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8月の季語 30の【一覧】と例句

盆提灯

8月のお盆の行事は暑い最中のことですが、とても日本的な情緒を感じさせてくれるものです。

そして、お盆が過ぎて 8月も下旬になると、少しずつ秋の到来を期待しながらも、やがて終わってしまう夏を惜しむようにして暮らしてゆきます。

このページでは、そのような季節感に満ちた「8月の季語」といえるものを集めて、それぞれの例句とともに並べました。8月ならではの雰囲気に満ちたものばかりですので、是非チェックしてみて下さい。

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8月の季語30

私たちが使っている現代の暦(新暦)の 8月にみられる風物で、俳句の季語となっているものを集めて、句の文字の五十音順に並べました。

また、それぞれの季語が詠み込まれた句を【例句】として挙げました。

なお、俳句の季語の季節感は旧暦によるものであり、ここに集めた季語は「秋」のものです。

 

秋近し / あきちかし

【例句】涼しさの 腹にとほりて 秋ちかし

【作者】正岡子規(まさおか しき)

 

秋を待つ / あきをまつ

【例句】岐阜提灯 ともして秋を 待つこころ

【作者】三橋鷹女(みつはし たかじょ)

【補足】岐阜提灯は伝統工芸であり、美濃和紙などを使った卵形の吊り提灯です。

 

朝顔 / あさがお

【例句】咲きつづく 朝顔市の 朝顔よ

【作者】山口青邨(やまぐち せいそん)

【関連ページ】 朝顔の俳句

 

団扇 / うちわ

【例句】へなへなに こしのぬけたる 団扇かな

【作者】久保田万太郎(くぼた まんたろう)

【補足】「団」の文字は「まるい(丸い)」を意味します。

 

盂蘭盆会 / うらぼんえ

【例句】盂蘭盆や 槐樹の月の 幽きより

【作者】飯田蛇笏(いいだ だこつ)

【補足】仏教行事の盂蘭盆会を省略したのが「盆」で、一般的には「お盆」といわれます。

【関連ページ】 お盆の俳句

幽かな月の光

 

送り火 / おくりび

【例句】送り火の おのが生みたる 風に消え

【作者】鷹羽狩行(たかは しゅぎょう)

 

踊 / おどり

【例句】すすむより しざる踊の 威儀くづれ

【作者】阿波野青畝(あわの せいほ)

【補足】俳句における「踊(おどり、をどり)」とは、盆踊りのことをいいます。

 

兜虫 / かぶとむし

【例句】兜虫 み空へ兜 ささげ飛ぶ

【作者】川端茅舎(かわばた ぼうしゃ)

【補足】兜虫は、見かけが古来の兜に似ていることから名付けられたもので、漢字で甲虫とも表記されます。

 

蚊帳 / かや

【例句】ふる蚊帳の 中のあまりに 月清し

【作者】原 石鼎(はら せきてい)

【補足】蚊帳は、中国から日本に伝わってきたものです

 

夾竹桃 / きょうちくとう

【例句】夾竹桃の 暑さに馴れて 暮しけり

【作者】高橋淡路女(たかはし あわじじょ)

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清水 / しみず

【例句】日の当る 大岩しぼる 清水かな

【作者】野村喜舟(のむら きしゅう)

 

白玉 / しらたま

【例句】白玉の 雫を切って 盛りにけり

【作者】日野草城(ひの そうじょう)

【補足】白玉は、白玉粉(しらたまこ=米の粉)で作ったお団子です。

 

走馬燈 / そうまとう

【例句】走馬燈 おのれ淋しく 止りけり

【作者】後藤夜半(ごとう やはん)

【補足】走馬燈は回り灯籠とも呼ばれます。中国から日本に伝わり、江戸時代の中頃から夏の夜の娯楽として使われるようになりました。

 

魂祭 / たままつり

【例句】遺言の 酒そなへけり 魂まつり

【作者】炭 太祇(たん たいぎ)

 

夏の海 / なつのうみ

【例句】高根より 礫うち見ん 夏の海

【作者】池西言水(いけにし ごんすい)

【補足】「礫」の読みは「つぶて(=小石のこと)」です。

【関連ページ】 「夏の海」の俳句

 

夏の月 / なつのつき

【例句】うつし世に 妻はきよけし 夏の月

【作者】原 石鼎

【補足】うつし世とは、「この世、現世(げんせ、げんせい)」のことをいいます。

 

夏の夜 / なつのよる

【例句】春の夜の 面ざしもなし 夏の月

【作者】上島鬼貫(うえじま おにつら)

【関連ページ】 「夏の夜」の俳句

 

西日 / にしび

【例句】前うしろ 西日の中に 人多く

【作者】波多野爽波(はたの そうは)

 

墓参り / はかまいり

【例句】墓を去る 時に笑ふや 墓参り

【作者】永田耕衣(ながた こうい)

 

八月 / はちがつ

【例句】八月の 桜落葉を 掃けるかな

【作者】富安風生(とみやす ふうせい)

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花火 / はなび

【例句】半生の わがこと了へぬ 遠花火

【作者】三橋鷹女

【補足】「了へぬ」の読みは「おえぬ(=終えぬ)」です。

【関連ページ】 花火の俳句

 

晩夏 / ばんか

【例句】紅くして 黒き晩夏の 日が沈む

【作者】山口誓子(やまぐち せいし)

【関連ページ】 晩夏の俳句

 

蜩 / ひぐらし

【例句】暁の 蜩四方に 起りけり

【作者】原 石鼎

【補足】「四方」の読みは「よも」です。

【関連ページ】 蜩の俳句

 

向日葵 / ひまわり

【例句】向日葵に ひたむきの顔 近づき来

【作者】石田波郷(いしだ はきょう)

【関連ページ】 向日葵の俳句

 

昼寝 / ひるね

【例句】かいなづる 昼寝の鬢の ほつれかな

【作者】高橋淡路女

【補足】「かいなづる」とは「なでる(撫でる)」という意味です。

京都の町の格子戸

 

盆 / ぼん

【例句】盆の僧 額の丘を 光らせて

【作者】山口誓子

 

盆灯籠 / ぼんどうろう

【例句】子のための 盆灯籠は 居間に吊る

【作者】森 白象(もり はくしょう)

 

盆の月 / ぼんのつき

【例句】盆の月 暫し燈籠と 重なりぬ

【作者】富安風生

 

迎え火 / むかえび

【例句】歩き来る 人見えにけり お迎火

【作者】長谷川かな女(はせがわ かなじょ)

 

浴衣 / ゆかた

【例句】宿浴衣 著馴れぬさまに 結ぶ紐

【作者】稲畑汀子(いなはた ていこ)

【補足】浴衣は、平安時代の湯帷子(ゆかたびら)に由来するといわれています。一般にも流行するようになったのは江戸時代になってからのことです。

【関連ページ】 浴衣の俳句

緑に囲まれた露天風呂

 

 


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