提灯の俳句 50選 -ちょうちん、てふちん-

提灯と夜桜

提灯にはとても風情があり、お盆に灯される提灯などには美しい草花などが描かれていて、見ていて飽きることがありません。

特に、提灯の火が揺らいだときなどには、提灯はただ明かりをとるための道具ではなく、何か心に訴えてくるものがあるように思えてきます。

このページには、「提灯」が詠み込まれた俳句を数多く集めました。四季それぞれの中で提灯のある光景が目に浮かぶような俳句作品ばかりですので、どうかじっくりと鑑賞してみて下さい。

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目次

提灯の俳句 50選

家紋の入った提灯

俳句において、単なる「提灯」は季語ではありません。

なお、「西瓜提灯」「瓜提灯」は夏の季語として、「盆提灯」「岐阜提灯」は秋の季語として使われますが、以下のようなものは季語とはされていません。

  • 小提灯
  • 古提灯
  • 籠提灯
  • 大提灯
  • 河豚提灯
  • 紅提灯
  • 祭提灯
  • 高張提灯
  • 箱提灯

 

青柳や 井戸へ差出す 小提灯

【作者】井上井月(いのうえ せいげつ)

【季語】青柳/春

 

秋草を 透きて燈ほのと 岐阜提灯

【作者】高橋淡路女(たかはし あわじじょ)

【季語/季節】秋草/秋

【補足】「燈」の読み方は「ひ」です。

 

秋雨や 古提灯の かげ祭

【作者】高橋淡路女

【季語】秋雨/秋

【補足】かげ祭り(陰祭)とは、一年おきにする例祭(本祭)に対して、例祭のない年に行なう小祭のことをいいます。

 

天の川 地に提灯の ひとつ行く

【作者】尾崎紅葉(おざき こうよう)

【季語】天の川/秋

 

あらをかし 七夕竹に 小提灯

【作者】尾崎迷堂(おざき めいどう)

【季語】七夕竹/秋

 

今借した 提灯の火や 草の露

【作者】高井几董(たかい きとう)

【季語】露/秋

 

美しく 激しく揺れし 岐阜提灯

【作者】京極杞陽(きょうごく きよう)

【季語】岐阜提灯/秋

 

太秦で 提灯買ふや 桜狩

【作者】高浜虚子(たかはま きょし)

【季語】桜狩/春

【補足】太秦(うずまさ)は、京都市右京区の地名です。

【補足】桜狩(さくらがり)とは、花見のことです。

 

馬とめて 提灯ともす 冬木かな

【作者】尾崎迷堂

【季語】冬木/冬

 

瓜番や 軒に吊つたる 小提灯

【作者】吉武月二郎(よしたけ つきじろう)

【季語】瓜番/夏

【補足】瓜番とは、西瓜(すいか)や甜瓜(てんか、まくわうり)が盗まれないように瓜畑の番をする者のことです。

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絵を見るや 西瓜提灯 とり囲み

【作者】高浜虚子

【季語】西瓜提灯/夏

 

おぼろ夜や 籠提灯の 一つづつ

【作者】久保田万太郎(くぼた まんたろう)

【季語】おぼろ夜/春

【補足】籠提灯(かごちょうちん)とは、 竹で編んだ籠に紙を張って作った提灯のことをいいます。

 

形よき 西瓜提灯 ならざるも

【作者】稲畑汀子(いなはた ていこ)

【季語】西瓜提灯/夏

 

寒行の 提灯ゆゝし 誕生寺

【作者】村上鬼城(むらかみ きじょう)

【季語】寒行/冬

【補足】寒行(かんぎょう)とは、寒中に冷水を浴びたり滝に打たれて身を清め、神仏に祈る行のことです。

 

岐阜提灯 昨日と同じ 色の空

【作者】阿部みどり女(あべ  みどりじょ)

【季語】岐阜提灯/秋

 

岐阜提灯 庭石ほのと ぬれてあり

【作者】杉田久女(すぎた ひさじょ)

【季語】岐阜提灯/秋

 

岐阜提灯 庭の萩より 淡きかな

【作者】阿部みどり女

【季語】岐阜提灯/秋

 

客ありて 筍掘の 小提灯

【作者】高野素十(たかの すじゅう)

【季語】筍/夏

【補足】「筍掘」の読み方は「たけのこほり」です。

 

凩に 大提灯の 静かさよ

【作者】正岡子規(まさおか しき)

【季語】凩/冬

【補足】「凩」の読み方は「こがらし」です。

 

艸原や 提灯行くに 虫すだく

【作者】小林一茶(こばやし いっさ)

【季語】虫/秋

【補足】「艸原」の読み方は「くさはら」です。

お寺の提灯

 

河骨の 池に映るや 岐阜提燈

【作者】寺田寅彦(てらだ とらひこ)

【季語】岐阜提灯/秋

【補足】河骨(こうほね)は、スイレン科コウホネ属の水草の一種です。

 

地蔵会の 提灯も また揺るるもの

【作者】後藤夜半(ごとう やはん)

【季語】地蔵会/秋

【補足】地蔵会(じぞうえ)とは、毎月24日の地蔵菩薩(じぞうぼさつ)の縁日のことで、特に旧暦7月24日は地蔵盆(じぞうぼん)と呼ばれます。

 

唯うすき 岐阜提灯の 秋の草

【作者】松本たかし(まつもと たかし)

【季語】岐阜提灯/秋

 

提灯が 向ふから来る 夜霧哉

【作者】尾崎放哉(おざき ほうさい)

【季語】霧/秋

【補足】「哉」の読み方は「かな」です。

 

提灯で 大仏見るや 時鳥

【作者】正岡子規

【季語】時鳥/夏

【補足】「時鳥」の読み方は「ほととぎす」です。

 

提灯に 己の影や 寒詣

【作者】野村喜舟(のむら きしゅう)

【季語】寒詣/冬

【補足】寒詣(かんもうで)とは、寒中に寺社に参詣することをいいます。

 

提灯に 顔のぞかるゝ 夜寒かな

【作者】上村占魚(うえむら せんぎょ)

【季語】夜寒/秋

 

提灯に 石榴を鬼子母 祭りかな

【作者】松瀬青々(まつせ せいせい)

【季語】石榴/秋

【補足】「石榴」の読み方は「ざくろ」です。鬼子母神(きしもじん)は、仏教における女神です。

 

提灯に 道べは蕎麦の 花ばかり

【作者】高橋淡路女

【季語】蕎麦(そば)の花/秋

 

提灯の 匂ひ身に添ふ 春寒し

【作者】富田木歩(とみた もっぽ)

【季語】春寒し/春

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燈籠の 岐阜提灯と 竝ひけり

【作者】正岡子規

【季語】岐阜提灯/秋

【補足】「竝」は「並」の旧字体です。

 

提灯の 短冊赤し 山桜

【作者】正岡子規

【季語】山桜/春

【補足】「短冊」の読み方は「たんざく」です。

 

年の市 提灯ひとつ 燃えにけり

【作者】久保田万太郎

【季語】年の市/冬

【補足】年の市とは、年末に行なわれる売出し・市のことです。

 

夏の月 提灯多き ちまた哉

【作者】正岡子規

【季語】夏の月/夏

【補足】ちまた(巷)とは、にぎやかな通り・街中のことをいいます。

 

にぎやかに 提灯つらね 寒念仏

【作者】河野静雲(こうの せいうん)

【季語】寒念仏/冬

【補足】寒念仏(かんねぶつ、かんねんぶつ)とは、寒夜に鉦(かね)を打ち鳴らし、念仏を唱えて寺院にまいることです。

 

庭木立 月を洩さず 岐阜提灯

【作者】鈴木花蓑(すずき はなみの)

【季語】岐阜提灯/秋

【補足】「庭木立」「洩さず」の読み方は、それぞれ「にわこだち」「もらさず」です。

 

野施行や 枯木をめぐる 小提灯

【作者】松瀬青々

【季語】野施行/冬

【補足】野施行(のせぎょう)とは、冬になって餌(えさ)が乏しくなる狐や狸などに食物を施して与えることです。

 

野の道や 十夜戻りの 小提灯

【作者】正岡子規

【季語】十夜/冬

【補足】十夜(じゅうや)とは、浄土宗の寺院で行なわれる十夜(旧暦10月 5日の夜から15日の朝まで)の法要のことです。

 

初東風の 河豚提灯を 買ひにけり

【作者】野村喜舟

【季語】初東風/新年 はつごち

【補足】初東風(はつこち)とは、元日に吹く東風のことです。河豚提灯(ふぐちょうちん)は、フグの皮を生かして作った提灯です。

 

春の夜や くらがり走る 小提灯

【作者】正岡子規

【季語】春の夜/春

川沿いの夜桜と提灯

 

人中に 西瓜提灯 ともし来る

【作者】高野素十

【季語】西瓜提灯/夏

 

百聯の 提灯ゆくよ 魂送り

【作者】三橋鷹女(みつはし たかじょ)

【季語】魂送り/秋

【補足】「百聯」の読み方は「ひゃくれん(=百連)」です。

 

昼なれば 岐阜提灯も ただ淡し

【作者】福田蓼汀(ふくだ りょうてい)

【季語】岐阜提灯/秋

 

灯を入るゝ 岐阜提灯や 夕楽し

【作者】高浜虚子

【季語】岐阜提灯/秋

 

盆提灯 かくて地雨と なれりけり

【作者】久保田万太郎

【季語】盆提灯/秋

【補足】地雨(じあめ)とは、ある決まった強さで降り続く雨のことです。

 

盆提灯 火を入れてストの 両隣り

【作者】及川 貞(おいかわ てい)

【季語】盆提灯/秋

 

盆提灯 みづいろ淡く ともりけり

【作者】柴田白葉女(しばた はくようじょ)

【季語】盆提灯/秋

 

水鳥や てふちんひとつ 城を出る

【作者】与謝蕪村(よさ ぶそん)

【季語】水鳥/冬

 

身の闇や 盆提灯の きえしとき

【作者】久保田万太郎

【季語】盆提灯/秋

 

虫とりや 提灯あぐる 山の池

【作者】立花北枝(たちばな ほくし)

【季語】虫とり/秋

桜の花と提灯

 

 

四季の中の提灯

上でも述べましたが、提灯に関する言葉で、「西瓜提灯」「瓜提灯」「盆提灯」「岐阜提灯」以外のものは季語として扱われていません。

しかし、提灯は春・夏・秋・冬のいずれかを問わず、四季の風物に素晴らしく調和します。ですから、「提灯」は数多くの俳句にも詠み込まれてきました。

そこで、このページに選んだ俳句(季語が含まれる句を除く)を、四季別に並べてみました。季節ごとに提灯の俳句を鑑賞するのも一興かと思います。

 


『春』


青柳や井戸へ差出す小提灯

太秦で提灯買ふや桜狩

おぼろ夜や籠提灯の一つづつ

提灯の匂ひ身に添ふ春寒し

提灯の短冊赤し山桜

春の夜やくらがり走る小提灯

 


『夏』


瓜番や軒に吊つたる小提灯

客ありて筍掘の小提灯

提灯で大仏見るや時鳥 時鳥

夏の月提灯多きちまた哉

 


『秋』


秋草を透きて燈ほのと岐阜提灯

秋雨や古提灯のかげ祭

天の川地に提灯のひとつ行く

あらをかし七夕竹に小提灯

今借した提灯の火や草の露

艸原や提灯行くに虫すだく

地蔵会の提灯もまた揺るるもの

提灯が向ふから来る夜霧哉

提灯に顔のぞかるゝ夜寒かな

提灯に石榴を鬼子母祭りかな

提灯に道べは蕎麦の花ばかり

百聯の提灯ゆくよ魂送り

虫とりや提灯あぐる山の池

 


『冬』


馬とめて提灯ともす冬木かな

寒行の提灯ゆゝし誕生寺

凩に大提灯の静かさよ

提灯に己の影や寒詣

年の市提灯ひとつ燃えにけり

にぎやかに提灯つらね寒念仏

野施行や枯木をめぐる小提灯

野の道や十夜戻りの小提灯

水鳥やてふちんひとつ城を出る

初東風の河豚提灯を買ひにけり

 

 


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