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土用の俳句 20選  -どよう-

夏の日射しを浴びている草木

夏の土用(どよう)は 7月下旬から始まる、とても暑さがきびしい時期(約 18日間)です。

鰻(うなぎ)を食べる「土用の丑の日」も馴染みの深いもので、古くから私たちの生活に根付いています。

そして、土用は俳句の季語にもなっているので、多くの俳句作品に詠み込まれてきました。

このページには、土用が詠み込まれた俳句の中から 20句を選びました。夏の土用が持つ雰囲気に満ちたものばかりですので、どうかじっくりと鑑賞してみて下さい。

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土用の俳句 20選

土用干しの梅

土用が季語として詠まれた句を集め、俳句の文字の五十音順に並べました。

なお、土用は年に 4回ありますが、単に「土用」とした場合は、俳句において夏の季語として扱われます。

 【関連ページ】 土用は年に 4回ある?

 

 

あららかに 掃くや土用の 古畳

【作者】日野草城(ひの そうじょう)

【補足】「あららかに(荒らかに、粗らかに)」は「荒々しく、大ざっぱに」という意味です。

 

うつくしや 雲一つなき 土用空

【作者】小林一茶(こばやし いっさ)

 

おぼつかな 土用の入の 人心

【作者】杉山杉風(すぎやま さんぷう)

【補足】「おぼつかな(覚束な)」とは、「心もとない、たよりない」という意味です。

 

客の傍 われは大字を 書く土用

【作者】山口誓子(やまぐち せいし)

【補足】「傍」には「そば」「わき」「はた」などの読み方があります。

 

草木の 土用に人は 疲れたり

【作者】長谷川かな女(はせがわ かなじょ)

【補足】「草木」の読み方は「そうもく」です。

 

くちなはの 夜も歩ける 土用かな

【作者】相生垣瓜人(あいおいがき かじん)

【補足】「くちなは(くちなわ)」は、蛇の異称です。

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漬物の 胡瓜音よき 土用かな

【作者】阿波野青畝(あわの せいほ)

【補足】「胡瓜」の読み方は「きゅうり」です。

 

でゝ虫の 草に籠りて 土用かな

【作者】村上鬼城(むらかみ きじょう)

【補足】「でゝ虫(=でんでん虫)」はカタツムリのことで、他にも「マイマイ」「ツブリ」「ナメクジ」などの呼び名があります。

 

土用風 鯡の虫を 這はせけり

【作者】金尾梅の門(かなお うめのかど)

【補足】「鯡」の読み方は「にしん(=鰊)」です。

 

土用の日 巻きこめし霧の 匂かな

【作者】渡辺水巴(わたなべ すいは)

 

一竿は 死装束や 土用ぼし

【作者】森川許六(もりかわ きょりく)

 

ひる日なか 大風吹ける 土用かな

【作者】鈴木真砂女(すずき まさごじょ)

 

ひんがしに 星一つ土用 夜明まへ

【作者】原 石鼎(はら せきてい)

【補足】「ひんがし」は「ひがし(東)」のことです。

夜明けの空

 

貧相な 薔薇の咲きたる 土用かな

【作者】鈴木真砂女

【補足】「薔薇」の読み方は「ばら」です。

 

ほろほろと 朝雨こぼす 土用かな

【作者】正岡子規(まさおか しき)

 

政宗の 眼もあらん 土用干

【作者】正岡子規

【補足】政宗(=武将・戦国大名の伊達政宗:だて まさむね)は、天然痘によって右目を失明しました。

 

真昼日に 松風少し 土用かな

【作者】尾崎迷堂(おざき めいどう)

【補足】松風(まつかぜ)とは、松に吹く風、また、その音のことをいいます。

 

真處女の 面脱ぐ土用稽古かな

【作者】八木林之介(やぎ りんのすけ)

【補足】「真處女」の読み方は「まをとめ(=真処女)」です。

 

世の土用 知らぬ木曽路の 行脚哉

【作者】正岡子規

【補足】行脚(あんぎゃ)とは、僧が諸国をめぐり歩いて修行をすることです。また、方々を歩いて旅行することをいう場合もあります。

 

わぎもこの はだのつめたき 土用かな

【作者】日野草城

【補足】「わぎもこ(吾妹子)」とは、男性が親しみの気持ちを込めて女性を呼ぶときに使う言葉です。

簾と金魚の飾り物

 

 


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