不成就日(ふじょうじゅび)とは? 【2024年版/令和6年版】
暦に記載されているものの中に、吉凶や運勢などに関係した暦注(れきちゅう)というものがあります。
よく目にするのは大安や仏滅などで、これらは広く知られているといえるでしょう。その他にも、一粒万倍日、天しゃ日、三隣亡など様々なものがあります。
このページでは、そのうちの「不成就日」に注目してみましょう。文字からすると、よくない日のような印象を受けてしまいますが、はたしてどうなのでしょうか…
目次
不成就日とは?
まず、不成就日とはそもそも何なのかを確認していきましょう。
不成就日は選日の一つ
不成就日(ふじょうじゅび、ふじょうじゅにち)とは、選日(せんじつ)の一つです。
この選日とは、暦注のうち六曜、七曜、九星、十二直(中段)、二十八宿、暦注下段以外のものの総称です。また、撰日と書くこともあり、雑注(ざっちゅう)と呼ばれることもあります。
そして、不成就日は文字通り「何事も成就しない日」とされています。したがって、次のようなことを行なうのは凶とされます。
- 結婚・入籍
- 子供の命名
- 願い事
- 開店
- 契約
- 地鎮祭
- 移転
- 納車
これらの他にも、様々なことが凶とされるので、平たく言えば「全てにおいて凶」ということになります。
不成就日以外の選日には、次のようなものがあります。
- 一粒万倍日(いちりゅうまんばいび)
- 天赦日(てんしゃび、てんしゃにち)
- 天一天上(てんいちてんじょう)
- 三隣亡(さんりんぼう)
- 八専(はっせん)
- 十方暮(じっぽうぐれ)
なお、天赦日は選日ではなく、暦注下段(れきちゅうげだん)とされることもあります。
不成就日の選日法(せんじつほう=暦注の日取り)は旧暦による月切りといわれるもので、具体的には次のようになります。
- 1月と 7月 - 3・11・19・27日
- 2月と 8月 - 2・10・18・26日
- 3月と 9月 - 1・9・17・25日
- 4月と 10月 - 4・12・20・28日
- 5月と 11月 - 5・13・21・29日
- 6月と 12月 - 6・14・22・30日
これにもとづいて、現在のカレンダー(新暦)に当てはめると次のようになります。
不成就日のカレンダー 【2024年版】
1月 | 2 (火) |
10 (水) |
16 (火) |
24 (水) |
- |
2月 | 1 (木) |
9 (金) |
12 (月) |
20 (火) |
28 (水) |
3月 | 7 (木) |
11 (月) |
19 (火) |
27 (水) |
- |
4月 | 4 (木) |
9 (火) |
17 (水) |
25 (木) |
- |
5月 | 3 (金) |
11 (土) |
19 (日) |
27 (月) |
- |
6月 | 4 (火) |
10 (月) |
18 (火) |
26 (水) |
- |
7月 | 4 (木) |
11 (木) |
19 (金) |
27 (土) |
- |
8月 | 6 (火) |
14 (水) |
22 (木) |
30 (金) |
- |
9月 | 4 (水) |
12 (木) |
20 (金) |
28 (土) |
- |
10月 | 3 (木) |
11 (金) |
19 (土) |
27 (日) |
- |
11月 | 4 (月) |
12 (火) |
20 (水) |
28 (木) |
- |
12月 | 5 (木) |
13 (金) |
21 (土) |
29 (日) |
- |
不成就日の由来は?
かつては、暦の編纂(へんさん)は朝廷が独占的に行っていました。しかし、一方では民間暦、地方暦と呼ばれるものが独自につくられていました。
そして、不成就日の記載が確認できるのは、江戸時代の民間暦からといわれています。
※ 会津の諏訪神社でつくられ、関東以北で広く使われていた会津暦(あいずごよみ=諏訪暦)に「不成就日」の記載があるといわれています。しかし、実際に会津暦を検証しましたが、現時点では確認できていません。判明しましたら追記いたします。
不空成就如来と関係があるのでは?
不成就日の由来に関係するものとして、私が最も注目しているのが不空成就如来(ふくうじょうじゅにょらい)です。
不空成就如来の梵名(ぼんめい、サンスクリット語での名前)はアモーガシッデイ [amoghasiddhi]で、仏教における信仰の対象です。
日本では、五智如来(ごちにょらい=五仏)の一尊として造像されたものがほとんどです。釈迦如来と同一視されることもあり、単独での造像や信仰はとてもまれといえます。
不成就日が大安などと重なると、どうなる?
暦の吉凶を気にする場合、迷うのが「吉」の日と「凶」の日が重なったときです。中でも、不成就日と大安が同日になると、考えてしまう人は多いようです。
前述した 2024年の不成就日のカレンダーに大安の日を重ねてみると、次のようになります。
1月 | 2 (火) |
10 (水) |
16 (火) |
24 (水) |
- |
2月 | 1 (木) |
9 (金) |
12 (月) |
20 (火) |
28 (水) |
3月 | 7 (木) |
11 (月) |
19 (火) |
27 (水) |
- |
4月 | 4 (木) |
9 (火) |
17 (水) |
25 (木) |
- |
5月 | 3 (金) |
11 (土) |
19 (日) |
27 (月) |
- |
6月 | 4 (火) |
10 (月) |
18 (火) |
26 (水) |
- |
7月 | 4 (木) |
11 (木) |
19 (金) |
27 (土) |
- |
8月 | 6 (火) |
14 (水) |
22 (木) |
30 (金) |
- |
9月 | 4 (水) |
12 (木) |
20 (金) |
28 (土) |
- |
10月 | 3 (木) |
11 (金) |
19 (土) |
27 (日) |
- |
11月 | 4 (月) |
12 (火) |
20 (水) |
28 (木) |
- |
12月 | 5 (木) |
13 (金) |
21 (土) |
29 (日) |
- |
このように、月に一度くらいは不成就日と大安の重なる日があります。
もしこれが、「一粒万倍日(吉)と不成就日(凶)」あるいは「天赦日(吉)と不成就日(凶)」であったらどうでしょうか。
この場合には、一粒万倍日、天赦日、不成就日のいずれもが選日であるので、一粒万倍日や天赦日の吉の効果が半減するとされています。
しかし、大安と不成就日のケースは、少し事情が違います。というのは、大安は六曜(ろくよう)の一つであるからです。
六曜は、六曜日(ろくようび)、六輝(ろっき)、宿曜(すくよう)ともいわれ、大安を含めて次の6種類の曜を持つものです。
- 先勝(せんかち、せんしょう、さきかち、さきがち)
- 友引(ともびき、ゆういん)
- 先負(せんまけ、せんぶ、せんぷ、さきまけ)
- 仏滅(ぶつめつ)
- 大安(たいあん、だいあん)
- 赤口(しゃっこう、しゃっく、じゃっく、じゃっこう、せきぐち)
【参考】六曜の意味や順番は?
また、六曜は鎌倉時代末期から室町時代にかけて、中国から日本に伝来したことがわかっています。
ですから、「六曜の吉の日」と「選日の凶の日」を並べて考えること自体に無理があるとする意見もあります。
とはいっても、なるべくなら縁起が良いとされることを選びたいものです。
そこで、たとえ吉の日であっても、凶の日と重なったら「凶」の要素を持っていると考えるのが無難といえるでしょう。
そうすれば、何か事があったときに「やはり不成就日は避けるべきだった」という後悔をすることはないはずです。
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