雷の俳句 30選　－かみなり、いかづち－

夏の日に、雨が降り出したかなと思っているうちに、急に大きな雷の音がして驚かされることがあります。

この「雷」は俳句において夏の季語でもあり、多くの作品に詠み込まれてきました。

このページには、「雷」が詠まれた俳句を多く集めました。雷が鳴っている情景が目に浮かんでくるような作品ばかりですので、どうかじっくりと鑑賞してみて下さい。

雷の俳句 30選

「雷」をはじめとして、「いかづち」「雷火」「日雷」「はたた神」などが詠み込まれた俳句を集め、句の文字の五十音順に並べました。

どうぞ、ごゆっくりとご鑑賞下さい。

暑くるしく　乱れ心や　雷を聴く

【作者】正岡子規(まさおか しき)

【補足】この句の「雷」は「らい」と読むのが自然です。

いかづちの　天に近づきつつ病めリ

【作者】野見山朱鳥(のみやま あすか)

【補足】「いかづち(＝いかずち)」は「かみなり」の雅語的な表現です。

一閃の　雷火のなかに　青胡桃

【作者】阿波野青畝(あわの せいほ)

【補足】雷火(らいか)とは「いなびかり」のことで、落雷による火事を意味することもあります。

うけとめて　胸壁はあり　日雷

【作者】福田蓼汀(ふくだ りょうてい)

【補足】日雷(ひがみなり)とは、晴天で雨が降っていないときの雷のことです。

うす雲の　雷さへぎりて　舞ひにけり

【作者】飯田蛇笏(いいだ だこつ)

大江戸や　雷の音より　銭の音

【作者】幸田露伴(こうだ ろはん)

かげりなき　月に雷火の　あとしるき

【作者】上村占魚(うえむら せん　せんぎょ)

南瓜の花　破りて雷の　逃ぐる音

【作者】西東三鬼(さいとう さんき)

【補足】「南瓜」の読み方は「かぼちゃ」です。

かまきりの　玻璃戸をのぼり　雷うかがふ

【作者】臼田亞浪(うすだ あろう)

【補足】玻璃戸(はりど)とは、ガラス戸のことです。

かみなりに　耳をもかさず　本読む子

【作者】京極杞陽(きょうごく きよう)

かみなりの　鳴らで曇りし　梧の花

【作者】中村史邦(なかむら ふみくに)

【補足】この句の「梧」の読み方は「きり」です。

河の石　青みどろ濃く　雷来る

【作者】横光利一(よこみつ りいち)

【補足】「青みどろ」は藻類のことをいいます。

今日も今日も　雷遠き　夏野かな

【作者】会津八一(あいづ やいち)

山荘の　雨忽ちに　雷を呼ぶ

【作者】阿部みどり女(あべ みどりじょ)

【補足】「忽ち」の読み方は「たちまち」です。

正直に　梅雨雷の　一つかな

【作者】小林一茶(こばやし いっさ)

杉深く　いかづちの居る　夏行かな

【作者】富安風生(とみやす ふうせい)

【補足】夏行(げぎょう)とは、僧侶が一定の期間、遊行(ゆぎょう：修行や説法のために諸国をめぐり歩くこと)に出ないで、一カ所で修行することをいいます。

月さして　鳴き澄む蝉や　雷のあと

【作者】水原秋桜子(みずはら しゅうおうし)

梅雨空に　罅はしらせて　雷一つ

【作者】相馬遷子(そうま せんし)

【補足】「罅」の読み方は「ひび」です。

停車場に　雷を怖るゝ　夜の人

【作者】河東碧梧桐(かわひがし へきごとう)

夏の花　一つも見えず　雷来る

【作者】横光利一

夏めきて　雷ころがれる　山葵沢

【作者】石原舟月(ふくだ りょうてい)

【補足】山葵沢(わさびざわ)は秋田の地名です。

夏逝くや　記憶に残る　雷もなし

【作者】相馬遷子

撫子に　雷ふるふ　小庭かな

【作者】正岡子規

【補足】撫子(なでしこ)は、秋の七草の一つです。

庭石に　梅雨明けの雷　ひびきけり

【作者】桂 信子(かつら のぶこ)

のぼり藤　雷の暗さを　打ち払ひ

【作者】阿部みどり女

白日の　いかづち近く　なりにけり

【作者】川端茅舎(かわばた ぼうしゃ)

【補足】白日(はくじつ)とは、日中のことをいいます。

はたた神　下りきて屋根の　草さわぐ

【作者】山口青邨(やまぐち せいそん)

【補足】「はたた神」とは、激しい雷のことをいいます。

ふたたびは　聞く心もて　はたたがみ

【作者】稲畑汀子(いなはた ていこ)

不眠者に　深夜とどろく　梅雨の雷

【作者】相馬遷子

本題に　入りて雷　遠のけり

【作者】高澤良一(たかざわ よしかず)

　関　連　ペ　ー　ジ　

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