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「春めく」の俳句 25選  -はるめく-

ピンク色の桃の花

季節が冬から春へと移り変わり、春らしさが深まってくるのは楽しいものです。

草木、風、日の光、人の様子などすべてのものが生き生きとしてくるのが感じられると、日々の暮らしも充実してきます。

このページには、「春めく」に関する風物が詠み込まれた俳句の中から 25句を選びました。春ならではの明るい風景が目に浮かぶようなものばかりですので、どうかじっくりと鑑賞してみて下さい。

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「春めく」の俳句 25

白い桃の花と青空

「春めきて」「春めくや」など、春めくことに関するものが詠まれた句を集め、俳句の文字の五十音順に並べました。

なお、これらは俳句において春の季語として扱われます。

 

遠雷の のちの夜風の 春めく日

【作者】飯田龍太(いいだ りゅうた)

【補足】遠雷(えんらい)とは、遠くで鳴る雷(かみなり)のことです。

 

大枝を 卸すといふは 春めきて

【作者】後藤夜半(ごとう やはん)

【補足】卸す(おろす)とは、切って落とすことをいいます。

 

大杉の 下の小杉の 春めく日

【作者】飯田龍太

 

オリオン座 ひくゝ生れぬ 春めくや

【作者】及 川貞(おいかわ てい)

【補足】オリオン座は天の赤道上にあり、中央に並んだ三つ星が特徴です。

 

女より 男春めき 歩きをり

【作者】星野立子(ほしの たつこ)

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風さへも 春めくものと なりにけり

【作者】稲畑汀子(いなはた ていこ)

 

枯葎 やうやく刈られ 春めきし

【作者】長谷川かな女(はせがわ かなじょ)

【補足】葎(むぐら)とは、生い茂って藪(やぶ)のようになる蔓草(つるくさ)の総称です。

 

子の髪に 櫛入るゝ我れ 春めきぬ

【作者】渡辺水巴(わたなべ すいは)

【補足】「櫛」の読み方は「くし」です。

 

雪車立てて 少し春めく 垣根かな

【作者】 小林一茶(こばやし いっさ) (そり)

【補足】「雪車」の読み方は「そり」です。

 

土の香の 濡れて春めく 庭なりし

【作者】稲畑汀子

雨に濡れた日本家屋の庭

 

庭荒れて 鳶の声など 春めかす

【作者】正岡子規(まさおか しき)

【補足】「鳶」の読み方は「とび」です。

 

春めきし 山河消え去る 夕かげり

【作者】高浜虚子(たかはま きょし)

【補足】虚子は次の句も残しています。

  春めきし 野山消え去る 夕かげり

 

春めきて 髪を短く 切ることも

【作者】稲畑汀子

 

春めきて ものの果てなる 空の色

【作者】飯田蛇笏(いいだ だこつ)

 

春めくと いふ言の葉を くりかへし

【作者】阿部みどり女(あべ みどりじょ)

【補足】言の葉(ことのは)は、「言葉」のことです。

桜の葉と青空

 

春めくと どうだん茜 さしにけり

【作者】阿波野青畝(あわの せいほ)

【補足】「どうだん」は「どうだんつつじ(灯台躑躅)」を略したもので、ツツジ科の落葉低木です。

 

春めくと 指をよごしぬ 土塊に

【作者】吉武月二郎(よしたけ つきじろう)

【補足】「土塊」の読み方は「つちくれ(=土のかたまり)」です。

 

春めくや 赤らひく日の 西の島

【作者】上村占魚(うえむら せんぎょ)

【補足】「赤らひく」は「明るく照り映える」という意味で、「日」「朝日」などに掛かる枕詞(まくらことば)です。

 

春めくや 抱く子の素足 やはらかき

【作者】及川 貞

 

春めくや 人さまざまの 伊勢参り

【作者】山本荷兮(やまもと かけい)

【補足】伊勢神宮への参拝は、特に江戸時代以降に盛んになりました。

伊勢神宮の手水

 

春めくや 西日に小鳥 ちら~す

【作者】原 石鼎(はら せきてい)

 

つつましき 春めぐり来て リラ咲けり

【作者】水原秋桜子(みずはら しゅうおうし)

【補足】リラ(Lilas:フランス語)の英語名はライラック(Lilac)、和名は紫丁香花(むらさきはしどい)

 

まじりする おはじき下手で 春めく夜

【作者】長谷川かな女

 

水の影 春めく障子 あけにけり

【作者】野村泊月(のむら はくげつ)

【補足】「障子」の読み方は「しょうじ」です。

 

群岩に 上るしぶきも 春めけり

【作者】杉田久女(すぎた ひさじょ)

【補足】「群岩」の読み方は「むらいわ」です。

能登金剛の荒波

 


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