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節分の俳句 30選  -せつぶん- 【有名俳人の名作から厳選】

福の文字が書かれた紙

現代の暦では、節分は 2月の立春の前日のことをいい、寒さが厳しい真冬の行事となります。

しかし、古くには立春・立夏・立秋・立冬の前日が節分とされていました。その由来を求めてゆくと、平安時代の鬼払いの儀式までさかのぼるので、節分は日本の伝統的な行事の一つであることがわかります。

このページには、節分が詠み込まれた俳句の中から 30句を選びました。節分ならではの雰囲気に満ちたものばかりですので、どうかじっくりと鑑賞してみて下さい。

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節分の俳句 30

節分草

「節分」が詠まれた句を集め、俳句の文字の五十音順に並べました。

なお、「節分」は俳句において冬の季語として扱われます。

 

 

木の間月 節分詣 たたずむも

【作者】皆吉爽雨(みなよし そうう)

【補足】節分詣(せつぶんもうで)とは、節分の日に寺社へ参詣することです。また、木の間月(このまづき)とは、木と木の間から見える月のことをいいます。

 

敷松葉 節分さむき 日なりけり

【作者】久保田万太郎(くぼた まんたろう)

【補足】敷松葉(しきまつば)とは、冬に庭などに敷き詰める松の葉のことです。

 

節分の 雨に来啼ける 軒明り

【作者】内田百間(うちだ ひゃっけん)

【補足】「啼ける」の読み方は「なける(≒鳴ける)」です。

 

節分の 丑満詣 降られずに

【作者】杉田久女(すぎた ひさじょ)

【補足】丑満(うしみつ=丑三つ)とは、現代では「午前二時~二時半頃」または「午前三時~三時半頃」に相当するといわれますが、いずれにせよ真夜中であることを意味します。

 

節分の 雲の重たき 日なりけり

【作者】稲畑汀子(いなはた ていこ)

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節分の 下足の紐を しごきをり

【作者】波多野爽波(はたの そうは)

【補足】下足(げそく)とは、脱いだ履物(はきもの)のことをいいます。

 

節分の 高張立ちぬ 大鳥居

【作者】原 石鼎(はら せきてい)

【補足】高張(たかばり)とは、高く掲げるようにした大形の「高張提灯(ちょうちん)」の略です。

 

節分の 辻々雪を 残しけり

【作者】鈴木真砂女(すずき まさごじょ)

【補足】辻々(つじつじ)とは「辻(=十字路)ごとに」という意味です。

 

節分の 何げなき雪 ふりにけり

【作者】久保田万太郎

 

節分の 化けおほせたる おちよぼかな

【作者】後藤夜半(ごとう やはん)

【補足】「おちょぼ」は茶屋などで芸妓の使いをする少女のことです。この句は、節分におちょぼが化粧や髷を結うなどした様子(=節分お化けの儀式)を詠んだものと解します。

 

節分の 人影大きく 夜の障子

【作者】阿部みどり女(あべ みどりじょ)

【補足】「障子」の読み方は「しょうじ」です。

半円形の障子

 

節分の 豆少し添へ 患者食

【作者】石田波郷(いしだ はきょう)

 

節分の 豆にまじろぎ 檻の鷲

【作者】加藤楸邨(かとう しゅうそん)

【補足】「檻」「鷲」「の読み方は、それぞれ「おり」「わし」です。「まじろぐ」とは、まばたきをすることです。

 

節分の 豆をだまつて たべて居る

【作者】尾崎放哉(おざき ほうさい)

 

節分の 豆を掴みて 躊躇へる

【作者】阿部みどり女

【補足】「掴みて」「躊躇へる」の読み方は、それぞれ「つかみて」「ためらえる」です。

 

節分の 宵の小門を くゞりけり

【作者】杉田久女

【補足】(よい)とは、日が暮れてからしばらくの間のことをいいます。

夕暮れ時の門

 

節分の 夜となり点る 辻の神

【作者】能村登四郎(のむら としろう)

【補足】「点る」の読み方は「ともる」です。辻の神とは、辻(つじ=道が十字形に交差しているところ)にいるとされる妖怪や魔物などの総称です。

 

節分の 夜や擲ちし 煙草の火

【作者】山口誓子(やまぐち せいし)

【補足】「擲ちし」の読み方は「なげうちし」です。

 

節分も 仏と誓ひ 老にける

【作者】望月宋屋(もちづき そうおく)

 

節分や いまはた老いし 妓たち

【作者】久保田万太郎

【補足】「いまはた(今将)」は「今はもう」の意です。「妓」の読み方は「おんな」です。

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節分や 鬼もくすしも 草の戸に

【作者】高浜虚子(たかはま きょし)

【補足】くすし(薬師)とは、医者のことです。「草の戸」とは、簡素なわびしい住居のことをいいます。

 

節分や きのふの雨の 水たまり

【作者】久保田万太郎

 

節分や 去らぬ鬼のみ ふえゆけり

【作者】平井照敏(ひらい しょうびん)

 

節分や つもるにはやき 町の雪

【作者】久保田万太郎

 

節分や 土間に溶けたる 傘の雪

【作者】鈴木真砂女

土間の風景

 

節分や 八百八町 月の辻

【作者】野村喜舟(のむら きしゅう)

【補足】八百八町(はっぴゃくやちょう)とは、江戸の町の数が多いことを表現する言葉です。

 

節分や 毬つきそらす 雪のうヘ

【作者】久保田万太郎

【補足】「毬」の読み方は「まり」です。

 

節分や 家ぬちかゞやく 夜半の月

【作者】水原秋桜子(みずはら しゅうおうし)

【補足】家ぬち(やぬち)とは、「家の内:やのうち」の音が変化したものです。

 

節分や よむたびちがふ 豆の數

【作者】正岡子規(まさおか しき)

【補足】「數」は「数」の旧字体です。

 

わがむかし 節分の豆 菓子とせり

【作者】平畑静塔(ひらはた せいとう)

豆菓子と升

 

 


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