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椿の季語 12 と俳句 80選 -つばき-

ピンク色の椿の花

「椿」という文字は「木」と「春」から出来ていますし、春の木といえるのでしょう。

しかし、早咲きのものは厳しい寒さの中でも花が開きます。また、椿の品種はとても多いので、庭木として人気がありますし、身近で見かけることも多いものです。

このページには、椿に関する季語と、それらが詠み込まれた俳句を集めてあります。

雪をかぶりながらも咲いている椿、冬から春にかけて鮮やかに花が開くものなど、様々な美しさが感じられるものばかりですので、どうかじっくりと鑑賞してみて下さい。

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目次

椿に関する季語について

椿は古くから人々に愛されてきた花で、万葉集(まんようしゅう)にもその名がみられます。

あしひきの 八つ峰の椿つらつらに 見とも飽かめや植ゑてける君

 大伴家持(おおとものやかもち)

また、俳句においても、多くの俳人の多くの作品に詠み込まれてきました。そして、椿に関する季語には様々なものがあります。

そのバリエーションを、豊富な俳句とともにみていきましょう。

白斑の椿の花

 

 

季語「紅椿」の俳句

紅椿(あかつばき)は春の季語です。

 

紅き椿の 実を拾ひ溜め 女となる

【作者】長谷川かな女(はせがわ かなじょ)

 

紅椿 こゝだく散りて なほ咲けり

【作者】日野草城(ひの そうじょう)

【補足】「こゝだく(幾許)」とは、「(こんなにも)多く、(こうも)はなはだしく」という意味です。

 

紅椿 つとおつ午時の 炭俵

【作者】泉 鏡花(いずみ きょうか)

【補足】「つと(=つっと)」は急に動作が起こる様子を表現する言葉です。「おつ(落つ)」は「落ちる、散る」の意味です。「午時」の読み方は「ひるどき」です。

 

ぬかるみを よけてあるくや 紅椿

【作者】久保田万太郎(くぼた まんたろう)

 

法起寺の 塔赤椿 白椿

【作者】星野立子(ほしの たつこ)

【補足】法起寺(ほうきじ、ほっきじ)は奈良にある聖徳宗の寺院です。

 

 

季語「白椿」の俳句

白椿(しろつばき)は春の季語です。

 

廻廊の 雨したたかに 白椿

【作者】横光利一(よこみつ りいち)

【補足】廻廊(かいろう=回廊)とは、長くて折れ曲がった廊下のことをいいます。

 

白椿 うすみどり帯び 湿らへる

【作者】大野林火(おおの りんか)

 

白椿 昨日の旅の 遥かなる

【作者】中村汀女(なかむら ていじょ)

 

友去りぬ 春夜の床の 白椿

【作者】阿部みどり女(あべ みどりじょ)

 

秘色見る 外は畠の 白椿

【作者】松瀬青々(まつせ せいせい)

【補足】秘色(ひそく)とは薄い青緑色のことで、「青磁の肌のような色」と表現されることが多いです。

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季語「乙女椿」の俳句

乙女椿(おとめつばき)はピンク色の花を咲かせます。春の季語です。

 

風吹くや 隠れ顔なる 乙女椿

【作者】楠本憲吉(くすもと けんきち)

 

真中濃く 乙女椿の 桃色に

【作者】原 石鼎(はら せきてい)

【補足】「真中」の読み方は「まなか」です。

 

 

季語「玉椿」の俳句

玉椿(たまつばき)は、椿の美称です。春の季語です。

 

大空に うかめる如き 玉椿

【作者】高浜虚子(たかはま きょし)

【補足】「うかめる」は「浮かべる」の意です。

 

口紅の 初花ゆかし 玉椿

【作者】上島鬼貫(うえじま おにつら)

【補足】「ゆかし」とは、心が惹かれるという意味です。

 

玉椿 海の日の出は 靄ふかし

【作者】水原秋桜子(みずはら しゅうおうし)

【補足】「靄」の読み方は「もや」です。

 

玉椿 落て浮けり 水の上

【作者】槐本諷竹(えもと ふうちく)

 

玉椿 親仁さけすば かゝらじを

【作者】服部嵐雪(はっとり らんせつ)

【補足】「親仁」の読み方は「おやじ」です。句意は「(落ちてくる)椿を、老爺が避けようとしなければ(体に)当たらなかったものを…」と解します。

石段に落ちた赤い椿の花

 

 

季語「八重椿」の俳句

八重椿(やえつばき)は春の季語です。なお、椿には一重咲きのものもあります。

 

ことごとく 咲いて葉乏し 八重椿

【作者】鈴木花蓑(すずき はなみの)

 

八重椿 蒼土ぬくく うゑられぬ

【作者】飯田蛇笏(いいだ だこつ)

【補足】「蒼土」の読み方は「あおつち」です。

 

八重椿 漁港二月の 風鳴れど

【作者】水原秋桜子

 

 

季語「藪椿」の俳句

藪椿(やぶつばき)は野生の椿で、春の季語となります。

 

藪椿 門は葎の 若葉かな

【作者】松尾芭蕉(まつお ばしょう)

【補足】葎(むぐら)は「つる草」の総称で、生い茂って藪のようになります。

 

雪ふりの 明くる日ぬくし 藪椿

【作者】槐本之道(えもと しどう)

 

 

季語「山椿」の俳句

山椿(やまつばき)は春の季語です。

 

高潮に 最もいたみ 山椿

【作者】阿部みどり女

 

ぱらぱらと 日雨音する 山椿

【作者】飯田蛇笏

【補足】日雨(ひあめ)は、「晴れなのに降っている雨」と解します。

 

山椿 高々とある 峠かな

【作者】河東碧梧桐(かわひがし へきごとう)

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季語「落椿」の俳句

椿には、花びら(花弁)が丸ごと落ちる品種が多くあります。

その様子は落椿(おちつばき)と表現され、俳句において春の季語となっています。

 

仰向いて 雲の上ゆく 落椿

【作者】三橋鷹女(みつはし たかじょ)

 

大雨の 流れし跡や 落椿

【作者】星野立子

 

落椿 紅も褪せずに 流れけり

【作者】高橋淡路女(たかはし あわじじょ)

【補足】「褪せずに」の読み方は「せずに」です。

 

落椿 美し平家 物語

【作者】高浜虚子

 

落椿 小倉百人 一首散る

【作者】百合山羽公(ゆりやま うこう)

 

落椿 投げて煖炉の 火の上に

【作者】高浜虚子

【補足】「暖炉」の読み方は「だんろ」です。

 

落椿 夜めにもしろき あはれかな

【作者】久保田万太郎

【補足】夜め(夜目)とは、夜間に物を見ることをいいます。

 

囀りの 高まる時の 落椿

【作者】高浜虚子

【補足】「囀り」の読み方は「さえずり」です。

 

春雷や ぽたりぽたりと 落椿

【作者】松本たかし(まつもと たかし)

 

夢のごとき 誓ひなりけり 落椿

【作者】上村占魚(うえむら せんぎょ)

数多くの椿の落花

 

 

季語「椿餅」の俳句

椿餅(つばきもち)とは、道明寺粉(どうみょうじこ)で作った餅の中に餡(あん)を入れ、2枚の椿の葉で包んだものです。春の季語となります。

 

薄羽織 ぬいでたゝみぬ 椿餅

【作者】阿部みどり女

 

観音の 乳房はりきり 椿餅

【作者】萩原麦草(はぎわら ばくそう)

 

椿餅 葉の本はすに 切にけり

【作者】松瀬青々

【補足】「はすに」は「斜めに」という意味です。

 

妻在らず 盗むに似たる 椿餅

【作者】石田波郷(いしだ はきょう)

 

満月や 誰が指ふれし 椿餅

【作者】中 勘助(なか かんすけ)

 

 

季語「椿の実」の俳句

椿は秋に丸い実を結び、この実から作られる椿油(つばきあぶら)は、古くから髪油(かみあぶら)や食用に用いられてきました。

「TSUBAKI」は資生堂のメガブランドであり、そもそも資生堂のシンボルが椿です。

 

雨は地を 流れてやまぬ 椿の実

【作者】鈴木鷹夫(すずき たかお)

 

机上にて ひとり割れたる 椿の実

【作者】加藤秋邨(かとう しゅうそん)

【補足】「机上」の読み方は「きじょう」です。

 

白木槿 うしろの山は 椿の実

【作者】瀧井孝作(たきい こうさく)

【補足】木槿(むくげ)は、アオイ科の落葉樹です。

 

青年に 忌日の青き 椿の実

【作者】長谷川かな女

【補足】忌日(きにち)とh、いわゆる命日(めいにち)のことです。

 

椿の実 紅は嘆きの いろならむ

【作者】飯田龍太

【補足】「嘆き」の読み方は「なげき」です。

 

椿の実 退院妻に 後れけり

【作者】石田波郷

 

椿の実 拾へる妻を 見つつ謝す

【作者】石田波郷

 

椿の実 干し眼福に 大雅堂

【作者】富安風生(とみやす ふうせい)

【補足】眼福(がんぷく)とは、目の保養のことをいいます。大雅堂(たいがどう)は、江戸時代の画家・池 大雅(いけの たいが)の雅号(がごう)の一つです。

 

午の雨 椿の実など ぬれにけり

【作者】松瀬青々

【補足】「午」の読み方は「ひる」です。

 

丸めても 見たりつら~ 椿の実

【作者】尾崎紅葉(おざき こうよう)

椿の実

椿の実

 

 

季語「寒椿」の俳句

椿には、「寒椿」という品種もあります。

しかし、季語としての寒椿(かんつばき)はこれに限ったものではなく、寒い冬のうちから咲く椿のことも意味します。

【関連】 寒椿・冬椿の俳句

 

お針子の 膝まで日ざす 寒椿

【作者】富田木歩(とみた もっぽ)

【補足】お針子(おはりこ)とは、針仕事に雇われる女性のことをいいます。

 

寒椿 遠村遠望 確かむる

【作者】中村草田男(なかむら くさたお)

 

寒椿 落ちて火の線 残りけり

【作者】加藤楸邨

 

寒椿 今年は咲かぬ やうすなり

【作者】正岡子規(まさおか しき)

 

寒椿 しだいに雪の 明るくて

【作者】横光利一

 

寒椿 力を入れて 赤を咲く

【作者】正岡子規

 

寒椿 つひに一日の ふところ手

【作者】石田波郷

 

寒椿 日ぎめの人形 仕上らず

【作者】富田木歩

 

寒椿 ひさしき蕾 ゆるびけり

【作者】西島麦南(にしじま ばくなん)

【補足】「蕾」の読み方は「つぼみ」です。

 

汐入りの 池あたたかし 寒椿

【作者】中村汀女

【補足】汐入り(しおいり)とは、潮の満ち引きで海水が流れ通うことをいいます。

 

何といふ 赤さ小ささ 寒椿

【作者】星野立子

 

花咲いて おのれをてらす 寒椿

【作者】飯田龍太(いいだ りゅうた)

 

夕月や ひそかに咲ける 寒椿

【作者】日野草城

 

雪女郎に 恋はありけり 寒椿

【作者】中 勘助

【補足】雪女郎(ゆきじょろう)とは、いわゆる雪女(ゆきおんな)のことです。

 

雪晴れて 大破の屋根や 寒椿

【作者】西島麦南

雪晴れに輝く椿の赤い花

 

 

季語「冬椿」の俳句

冬椿(ふゆつばき)は寒椿と同様に、冬に咲く早咲きの椿のことを意味します。

 

うつくしく 交る中や 冬椿

【作者】上島鬼貫

 

おろかさの かぎりをつくし 冬椿

【作者】三橋鷹女

 

琴爪の 白きがさみし 冬椿

【作者】長谷川かな女

【補足】琴爪(ことづめ)とは、琴をひくときに指先に付ける爪形の具です。

 

しゞに照る 葉に花しづみ 冬椿

【作者】西島麥南

【補足】「しじに(繁に)」とは、草木が生い茂る様子を表現する言葉です。

 

竹藪に 散りて仕舞ひぬ 冬椿

【作者】前田普羅(まえだ ふら)

 

寺に生れて 経をきらひぬ 冬椿

【作者】阿部みどり女

 

日あたりや 蜜柑の畑の 冬椿

【作者】泉鏡花

 

火のけなき 家つんとして 冬椿

【作者】小林一茶(こばやし いっさ)

 

冬椿 焦げぬ幾日か 土踏まぬ

【作者】長谷川かな女

 

冬椿 呪縛解かれし 赤さかな

【作者】長谷川かな女

【補足】「呪縛」の読み方は「じゅばく」です。

 

冬椿 乏しき花を 落しけり

【作者】日野草城

 

冬椿 日に富む障子 とさしたり

【作者】尾崎紅葉

【補足】「障子」の読み方は「しょうじ」です。

 

冬つばき 世をしのぶとに あらねども

【作者】久保田万太郎

 

ふるさとの 町に坂無し 冬椿

【作者】鈴木真砂女(すずき まさごじょかっこ)

 

まだ明日の 逢はむ日のこる 冬椿

【作者】中村汀女

薄いピンク色の椿の花

 


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