足】夜目(よめ)とは、夜に暗い中で見ることをいいます。
抽斗に 肚立ててゐる 年用意
【作者】辻田克巳(つじた かつみ)
【補足】「抽斗」の読み方は「ひきだし」です。「肚」の読み方は「はら(=腹)」です。
久々に 穴掘ることも 年用意
【作者】能村研三(のむら けんぞう)
一袋 猫もごまめの 年用意
【作者】小林一茶(こばやし いっさ)
【補足】ごまめ(鱓、古女)は、小形のカタクチイワシの乾製品で、新年などの祝賀用とされます。
病室の 夫に聞くこと 年用意
【作者】山田弘子
病僧や かさりこそりと 年用意
【作者】川端茅舎(かわばた ぼうしゃ)
古机 塗りかへもして 年用意
【作者】稲畑汀子
ふる雪の かりそめならず 年用意
【作者】久保田万太郎
【補足】かりそめ(仮初、苟且)とは、「一時の事」の意です。
文筆の徒にもありけり 年用意
【作者】山口青邨(やまぐち せいそん)
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