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種田山頭火の俳句 100選 -たねだ さんとうか-

山々と青空

自由律俳句(じゆうりつはいく)を代表する俳人といえば、種田山頭火(たねだ さんとうか)の名前がまず挙げられるでしょう。

5 7 5 や季語にとらわれない自由な俳句は、最初は戸惑うこともあるかもしれませんが、読み慣れると癖になるような魅力を持っています。

このページには、種田山頭火の俳句の中から 100句を選びました。是非とも、これらをゆっくりと味わってみて下さい。

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目次

種田山頭火の俳句 100

句の先頭の文字で五十音順に並べてあります。

なお、 5 7 5 の 17文字(定型)の句が全体の約 3割ありますが、スペースを入れて 3つに分割しています。

これらの句だけ、季語が入っているものは抜き出してみました。

自由律俳句については、こちらのページをご覧になってください。

 【関連】 面白い俳句 30選

 

あかあかと 火を焚く人の なつかしや

【季語】火を焚く(冬)

 

 

秋が来た雑草にすわる

 

 

秋の空高く巡査に叱られた

 

 

秋晴れの道が分かれるポストが赤い

 

 

朝曇朝蜘蛛ぶらさがらせてをく

 

 

あざみあざやかにあさのあめあがり

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紫陽花もをはりの色の曇つてゐる

 

 

あてもなくあるけば月がついてくる

 

 

あてもなく踏み歩く草はみな枯れたり

 

 

あの雲が おとした雨に ぬれてゐる

【季語】-

 

 

雨三日 晴るべうを牡丹 ゆらぐかな

【季語】牡丹(夏)

 

 

歩きつづける彼岸花咲きつづける

彼岸花

 

 

厳めしく 門立てり落葉 ふりやまず

【季語】落葉(冬)

【補足】「厳めしく」の読み方は「いかめしく」です。

 

 

いつも一人で赤とんぼ

 

 

海から五月の風が日の丸をゆする

 

 

梅もどき ひそかなる実の こぼれけり

【季語】梅もどき(あき)

【補足】ウメモドキ(梅擬)は、モチノキ科の落葉低木です。

 

 

炎天の影をひいてさすらふ

 

 

大銀杏散りつくしたる大空

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お経あげてお米もらうて百舌鳥ないて

【補足】百舌鳥(もず)は鳥の名前で、「百舌」とも書き表されます。

 

 

お地蔵さまもお正月のお花

 

 

お地蔵さんもあたたかい涎かけ

【補足】「涎」の読みは「よだれ」です。

 

 

お正月のからすかあかあ

 

 

お正月も暮れてまだ羽子をついてゐる

 

 

落葉ふんでどこまでも落葉

 

 

お寺のたけのこ竹になつた

竹林

 

 

おとなりの 鉢木かれがれ 秋ふかし

【季語】秋ふかし(秋)

【補足】鉢木(はちのき)とは、植木鉢に植えられた木のことです。

 

 

おまつりのきものきてゆふべのこらは

 

 

おみくじひいてかへるぬかるみ

 

 

案山子、その一つは赤いべべ着せられてゐる

【補足】「案山子」の読み方は「かかし」です。「べべ」は着物を意味する幼児語です。

 

 

柿は落ちたまま落ちるままにしてをく

 

 

笠へぽつとり椿だつた

 

 

傾ける 陽の前を群れて 飛ぶ蜻蛉

【季語】蜻蛉(秋)

【補足】「蜻蛉」の読みは「とんぼ」です。

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枯れようとして朝顔の白さ二つ

 

 

気まぐれの 旅暮れて 桜月夜なる

【季語】桜(春)

 

 

斬られても斬られても曼珠沙華

【補足】曼珠沙華(まんじゅしゃげ)とは、多年草のヒガンバナ(彼岸花)のことです。

 

 

砕かるる 炭のこぼれを 這ふ日影

【季語】炭(冬)

 

 

けふの日も 事なかりけり 蝉暑し

【季語】蝉(夏)

木に止まっている蝉

 

 

越えてゆく 山また山は 冬の山

【季語】冬の山(冬)

 

 

凩、餅がふくれあがる

【補足】「凩」の読みは「こがらし」です。

 

 

子と遊ぶ うらら木蓮 数へては

【季語】木蓮(春)

【補足】木蓮(もくれん)は、モクレン科の落葉低木です。

 

 

今年も今夜かぎりの雨となり

 

 

子供ら仲よく遊んでゐる墓の中

 

 

このいただきに来て萩の花ざかり

 

 

こほろぎがわたしのたべるものをたべた

 

 

こほろぎよ、食べるものがなくなつた

 

 

こんなにうまい水があふれてゐる

 

 

サイダーの 泡立ちて消ゆ 夏の月

【季語】サイダー(夏)、夏の月(夏)

 

 

冴えかへる 月の光よ 妻よ子よ

【季語】冴えかへる(春)

 

 

サクラがさいてサクラがちつて踊子踊る

 

 

柵をくぐつて枯野へ出た

枯木立

 

 

さむざむと 鉢木の雨の 赤い実よ

【季語】さむざむ(冬)

 

 

しぐるるや しぐるる山へ 歩み入る

【季語】しぐるる(冬)

【補足】「しぐるる」は「時雨るる」で、時雨(しぐれ)とは一時的に降ったり止んだりするような雨のことで、あまり強くないもののことです。主に秋から冬にかけて降るものをいいます。

 

 

師走のゆききの知らない顔ばかり

 

 

水仙いちりんのお正月です

 

 

すつかり剥げて布袋は笑ひつづけてゐる

【補足】布袋(ほてい)は七福神(しちふくじん)のうちの一柱で、富貴繁栄や円満な人格などをもたらす神様とされてきました。

 

 

捨てきれない 荷物のおもさ まへうしろ

【季語】-

 

 

捨ててある 扇子ひらけば 不二の山

【季語】不二(夏)

【補足】富士山(ふじさん)は「不二山」、「不尽山」とも表記されてきました。

 

 

すみれたんぽぽさいてくれた

 

 

蝉しぐれ死に場所をさがしてゐるのか

 

 

蕎麦の花にも少年の日がなつかしい

 

 

旅から旅へ山山の雪

 

 

月が、まんまるい月が冬空

 

 

月今宵 青き女よ 梨剥がむ

【季語】梨(秋)

 

 

梅雨の満月が本堂のうしろから

 

 

どうしても ねむれない夜の 爪をきる

【季語】-

 

 

泣寝入る 児が淋しひとり 炭つぎぬ

【季語】炭(冬)

 

 

鳴くかよこほろぎ私も眠れない

 

 

何だか死にさうな遠山の雪

 

 

握つてくれた手のつめたさで葉ざくら

 

 

二百十日の山草を刈る

【補足】二百十日(にひゃくとおか)は暦の雑節(ざっせつ)の一つで、立春から 210日目のことをいいます。

 

 

寝るよりほかない月を見てゐる

 

 

墓がならんでそこまで波がおしよせて

 

 

はだかではだかの子をだいてゆふべ

 

 

春が来た法衣を洗ふ

【補足】法衣(ほうえ)は僧が着用する服のことです。

 

 

ひとりで蚊にくはれてゐる

団扇の影

 

 

ひとりのあんたをひとりの私が冬の雨

 

 

日向ぼつこする猫も親子

 

 

ふと覚めて 耳澄ましたり 遠雷す

【季語】雷(夏)

 

 

ふるさとの 河原月草 咲きみだれ

【季語】月草(秋)

 

 

ふるさとの夜がふかいふるさとの夢

 

 

ふるさとは みかんのはなの にほふとき

【季語】みかん(冬)

 

 

ほうたるこいほうたるこいふるさとにきた

 

 

まづしいくらしのふろしきづつみ

 

 

松虫よ 鈴虫よ闇の 深さかな

【季語】松虫(秋) 鈴虫(秋)

 

 

三日月、おとうふ買うてもどる

 

 

三日月、遠いところをおもふ

 

 

みほとけのかげにぬかづくもののかげ

 

 

窓の灯は みな消えて若葉 そよげり

【季語】若葉(夏)

 

 

窓をあけたら月がひよつこり

 

 

蜜柑山 かがやけり児らが うたふなり

【季語】蜜柑(みかん:秋)

 

 

水はみな 音たつる山の ふかさかな

【季語】-

 

 

やうやうにして水仙のつぼみ

 

 

山の仏には山の花

 

 

山の紅葉へ胸いつぱいの声

 

 

雪あかり ほのかにも浪の 音すなり

【季語】雪(冬)

 

 

雪、雪、雪の一人

 

 

ゆふ空から柚子の一つをもぎとる

【補足】柚子の読みは「ゆず」です。

 

 

よろよろ歩いて故郷の方へ

 

 

吾妹子の 肌なまめかし なつの蝶

【季語】なつの蝶(夏)

【補足】吾妹子(わぎもこ)とは妻や恋人のことで、男性が使う言葉です。

 

 

わたくしのほうれんさうが四つ葉になつた

【季語】ほうれんさう:菠薐草(春)

 

 


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