梅の季語 31の【一覧】と例句
梅は古くから人々に愛され、多くの和歌・短歌・俳句に詠み込まれてきました。
梅は咲いたか 桜はまだかいな…
この江戸端唄にもあるように、日本の人々にとって梅は桜とともに馴染み深いものであり、花の中でも代表的な存在といえるでしょう。
このページには、「梅の季語」といえるものを集めて、それぞれの例句とともに並べました。単なる「梅」以外の様々な季語が楽しめますので、是非チェックしてみて下さい。
目次
- 1 梅の季語 31
- 1.1 青梅 / あおうめ
- 1.2 梅が香 / うめがか
- 1.3 梅酒 / うめしゅ
- 1.4 梅月夜 / うめづきよ
- 1.5 梅匂う / うめにおう
- 1.6 梅の里 / うめのさと
- 1.7 梅の花 / うめのはな
- 1.8 梅林 / うめばやし、ばいりん
- 1.9 梅干し / うめぼし
- 1.10 梅見 / うめみ
- 1.11 梅擬 / うめもどき
- 1.12 梅紅葉 / うめもみじ
- 1.13 黄梅 / おうばい
- 1.14 寒梅 / かんばい
- 1.15 紅梅 / こうばい
- 1.16 枝垂梅 / しだれうめ
- 1.17 白梅 / しらうめ
- 1.18 早梅 / そうばい
- 1.19 探梅 / たんばい
- 1.20 冬至梅 / とうじばい
- 1.21 煮梅 / にうめ
- 1.22 梅園 / ばいえん
- 1.23 鉢の梅 / はちのうめ
- 1.24 冬の梅 / ふゆのうめ
- 1.25 金縷梅 / まんさく、きんろばい
- 1.26 実梅 / みうめ
- 1.27 野梅 / やばい
- 1.28 夜の梅 / よるのうめ
- 1.29 利休梅 / りきゅうばい
- 1.30 老梅 / ろうばい
- 1.31 臘梅 / ろうばい
梅の季語 31
このページには「梅が香」「梅紅葉」「探梅」などのように、梅に関する季語を集めて、文字の五十音順に並べました。
また、それぞれの季語が詠み込まれた句を【例句】として挙げました。
なお、俳句の季語が持つ季節感は旧暦によるものなので、現代(新暦)の感覚からすると「ずれ」を感じることもあります。
青梅 / あおうめ
【季節】夏
【例句】青梅に 塩のしむ夜か 蟾の声
【作者】 桜井梅室(さくらい ばいしつ)
【補足】蟾(せん)とは、ヒキガエルのことです。ひきがえる。また、月にヒキガエルが住むという古い言い伝えから、月の別名として使われることもあります。
梅が香 / うめがか
【季節】春
【例句】梅か香は うしろになりぬ 朧月
【作者】正岡子規(まさおか しき)
梅酒 / うめしゅ
【季節】夏
【例句】貯へて おのづと古りし 梅酒かな
【作者】松本たかし(まつもと たかし)
梅月夜 / うめづきよ
【季節】春
【例句】枝々の つぼみ湧き出て 梅月夜
【作者】鷹羽狩行(たかは しゅぎょう)
梅匂う / うめにおう
【季節】春
【例句】梅匂ふ 梅のわかれと いふべしや
【作者】加藤秋邨(かとう しゅうそん)
梅の里 / うめのさと
【季節】春
【例句】祝の独り 歌をよむあり 梅の里
【作者】尾崎紅葉(おざき こうよう)
梅の花 / うめのはな
【季節】春
【例句】手をかけて 人の顔見て 梅の花
【作者】小林一茶(こばやし いっさ)
梅林 / うめばやし、ばいりん
【季節】春
【例句】寒つよく 花黄に暮るる 梅林
【作者】長谷川かな女(はせがわ かなじょ)
梅干し / うめぼし
【季節】夏
【例句】梅干の 核口中に 冬至粥
【作者】阿波野青畝(あわの せいほ)
【補足】冬至粥(とうじがゆ)とは、冬至の日に食べる小豆粥(あずきがゆ)のことで、小豆の赤い色は厄を払うとわれています。
梅見 / うめみ
【季節】春
【例句】青空の いつみえそめし 梅見かな
【作者】久保田万太郎(くぼた まんたろう)
梅擬 / うめもどき
【季節】秋
【例句】折りくるる 心こぼさじ 梅もどき
【作者】与謝蕪村(よさ ぶそん)
【補足】梅擬はモチノキ科の落葉低木で、花や葉が梅に似ていて、赤い実をつけます。
梅紅葉 / うめもみじ
【季節】秋
【例句】涼しさや 風の色さす 梅もみぢ
【作者】志太野坡(しだ やは)
黄梅 / おうばい
【季節】春
【例句】黄梅に 佇ちては恃む 明日の日を
【作者】三橋鷹女(みつはし たかじょ)
【補足】「佇ちては恃む」の読み方は「まちてはたのむ」です。
寒梅 / かんばい
【季節】冬
【例句】寒梅や あまりに遠き 枝のさき
【作者】星野立子(ほしの たつこ)
紅梅 / こうばい
【季節】春
【例句】夜なれば うす紅梅も ただ白し
【作者】山口青邨(やまぐち せいそん)
枝垂梅 / しだれうめ
【季節】春
【例句】つぶつぶと 蕾むゆかしき 枝垂梅
【作者】阿波野青畝
枝 垂 梅
白梅 / しらうめ
【季節】春
【例句】しら梅に 余寒の雲の かかる也
【作者】高井几董(たかい きとう)
早梅 / そうばい
【季節】冬
【例句】早梅や 御室の里の 売屋敷
【作者】与謝蕪村
【補足】御室(おむろ)は京都の地名です。
探梅 / たんばい
【季節】冬
【例句】探梅の 人が覗きて 井は古りぬ
【作者】前田普羅(まえだ ふら)
【補足】探梅とは、冬のうちに早咲きの梅を探しに出ることをいいます。
冬至梅 / とうじばい
【季節】冬
【例句】冬至梅 夜は水月の 宿りかな
【作者】松瀬青々(まつせ せいせい)
【補足】水月(すいげつ)とは、「水と月」または「水に映る月影」を意味します。
煮梅 / にうめ
【季節】夏
【例句】何阿弥の 秘めて煮梅の 加減かな
【作者】三宅嘯山(みやけ しょうざん)
【補足】煮梅とは、梅の実を砂糖で煮たものをいいます。
梅園 / ばいえん
【季節】春
【例句】梅園や 誰もひろはず 捨て扇
【作者】飯田蛇笏
【補足】「捨て扇」は秋の季語です。
鉢の梅 / はちのうめ
【季節】春
【例句】鉢の梅 浮世の義理に 開きけり
【作者】正岡子規
冬の梅 / ふゆのうめ
【季節】冬
【例句】冬の梅 咲やむかしの あたたまり
【作者】加賀千代女(かがのちよじょ)
金縷梅 / まんさく、きんろばい
【季節】春
【例句】金縷梅や 杣炭焼は 祭顔
【作者】前田普羅
【補足】金縷梅は「万作」とも表記されます。「杣」の読み方は「そま」です。
金 縷 梅
実梅 / みうめ
【季節】夏
【例句】ふるさとや 実梅を量る 母の枡
【作者】中村汀女(なかむら ていじょ)
【補足】「枡」の読み方は「ます」です。
野梅 / やばい
【季節】春
【例句】ゆく雲に 野梅は花の なごりかな
【作者】飯田蛇笏(いいだ だこつ)
夜の梅 / よるのうめ
【季節】春
【例句】夜の梅 飽かず去らずも 星見たり
【作者】山口青邨
利休梅 / りきゅうばい
【季節】夏
【例句】利休梅 その下蔭の 好もしき
【作者】後藤夜半(ごとう やはん)
【補足】利休梅は、明治時代に中国から渡来しました。
老梅 / ろうばい
【季節】春
【例句】老梅の 瑞枝の花も 賑はしく
【作者】山口青邨
【補足】瑞枝(みずえ)とは、みずみずしい若枝のことです。
臘梅 / ろうばい
【季節】冬
【例句】臘梅の 差しゐる雪の 上の影
【作者】阿波野青畝
臘 梅
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