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南風の俳句  -黒南風、白南風-

南風に流される雲

そろそろ夏になりそうな頃に、南からの季節風が吹くことがあります。

これには、南風(はえ)、黒南風(くろはえ)、白南風(しろはえ)などの呼び方があって、俳句の季語にもなっています。

このページには、南風、黒南風、白南風が詠み込まれた俳句を集めました。南風が吹いている光景が目に浮かぶような俳句作品を、どうかじっくりと鑑賞してみて下さい。

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目次

南風の俳句 30選

 

風に流される暗雲

 

南風(はえ)とは、夏になって南から吹く季節風のことをいいます。

「南風」を俳句の季語として用いる場合、次のように数種類の読み方があります。

  • はえ、まじ
  • みなみ
  • なんぷう
  • みなみかぜ

つまり、2・3・4・5音の読み方があって、俳句に詠み込むときに柔軟性があるので、使いやすい季語といえるでしょう。

まず以下に、俳句の中に「南風」が含まれているものを集め、句の文字の五十音順に並べました。

 

尼も乗る 松前船の 南風かな

【作者】飯田蛇笏(いいだ だこつ)

 

雨はこぶ 南風の山吹 ちりやまず

【作者】西島麦南(にしじま ばくなん)

 

いや白きは 南風つよき 帆ならむ

【作者】大野林火(おおの りんか)

 

オホツクは 遠浅の海 南風濁り

【作者】右城暮石(うしろ ぼせき)

【補足】遠浅(とおあさ)とは、海が岸から沖まで浅いことをいいます。

 

おもしろし 南風の船 東風の船

【作者】山口青邨(やまぐち せいそん)

 

彼の赤は 何色南風に 油塔の火

【作者】右城暮石

【補足】「彼の」の読み方は「の(=あの)」です。

 

船長の 案内くまなし 大南風

【作者】杉田久女(すぎた ひさじょ)

【補足】「案内」は「あない」と読みたいところです。

 

たはむれに モンローウォーク 南風のなか

【作者】高澤良一(たかざわ よしかず)

 

唐人船の 通ひし海や 南風吹く

【作者】上村占魚(うえむら せんぎょ)

【補足】「唐人船」の読み方は「とうじんぶね」です。

 

南風は 水面を吹けり 水底も

【作者】三橋鷹女(みつはし たかじょ)

【補足】「水面」の読み方は「みなも、みのも」です。

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のけぞれば 吾が見えたる 吾子に南風

【作者】中村草田男(なかむら くさたお)

【補足】「吾」「吾子」の読み方は、それぞれ「われ」「あこ(=自分の子のこと)」です。

 

南風つよく 少年たもを かつぎ来る

【作者】岸風三楼(きし ふうさんろう)

【補足】「たも」とは、魚をすくい取る玉網(たまあみ)のことです。

 

南風つよし 子の病難に 飯を噛む

【作者】飯田蛇笏

【補足】「噛む」の読み方は「かむ」です。

 

南風に 孕める薔薇の 蕾かな

【作者】日野草城(ひの そうじょう)

【補足】「孕める」「薔薇」「蕾」の読み方は、それぞれ「はらめる」「ばら」「つぼみ」です。

 

南風の後 畳拭かしめ 気落ちをり

【作者】篠田悌二郎(しのだ ていじろう)

 

南風の 孔雀となりて 死に挑む

【作者】三橋鷹女

 

南風の中 ゆつくり浜へ 能登老婆

【作者】桂 信子(かつら のぶこ)

 

南風の 渚レースを 編みつづけ

【作者】山口誓子(やまぐち せいし)

 

南風の浪 桐咲く梢を 走りつぐ

【作者】山口誓子

 

南風ふく 波止場に雲の たゞよへり

【作者】上村占魚

強風に流れる白雲

 

南風や 生れつ失せつ 蟻の城

【作者】芝不器男(しば ふきお)

 

南風や 化粧に洩れし 耳の下

【作者】日野草城

【補足】「洩れし」の読み方は「れし」です。

 

南風や ささくれ噛めば 血を噴きぬ

【作者】永井龍男(ながい たつお)

 

南風や つんつるてんの 貸浴衣

【作者】鈴木真砂女(すずき まさじょ)

【補足】「貸浴衣」の読み方は「かしゆかた」です。

 

南風や 隣の鯉を 吹いて来る

【作者】正岡子規(まさおか しき)

 

南風や のみあましたる ソーダ水

【作者】鈴木真砂女

 

人々に 夜も吹くなり 南風

【作者】高野素十(たかの すじゅう)

 

向日葵の 葉にとぶ蝿や 南風

【作者】飯田蛇笏

【補足】「向日葵」の読み方は「ひまわり」です。

 

日もすがら 日輪くらし 大南風

【作者】高浜虚子(たかはま きょし)

【補足】「日もすがら」とは「一日じゅう」という意味です。日輪(にちりん)とは、太陽のことをいいます。

 

耳もとに 波のわきたつ 南風かな

【作者】久保田万太郎(くぼた まんたろう)

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黒南風の俳句 15選

 

海辺の暗雲

 

黒南風(くろはえ)とは、梅雨時に吹く南風のことをいいます。

 

黒南風に 跼み通しの 沙蚕掘り

【作者】下村ひろし(しもむら ひろし)

【補足】「跼み通し」の読み方は「かがみどおし」です。沙蚕(ごかい)はゴカイ科の環形動物で、釣りのエサにします。

 

黒南風に のりてぞひとの 還りける

【作者】加藤楸邨(かとう しゅうそん)

【補足】「還り」の読み方は「かえり」です。

 

黒栄に 水汲み入るゝ 戸口かな

【作者】原 石鼎(はら せきてい)

【補足】「黒南風」は「黒栄」と表記されることもあります。

 

黒南風の 蘆原雲の ごとくなり

【作者】松村蒼石(まつむら そうせき)

 

黒南風の 切傷に沁む 運河べり

【作者】秋元不死男(あきもと ふじお)

【補足】「沁む」の読み方は「む」です。

 

黒南風の 岬に立ちて 呼ぶ名なし

【作者】西東三鬼(さいとう さんき)

 

黒南風の やがて白南風 長命寺

【作者】大峯あきら(おおみね あきら)

 

黒南風や 買つてすぐ嘸む 陀羅尼助

【作者】鈴木真砂女

【補足】陀羅尼助(だらにすけ)は、胃腸薬の名前です。

 

黒南風や 栗の花紐 垂りしづる

【作者】臼田亞浪(うすだ あろう)

 

黒南風や 島山かけて うち暗み

【作者】高浜虚子

 

黒南風や 屠所への羊 紙食べつつ

【作者】中村草田男

 

黒栄や 浪に打たれて 天の在り

【作者】野村喜舟(のむら きしゅう)

 

黒南風や 波は怒りを 肩に見せ

【作者】鈴木真砂女

 

黒南風や 昼なほ糶の 羅臼港

【作者】村上喜代子(むらかみ きよこ)

【補足】「糶」の読み方は「せり」です。羅臼港(らうすこう)は、北海道の知床半島の東側にある漁港です。

 

黒南風や 目高が鉢の そとに死し

【作者】篠田悌二郎

 

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白南風の俳句 15選

 

海辺の白波

 

白南風(しろはえ)とは、梅雨が明ける頃に吹く南風のことをいいます。

 

白南風に かざしてまろし 少女の掌

【作者】楠本憲吉(くすもと けんきち)

【補足】「掌」の読み方は「て」です。なお、「てのひら」や「たなごころ」と読むこともあります。

 

白南風に 月よりうすく 日おちゆく

【作者】川島彷徨子(かわしまほうこうし)

 

白南風に 播磨の米屋 匂ひをり

【作者】大峯あきら

 

白南風の 牛はさびしき 眼せる

【作者】加藤楸邨

【補足】「眼」の読み方は「まなこ」です。

 

白南風の 雲の切れゆく 迅さ見し

【作者】稲畑汀子(いなはた ていこ)

【補足】「迅さ」の読み方は「はやさ」です。

 

白南風の 竹の穂蝶を はなさざる

【作者】皆吉爽雨(みなよし そうう)

 

白南風の 庭に置かれて 白き椅子

【作者】稲畑汀子

【補足】「椅子」の読み方は「いす」です。

 

白南風の 浜あるきゐる 夕鴉

【作者】長谷川双魚(はせがわ そうぎょ)

【補足】「夕鴉」の読み方は「ゆうからす」です。

 

白南風の 夕波高う なりにけり

【作者】芥川龍之介(あくたがわ りゅうのすけ)

 

白南風や 足裏こたへに 防風の実

【作者】皆吉爽雨

 

白南風や かさねて藍の 皿小鉢

【作者】松村蒼石

【補足】「藍」の読み方は「あい」です。

 

白南風や 化粧にもれし 耳の蔭

【作者】日野草城

【補足】「蔭」の読み方は「かげ」です。

 

白南風や 背戸を出づれば 杏村

【作者】室生犀星(むろう さいせい)

 

白南風や 蝶はらひても はらひても

【作者】仙田洋子(せんだ ようこ)

 

白南風や 耳かすむるは 詩ばかり

【作者】仙田洋子

 

 


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