2月の季語 30の【一覧】と例句
寒さが厳しい 2月の初めには立春を迎えますが、まだ春と呼ぶには早いと感じる日々が続きます。
そんな寒さの中で咲く梅の花、古くからの風習である初午(はつうま)など、2月ならではの風物も多くあります。
このページでは、そのような季節感に満ちた「2月の季語」といえるものを集めました。2月特有の雰囲気をもったものばかりですので、是非チェックしてみて下さい。
目次
- 1 2月の季語 30
- 1.1 鶯 / うぐいす
- 1.2 鶯餅 / うぐいすもち
- 1.3 雨水 / うすい
- 1.4 薄氷 / うすらい
- 1.5 梅が香 / うめがか
- 1.6 絵踏 / えふみ
- 1.7 寒明け / かんあけ
- 1.8 寒施行 / かんせぎょう
- 1.9 如月 / きさらぎ
- 1.10 紅梅 / こうばい
- 1.11 冴え返る / さえかえる
- 1.12 残雪 / ざんせつ
- 1.13 三の午 / さんのうま
- 1.14 白魚 / しらうお
- 1.15 白梅 / しらうめ
- 1.16 二月 / にがつ
- 1.17 二月尽 / にがつじん
- 1.18 二月礼者 / にがつれいじゃ
- 1.19 猫柳 / ねこやなぎ
- 1.20 野焼 / のやき
- 1.21 海苔 / のり
- 1.22 初午 / はつうま
- 1.23 針供養 / はりくよう
- 1.24 春浅し
- 1.25 春寒し
- 1.26 春立つ
- 1.27 蕗の薹 / ふきのとう
- 1.28 盆梅 / ぼんばい
- 1.29 雪代 / ゆきしろ
- 1.30 雪踏 / ゆきふみ
2月の季語 30
私たちが使っている現代の暦(新暦)の 2月にみられる風物で、俳句の季語となっているものを集めて、句の文字の五十音順に並べました。
また、それぞれの季語が詠み込まれた句を【例句】として挙げました。
なお、俳句の季語の季節感は旧暦によるものであり、ここに集めた季語は「春」のものです。
鶯 / うぐいす
【例句】鴬に つもらぬ雪の ふりにけり
【作者】久保田万太郎(くぼた まんたろう)
【関連】 鶯の俳句
鶯餅 / うぐいすもち
【例句】街の雨 鶯餅が もう出たか
【作者】富安風生(とみやす ふうせい)
【補足】鶯餅は、餡(あん)を餅でなどで包んで鶯の形にした和菓子です。この名前は豊臣秀吉(とよとみ ひでよし)によるともいわれています。
雨水 / うすい
【例句】雨水より 啓蟄までの あたたかさ
【作者】後藤夜半(ごとう やはん)
【補足】雨水とは、一年を24等分して季節の名前を付けた二十四節気(にじゅうしせっき)の一つで、毎年 2/18 か19 頃です。
【関連】 雨水の俳句
薄氷 / うすらい
【例句】薄氷の 草を離るる 汀かな
【作者】高浜虚子(たかはま きょし)
【関連】 薄氷の俳句
梅が香 / うめがか
【例句】梅が香に 追ひもどさるる 寒さかな
【作者】松尾芭蕉(まつお ばしょう)
絵踏 / えふみ
【例句】傾城の 蹠(あしうら)白き 絵踏かな
【作者】芥川龍之介(あくたがわ りゅうのすけ)
【補足】天草の乱・島原の乱の後には厳しい宗教政策が行なわれ、江戸時代の後期には旧正月(=旧暦の 1月1日)から絵踏(えふみ=踏み絵)が行なわれていました。
寒明け / かんあけ
【例句】寒明けし ことに添ひかね ゐる心
【作者】稲畑汀子(いなはた ていこ)
【補足】二十四節気の「小寒 ~ 立春」の期間を「寒、寒中、寒の内」といい、小寒が「寒入り」、立春が「寒明け」となります。
【関連】 「寒」の季語と例句
寒施行 / かんせぎょう
【例句】寒施行 北へ流るゝ 野川あり
【作者】石田波郷(いしだ はきょう)
【補足】寒施行とは、前項の「寒」の時期に、狐や狸などに食べ物を施すことをいいます。
如月 / きさらぎ
【例句】如月や 身を切る風に 身を切らせ
【作者】鈴木真砂女(すずき まさごじょ)
【補足】如月は、旧暦 2月の異名です。
【関連】 如月の俳句
紅梅 / こうばい
【例句】好日や 紅梅の紅 失すばかり
【作者】竹下しづの女(たけした しづのじょ)
冴え返る / さえかえる
【例句】冴え返る 川上に水 なかりけり
【作者】村上鬼城(むらかみ きじょう)
【関連】 「冴え返る」の俳句
残雪 / ざんせつ
【例句】一握の 残雪其の 上の恋
【作者】秋元不死男(あきもと ふじお)
三の午 / さんのうま
【例句】三の午 椿拾ひて 遊びけり
【作者】川端茅舎(かわばた ぼうしゃ)
【補足】2月の最初の午(うま)の日を初午(はつうま)、2・3回目の午の日をそれぞれ二の午(にのうま)、三の午(さんのうま)といい、古くから稲荷詣で(いなりもうで)をする風習があります。かつては旧暦の日付で行われていましたが、現代では初午の行事を新暦で行なうことが多くなりました。
白魚 / しらうお
【例句】白魚や さぞな都は 寒の水
【作者】高井几董(たかい きとう)
白梅 / しらうめ
【例句】白梅に 魂入りし 月夜哉
【作者】正岡子規(まさおか しき)
二月 / にがつ
【例句】二ン月の 心に入り来 つはものら
【作者】三橋鷹女(みつはし たかじょ)
【補足】俳句では「二ン月(にんがつ)」と 4音で詠まれることも多くみられます。
二月尽 / にがつじん
【例句】ちらちらと 空を梅ちり 二月尽
【作者】原 石鼎(はら せきてい)
【補足】二月尽とは、二月が終わることをいいます。
二月礼者 / にがつれいじゃ
【例句】鶯や 二月礼者に 疎からず
【作者】松瀬青々(まつせ せいせい)
【補足】二月礼者とは、お正月に年始の挨拶ができずに 2月1日に行なう人、その風習のことをいいます。
猫柳 / ねこやなぎ
【例句】ときをりの 水のささやき 猫柳
【作者】中村汀女(なかむら ていじょ)
【関連】 猫柳の俳句
野焼 / のやき
【例句】佇める 人にひろごる 野焼かな
【作者】皆吉爽雨(みなよし そうう)
【補足】野焼とは、早春に害虫駆除のために野の枯草を焼き払うことです。
海苔 / のり
【例句】大海に 流れむとする 海苔を採る
【作者】前田普羅(まえだ ふら)
初午 / はつうま
【例句】初午の 祠(ほこら)ともりぬ 雨の中
【作者】芥川龍之介
【関連】 初午の俳句
針供養 / はりくよう
【例句】あじきなき 日を送りつゝ 針供養
【作者】高橋淡路女(たかはし あわじじょ)
【補足】針供養とは、使えなくなった針を供養する行事で、2月8日、12月8日、あるいはその両日に寺社で行われます。
春浅し
【例句】吹き切つて 灯影ひゞかん 春浅き
【作者】富田木歩(とみた もっぽ)
【関連】 「春浅し」の俳句
春寒し
【例句】何はさて 命大事の 春寒し
【作者】尾崎紅葉(おざき こうよう)
春立つ
【例句】帯きもの きもの黄八丈 春立ちて
【作者】及 川貞(おいかわ てい)
蕗の薹 / ふきのとう
【例句】乾きたる 垣根の土や 蕗の薹
【作者】高浜虚子
【関連】 蕗の薹の俳句
盆梅 / ぼんばい
【例句】盆梅の はらりほろりと 情かな
【作者】富安風生
【補足】盆梅とは、盆栽や鉢植えの梅のことをいいます。
雪代 / ゆきしろ
【例句】雪代に 戸開けて女 映りをり
【作者】高野素十(たかの すじゅう)
【補足】雪代とは、雪が解けて川に流れ出す水のことをいいます。
雪踏 / ゆきふみ
【例句】雪踏みの つけたる道に 出でにけり
【作者】前田普羅
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