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猫の俳句 50選 -猫の恋-

2匹の子猫

猫はとても可愛らしい動物で、特に子猫の仕草などの愛らしさには、たまらない魅力があります。

それらは多くの俳句にも詠み込まれてきましたし、猫に関係する季語もいくつかあります。

このページには、俳句の中に猫が詠まれているものを集めました。猫の可愛らしいしぐさが目に浮かぶようなものばかりですので、是非ともチェックしてみて下さい。

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目次

猫の俳句について

このページには、俳句の中に猫が詠み込まれているものを 50句選びました。

それぞれの俳句の季語・季節を記して、句の文字の五十音順に並べてあります。

なお、猫に関する季語についてもまとめましたので、参考になさって下さい。

寝そべっている子猫

 

 

猫の俳句 50選

 

朝貌の 葉影に猫の 眼玉かな

【作者】夏目漱石(なつめ そうせき)

【季語】朝貌(あさがお) - 秋

 

あの声は 何いふ事ぞ 猫の恋

【作者】正岡子規(まさおか しき)

【季語】猫の恋 - 春

【補足】春の交尾の時期になった猫が、毎晩のように鳴きわめく様子を表現したのが「猫の恋」です。

 

あら猫の かけ出す軒や 冬の月

【作者】内藤丈草(ないとう じょうそう)

【季語】冬の月 - 冬

【補足】「軒」の読み方は「のき」です。

 

淡雪や 通ひ路細き 猫の恋

【作者】寺田寅彦(てらだ とらひこ)

【季語】淡雪、猫の恋 - 春

 

今の世や 猫も杓子も 花見笠

【作者】小林一茶(こばやし いっさ)

【季語】花見 - 春

【補足】「猫も杓子(しゃくし)も」は「だれでも、どんな者も」を意味する表現です。

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梅がゝや 耳かく猫の 影ぼうし

【作者】横井也有(よこい やゆう)

【季語】梅がゝ(梅が香) - 春

【補足】影ぼうし(法師)とは、物に映った人の影のことをいいます。

 

うしろから 猫の飛びつく 袷哉

【作者】正岡子規

【季語】袷 - 夏

【補足】(あわせ)とは、裏付きの着物のことです。句末の「哉(かな)」は、詠嘆や感動を表わします。

 

薄目あけ 人嫌ひなり 炬燵猫

【作者】松本たかし(まつもと たかし)

【季語】炬燵猫(こたつねこ) - 冬

【補足】「炬燵(こたつ)」は冬の季語です。

 

うつゝなに 泣く児あやすや 猫の恋

【作者】高橋淡路女(たかはし あわじじょ)

【季語】猫の恋 - 春

【補足】「うつゝなに」は「目がさめて」の意味です。

 

おもひ寐の 耳に動くや 猫の恋

【作者】炭 太祇(たん たいぎ)

【季語】猫の恋 - 春

【補足】おもひ寐(思い寝)とは、ものや人を思いながら寝ることをいいます。

夜桜と月

 

親として かくれんぼする 子猫哉

【作者】小林一茶

【季語】 子猫 - 春

【補足】「子猫、仔猫(こねこ)」「猫の子」などは春の季語です。

 

かげろふや 猫にのまるる 水たまり

【作者】芥川龍之介(あくたがわ りゅうのすけ) 

【季語】かげろふ(陽炎) - 春

 

傾城も 猫もそろふて 雜煮哉

【作者】正岡子規

【季語】雜煮(ぞうに) - 冬(新年)

【補足】傾城(けいせい)とは、(城を傾けるような)絶世の美人を表現する言葉です。「雜」は「雑」の旧字体です。

 

紅梅の 咲くより猫の 静か也

【作者】正岡子規

【季語】紅梅 - 春

【補足】「也」の読み方は「なり」です。

 

この月夜 いつか見たりき 猫の恋

【作者】山口誓子(やまぐち せいし)

【季語】猫の恋 - 春

【補足】「見たりき」は「見た、見ていた」という意味です。

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恋猫と 語る女は 憎むべし

【作者】西東三鬼(さいとう さんき)

【季語】恋猫 - 春

【補足】「恋猫(こいねこ)」も、「猫の恋」と同様に春の季語です。

 

恋猫と はやなりにけり 鈴に泥

【作者】阿波野青畝(あわの せいほ)

【季語】恋猫 - 春

 

声たてぬ 時が別れぞ 猫の恋

【作者】加賀千代女(かがの ちよじょ)

【季語】猫の恋 - 春

 

しろたへの 鞠のごとくに 竈猫

【作者】飯田蛇笏(いいだ だこつ)

【季語】竈猫 - 冬

【補足】竈猫(かまどねこ)とは、火のぬくもりを求めて竈に来る猫のことをいいます。「鞠」の読み方は「まり」です。

 

炭出しに 出てもつき来る 猫可愛

【作者】富安風生(とみやす ふうせい)

【季語】炭 - 冬

こちらを見上げている子猫

 

竹の子に 身をする猫の たはれ哉

【作者】森川許六(もりかわ きょりく)

【季語】竹の子 - 夏

【作者】「たはれ」は「戯れ(たわむれ)」のことです。

 

月の出の 夜々におくるゝ 猫の恋

【作者】山口誓子

【季語】猫の恋 - 春

【補足】夜々(よよ)とは、「毎晩、夜毎(よごと)」という意味です。

 

永き日や 巳の刻よりの 眠り猫

【作者】野村喜舟(のむら きしゅう)

【季語】永き日 - 春

【補足】巳の刻(みのこく)とは、現代の午前 10時頃に相当します。

 

鳴く猫に 赤ン目をして 手まり哉

【作者】小林一茶 

【季語】手まり - 冬(新年)

【補足】一茶は次の句も残していましす。

鳴く猫に 赤ン目と云 手まり哉

 

何もかも 知ってをるなり 竈猫

【作者】富安風生

【季語】竈猫 - 冬

 

なりふりも 親そつくりの 子猫哉

【作者】小林一茶

【季語】子猫 - 春

 

ぬつくりと 寐て居る猫や 梅の股

【作者】高井几董(たかい きとう)

【季語】梅 - 春

 

濡れて来し 雨をふるふや 猫の妻

【作者】炭 太祇

【季語】猫の妻 - 春

【補足】同様の「猫の夫(つま)」も春の季語です。

 

猫逃げて 梅動きけり 朧月

【作者】池西言水(いけにし ごんすい)

【季語】梅、朧月(おぼろづき) - 春

 

猫のゐて ぺんぺん草を 食みにけり

【作者】村上鬼城(むらかみ きじょう)

【季語】ぺんぺん草 - 春

【補足】ぺんぺん草は、ナズナ(薺)の別名です。「食みにけり」の読み方は「みにけり」です。

ぺんぺん草(薺)の白い花

 

猫の恋 昴は天に のぼりつめ

【作者】山口誓子

【季語】猫の恋 - 春

【補足】(すばる)は牡牛座(おうしざ)にある星で、肉眼で 6つ見えるものです。「六連星(むつらぼし)」「すばる星」「すまる」とも呼ばれます。

 

猫の子の くんずほぐれつ 胡蝶かな

【作者】宝井其角(たからい きかく)

【季語】猫の子 - 春

【補足】胡蝶(こちょう)は「蝶」の異名です。

 

猫の子や 秤にかかり つつじやれる

【作者】小林一茶

【季語】猫の子 - 春

【補足】「秤」の読み方は「はかり」です。

 

猫の子に 嗅れて居るや 蝸牛

【作者】椎本才麿(しいのもと さいまろ)

【季語】猫の子 - 春、蝸牛(かたつむり) - 夏

 

猫の子の 針箱こけし 真逆様

【作者】富安風生

【季語】猫の子 - 春

【補足】「真逆様」の読み方は「まさかさま」です。

 

猫も聞け 杓子も是へ 時鳥

【作者】夏目漱石

【季語】時鳥(ほととぎす) - 夏

【補足】「是」の読み方は「これ」です。

 

寝て起て 大欠して 猫の恋

【作者】小林一茶

【季語】猫の恋 - 春

【補足】「大欠」の読み方は「おおあくび」です。

 

橋の上に 猫ゐて淋し 後の月

【作者】村上鬼城

【季語】後の月 - 秋

【補足】後の月(のちのつき)とは、十三夜(じゅうさんや=旧暦 9月13日の夜)の月のことをいいます。

 

羽二重の 膝に飽きてや 猫の恋

【作者】各務支考(かがみ しこう)

【季語】猫の恋 - 春

【補足】羽二重(はぶたえ)は絹織物の一種です。

 

春の猫 夕づく炉辺に めざめけり

【作者】西島麦南(にしじま ばくなん)

【季語】春の猫 - 春

【補足】「夕づく」とは「夕方になる」の意味で、「炉辺」の読み方は「ろばた」です。

夕方の竈

 

昼顔に 猫捨てられて 泣きにけり

【作者】村上鬼城

【季語】昼顔 - 夏

 

ふみ分けて 雪にまよふや 猫の恋

【作者】加賀千代女

【季語】雪 - 冬、猫の恋 - 春

 

振袖を 着せてやりたや 猫の妻

【作者】正岡子規

【季語】猫の妻 - 春

 

古猫の 相伴にあふ 卯杖哉

【作者】森川許六

【季語】卯杖 - 冬(新年)

【補足】相伴(しょうばん)とは、正客(しょうきゃく=客の中で一番主な客)の相手となって、一緒に接待を受けることをいいます。卯杖(うづえ)は、邪気を祓う道具の一つです。

 

またうどな 犬ふみつけて 猫の恋

【作者】松尾芭蕉(まつお ばしょう)

【季語】猫の恋 - 春

【補足】「またうどな」は「真面目な(まじめな)、正直な」という意味ですが、「真面目すぎる」といったニュアンスを持った言葉です。

 

又ここに 猫の恋路と ききながし

【作者】高浜虚子(たかはま きょし)

【季語】猫の恋 - 春

 

短さに 蒲團を引けば 猫の聲

【作者】正岡子規

【季語】蒲團(ふとん) - 冬

【補足】「團」「聲」は、それぞれ「団」「声」の旧字体です。

 

山こむる 霧の底ひの 猫の恋

【作者】中村汀女(なかむら ていじょ)

【季語】猫の恋 - 春

【補足】「底ひ」とは「きわめて深い底」を意味します。

 

山里や 昔かたぎの 猫と萩

【作者】小林一茶

【季語】萩 - 秋

 

雪の日や 巨燵の上に 眠る猫

【作者】正岡子規

【季語】雪、巨燵(こたつ) - 冬

体を曲げたまま寝ている猫

 

 

猫に関する季語

俳句において、「猫」単体では季語とはなりませんが、他の語と結びついて季語となるものがあります。

そのような、俳句に用いられる季語で猫に関係したものを一覧にしました。

季語 季節
猫の恋
恋猫
 猫の妻
猫の夫
春の猫
うかれ猫
 猫の子
子猫、仔猫
竈猫
へっつい猫
灰猫
かじけ猫
炬燵猫
  • 「へっつい」は「竈(かまど)」のことで、関西で使われることが多い呼び名です。
  • 「かじける」は「かじかむ(=寒さで手足が思うように動かせなくなる)」と同じ意味です。

 


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