鶴の俳句 30選　－つる－

古くから鶴(つる)は長寿や吉祥の象徴とされ、その美しい姿が愛されてきた鳥です。

そして、「鶴」は俳句において冬の季語でもあり、多くの作品に詠み込まれてきました。

このページには、「鶴」が詠まれた俳句を多く集めました。冬らしい雰囲気に満ちた作品ばかりですので、どうかじっくりと鑑賞してみて下さい。

鶴の俳句 30選

「鶴」が詠み込まれた俳句を集め、句の文字の五十音順に並べました。

どうぞ、ごゆっくりとご鑑賞下さい。

一輪の　竜胆餐けよ　鶴の墓

【作者】阿波野青畝(あわの せいほ)

【補足】竜胆(りんどう)は、リンドウ科の多年生植物です。「餐けよ」の読み方は「いただけよ」です。

うらゝかや　躑躅に落つる　鶴の糞

【作者】日野草城(ひの そうじょう)

【補足】「躑躅」の読み方は「つつじ」です。

梅白し　昨日や鶴を　盗まれし

【作者】松尾芭蕉(まつお ばしょう)

園丁と　鶴と暮れゐる　落葉かな

【作者】飯田蛇笏(いいだ だこつ)

【補足】園丁(えんてい)とは、庭師や植木屋などのことをいいます。

大空に　舞ひ別れたる　鶴もあり

【作者】杉田久女(すぎた ひさじょ)

おもむろに　鶴歩み出づ　うらゝかな

【作者】高橋淡路女(たかはし あわじじょ)

【補足】「おもむろに(徐に)」とは、ゆっくりと行動する様子を表現する言葉です。

看護婦は　乳房を持ちし　鶴ならむ

【作者】栗林千津(くりばやし ちづ)

元日を　飼はれて鶴の　啼きにけり

【作者】臼田亜浪(うすだ あろう)

【補足】「啼きにけり」の読み方は「なきにけり」です。

月光に　舞ひすむ鶴を　軒高く

【作者】杉田久女

凩の　空見なほすや　鶴の声

【作者】向井去来(むかい きょらい)

【補足】「凩」の読み方は「こがらし(＝木枯し)」です。

子を連れて　落穂拾ひの　鶴の群

【作者】杉田久女

左義長の　火中に鶴の　舞へりけり

【作者】古舘曹人(ふるたち そうじん)

【補足】左義長(さぎちょう)とは、小正月( 1月15日が多い)に行なわれる火祭りの行事です。

残月に　鶴放ちけり　嶺の人

【作者】尾崎紅葉(おざき こうよう)

【補足】「嶺」の読み方は「みね(＝峰)」です。

しとやかな　こと習はうか　田打ち鶴

【作者】広瀬惟然(ひろせ いぜん、いねん)

【補足】「田打ち(たうち)」とは、春に田植えの準備のために田を鋤(す)き返すことです。

姿よき　鶴にて群を　離れ立つ

【作者】古賀まり子(こが まりこ)

空の鶴　われら仰ぐと　声こたふ

【作者】皆吉爽雨(みなよし そうう)

何処やらに　鶴の声聞く　霞かな

【作者】井上井月(いのうえ せいげつ)

【補足】「何処」の読み方は「どこ、いずこ」です。

残る雪　鶴郊外に　下りて居り

【作者】河東碧梧桐(かわひがし へきごとう)

初しもや　煩ふ鶴を　遠く見る

【作者】与謝蕪村(よさ ぶそん)

【補足】「煩ふ」の読み方は「わずらう」です。

初雷や　一羽となりて　狂ふ鶴

【作者】久米正雄(くめ まさお)

【補足】初雷(はつらい)とは、その年に初めて鳴る雷のことをいいます。

人に死し　鶴に生まれて　冴返る

【作者】夏目漱石(なつめ そうせき)

【補足】「冴返る(さえかえる)」とは、春先に、一度緩んだ寒さが戻ってくることをいいます。

ふらこゝや　人去つて鶴　歩みよる

【作者】尾崎放哉(おざき ほうさい)

【補足】「ふらここ(鞦韆：しゅうせん)」とは、遊具のブランコのことです。

噴水や　しぶきに濡れて　鶴の居り

【作者】鈴木花蓑(すずき はなみの)

ほの～と　鶴を夢みて　明の春

【作者】尾崎紅葉

【補足】「明の春(あけのはる)」は、年の初めを祝っていう言葉です。

松原に　稲を干したり　鶴の声

【作者】椎本才麿(しいのもと さいまろ)

村人の　鶴にのこせし　落穂とも

【作者】亀井糸游(かめい しゆう)

名月や　たしかに渡る　鶴の声

【作者】服部嵐雪(はっとり らんせつ)

山風に　鶴が啼いたる　寒さかな

【作者】飯田蛇笏

夕影の　青芝踏みて　鶴涼し

【作者】日野草城

らうそくの　涙氷るや　夜の鶴

【作者】与謝蕪村

　関　連　ペ　ー　ジ　

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