簾の俳句 -青簾、古簾-

半分巻上げられた簾

暑い夏の日に、簾は欠くことができないものものですが、朝の涼しい風を受ける簾や、夜に簾越しに見る月などには、とても風情があります。

そのような簾は、夏の風物詩の代表格ともいえるものですが、俳句の季語としても、多くの俳句にも取り上げられてきました。

このページには、前半に簾、古簾などが詠み込まれた俳句を、後半には青簾に関する俳句を集めました。夏の簾がある光景が目に浮かぶような俳句作品を、どうかじっくりと鑑賞してみて下さい。

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目次

簾・古簾の俳句 40選

部屋の中から見上げた簾

俳句において、単に「簾」とした場合は夏の季語となります。

なお、「秋簾」は秋の季語となります。

 

あさがほの 濃きいろがちや 簾越し

【作者】久保田万太郎(くぼた まんたろう)

 

暑き日の はじまる簾 下ろしけり

【作者】久保田万太郎

 

ありなしの 簾の風を 顧みし

【作者】高浜虚子(たかはま きょし)

【補足】「顧みし」の読み方は「かえりみし」です。

 

一枚の 暗き簾も 茶の心

【作者】京極杞陽(きょうごく きよう)

 

いもがりや 鬼灯ともる 簾越し

【作者】鈴木花蓑(すずき はなみの)

【補足】「いもがり」とは、妻や恋人がいる所を意味します。「鬼灯」の読み方は「ほおずき」です。

 

縁側の 簾のうちに 西瓜食ふ

【作者】高浜年尾(たかはま としお)

【補足】「西瓜」の読み方は「すいか」です。

 

垣間見れば 美人涼み居る 簾かな

【作者】会津八一(あいづ やいち)

 

買物は 一人が気楽 簾見る

【作者】星野立子(ほしの たつこ)

 

かさねての 写真簾の 下に撮る

【作者】京極杞陽

 

甕五十 馬車来て下ろす 簾の外に

【作者】石田波郷(いしだ はきょう)

【補足】「甕」の読み方は「かめ」です。

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川床や 簾透く日に あとじさり

【作者】阿部みどり女(あべ みどりじょ)

【補足】川床(かわゆか、かわどこ)は、京都や大阪の料理店や茶屋が、川のよく見える場所に設けた座敷です。

 

咲き初めし 簾越しの花は 瓢垣

【作者】杉田久女(すぎた ひさじょ)

【補足】「瓢垣」の読み方は「ひさごがき」です。

 

潮騒や 簾越しなる 顔は誰

【作者】加藤楸邨(かとう しゅうそん)

【補足】「潮騒」の読み方は「しおさい」です。

 

障子洩る 灯に簾うく 路次浅し

【作者】富田木歩(とみた もっぽ)

【補足】「障子」「洩る」の読み方は、それぞれ「しょうじ」「る」です。

 

水飯や 簾捲いたる 日の夕

【作者】尾崎紅葉(おざき こうよう)

【補足】「捲いたる」の読み方は「いたる」です。

 

簾越し 走り咲きして 萩のあり

【作者】鈴木花蓑

 

簾なき 流寓の夏 過ぎむとす

【作者】山口誓子(やまぐち せいし)

【補足】流寓(りゅうぐう)とは、放浪して他郷に住むことをいいます。

 

簾巻きて 柱細りて 立ちにけり

【作者】星野立子

 

簾捲く 月の渺たる 磯家かな

【作者】飯田蛇笏(いいだ だこつ)

【補足】「渺」の読み方は「びょう(=とても小さいことを表現します)」です。磯家(いそや)とは、磯の近くにある家のことです。

 

長短に 簾かけあり 十六夜

【作者】長谷川かな女(はせがわ かなじょ)

長短に吊り下げられた簾

 

蝶光り とべる簾の 外面かな

【作者】高濱年尾

【補足】「外面」の読み方は「そとも、とのも」です。

 

心太 水晶簾と 賛すべく

【作者】寺田寅彦(てらだ とらひこ)

【補足】「心太」の読み方は「ところてん」です。

 

何もかも 簾越しなり 撫子も

【作者】鈴木花蓑

【補足】撫子(なでしこ)は、秋の七草の一つです。

 

俳諧の 来しかた透ける 簾かな

【作者】久保田万太郎

 

拝殿の 御簾あら寒の 手向山

【作者】後藤夜半(ごとう やはん)

【補足】「御簾」の読み方は「みす」です。

 

花百合や 隣羨む 簾越し

【作者】芥川龍之介

【補足】「羨む」の読み方は「うらやむ」です。

 

一ト雨に また逃げられし 簾かな

【作者】久保田万太郎

 

人生きて 残すは悔や 簾捲く

【作者】鈴木真砂女(すずき まさじょ)

 

晩涼の 簾をさえも あげぬまま

【作者】中村汀女

 

日ざかりや 簾かすめし 蝶のかげ

【作者】久保田万太郎

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日は遠く 衰へゐるや 軒簾

【作者】松本たかし

 

昼寝子を 其まゝにして 簾かな

【作者】阿部みどり女

【補足】「其まゝ」の読み方は「そのまま」です。

 

古簾 上げ夕顔の 末の花

【作者】後藤夜半

 

古簾 越しに起居の しとやかに

【作者】高浜虚子

【補足】起居(ききょ)とは、立つこと・すわること、立ち居ふるまい、日常生活を意味します。

 

古簾 吊つてさつぱり 炭売れず

【作者】菖蒲あや(しょうぶ あや)

 

巻きあぐる 簾の冷えも 山泊り

【作者】亀井糸游(かめい しゆう)

 

みちのくの 月のつめたく 夏簾

【作者】柴田白葉女(しばた はくようじょ)

 

夕蝉や 松も簾も みな赤き

【作者】尾崎紅葉

 

夕立や 簾の月は 見えながら

【作者】鈴木花蓑

 

宵月の かかりてをりし 簾かな

【作者】木村蕪城(きむら ぶじょう)

日が落ちた頃の簾

 

 


 

青簾の俳句 30選

簾と透けて見える青空

古くには、宮中で四月一日に新しく青葉や翡翠の簾を掛けたことから青簾といい、次第に一般にも用いられるようになりました。

 

青簾 内には玉壷 砕くる音

【作者】寺田寅彦

 

青簾 好いた同士の 世帯かな

【作者】尾崎紅葉

 

青簾 ちよと恋草の 透模様

【作者】尾崎紅葉

 

青簾 巻き上げしまゝの 夜なりけり

【作者】高濱年尾

 

青簾 世に隠れんと には非ず

【作者】高浜虚子

 

雨を見る 白き面輪や 青簾

【作者】日野草城(ひの そうじょう)

【補足】面輪(おもわ)とは、顔のことです。

 

岩くらや さもなき家の 青簾

【作者】小林一茶(こばやし いっさ)

 

海暮れて 色失ひぬ 青簾

【作者】鈴木真砂女

 

瓦斯の灯は 青簾越し也 夏の虫

【作者】北原白秋(きたはら はくしゅう)

【補足】「瓦斯」の読み方は「がす」です。

 

忌中なる 花屋の青簾 かゝりけり

【作者】飯田蛇笏

【補足】忌中(きちゅう)とは、家族に死者があって忌(いみ)に服している間のことで、特に死後四十九日間をいいます。

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生娘の 聟見る窓や 青簾

【作者】尾崎紅葉

【補足】「生娘」「聟」の読み方は、それぞれ「きむすめ」「むこ(=婿、壻)」です。

 

玉盤の 鮎うつ音や 青簾

【作者】寺田寅彦

【補足】玉盤(ぎょくばん)とは、美しい皿のことで、皿の美称としても使われる言葉です。

 

黒猫の さし覗きけり 青簾

【作者】泉 鏡花(いずみ きょうか)

【補足】「覗きけり」の読み方は「のぞきけり」です。

 

五位六位 色こきまぜよ 青簾

【作者】服部嵐雪(はっとり らんせつ)

 

さし汐に 青簾をあげし 二階かな

【作者】長谷川かな女

 

自動車の とまりし音や 青簾

【作者】久保田万太郎

 

住みあきし 我家ながらも 青簾

【作者】永井荷風(ながい かふう)

 

清流に つき出し二階 青簾

【作者】星野立子

 

つかまれば 動きし欄や 青簾

【作者】長谷川かな女

【補足】欄(らん)とは、手すりや欄干(らんかん)のことです。

 

月影に 露をもちけり 青簾

【作者】井上井月(いのうえ せいげつ)

簾と山と月

 

つづきもの 書きはじめたる 青簾

【作者】久保田万太郎

 

庭傾き 映れる鏡 青簾

【作者】阿波野青畝(あわの せいほ)

 

古家や 奈良の都の 青簾

【作者】正岡子規(まさおか しき)

 

古宿や 青簾のそとの 花ざくろ

【作者】飯田蛇笏

 

隔てあるや 池の蓮ス葉 青簾

【作者】尾崎迷堂(おざき めいどう)

 

物ごしに 采女の聲や 青簾

【作者】井上井月

【補足】采女(うねめ)とは、古くに天皇の食事に奉仕した女官のことです。「聲」は声」の旧字体です。

 

山に日が 入りしばかりの 青簾

【作者】右城暮石(うしろ ぼせき)

 

よし吹や わか葉ながらの 青簾

【作者】高井几董(たかい きとう)

 

欄干に あがる怒濤や 青簾

【作者】鈴木花蓑

【補足】「怒涛」の読み方は「どとう(=はげしく荒れ狂う大波)」です。

 

をんな来て 別の淋しさ 青簾

【作者】長谷川双魚(はせがわ そうぎょ)

 


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