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12月の俳句 30選 【有名俳人の名作から厳選】

除夜の鐘

一年の最後の月である12月に入ると、いよいよ今年も終わりかという少し寂しいような気持になってきます。

そして、新年を迎える準備などであわただしく過ごしていると、あっという間に大晦日がやって来てしまいます。

このページには、一年の締めくくりとなる 12月に関連した、「12月の俳句」と呼ぶにふさわしい作品を集めました。12月ならではの雰囲気に満ちたばかりですので、是非ともじっくりと鑑賞してみて下さい。

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目次

12月の俳句について

現代の暦(新暦)の12月の行事や風物が詠まれている句を集め、最初の文字の五十音順に並べました。

ここに集めた俳句の季語はすべて「冬」のものです。

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12月の俳句 30選

 

あたゝかき 一と夜二た夜も 年の暮

【季語】年の暮

【作者】石塚友二(いしづか ともじ)

【補足】「一と夜二た夜も」の読み方は「ひとよふたよも」です。

 

いそがしき 冬至の妻の うしろ影

【季語】冬至

【作者】日野草城(ひの そうじょう)

【補足】冬至(とうじ)は二十四節気の一つで、「一年のうちで最も昼が短くなる日(=最も夜が長くなる日)」のことです。

【参考】 二十四節気とは?  冬至の俳句

 

大歳の 暮れゆく雲を 仰ぎけり

【季語】大歳

【作者】西島麦南(にしじま ばくなん)

【補足】大歳(おおとし、おおどし)とは、大晦日(おおみそか)のことです。

 

大年の 暮色も拭ひ難くなる

【季語】大年

【作者】相生垣瓜人(あいおいがき かじん)

【補足】大年(おおとし、おおどし)も大晦日のことをいいます。暮色(ぼしょく)とは、暮れ方の薄暗い色、夕方の景色のことをいいます。

 

汲みたての 水うつくしき 煤払

【季語】煤払

【作者】日野草城

【補足】かつては旧暦の 12月13日に大掃除が行なわれていましたが、この由来となるのが煤払(すすはらい)という平安時代に行われていた行事です。

 

小気味よき 寒さとなりぬ 年の暮

【季語】年の暮

【作者】星野立子(ほしの たつこ)

【関連】 年の暮れの俳句

 

極月の 人々人々 道にあり

【季語】極月

【作者】山口青邨(やまぐち せいそん)

【補足】極月(ごくげつ)とは 12月の異名です。他にも、後述の師走(しわす)をはじめとして、晩冬(ばんとう)、氷月(ひょうげつ)など様々な別名があります。

師走の浅草寺

 

極月の 昼寝の夢の はかなしや

【季語】極月

【作者】日野草城

 

極月の やりくり時間 にもありし

【季語】極月

【作者】稲畑汀子(いなはた ていこ)

 

今年また 木綿縞着て 年の暮

【季語】年の暮

【作者】細見綾子(ほそみ あやこ)

【補足】「木綿縞」の読み方は「もめんじま(=縞を織り出した綿布)」です。

 

山茶花の 咲きてことしも 師走かな

【季語】師走、山茶花(さざんか)

【作者】久保田万太郎(くぼた まんたろう)

【補足】師走(しわす)は旧暦の 12月の呼び名です。

師走の名前の由来として、「師(=僧侶の意)が走るほど忙しい」という説があります。しかし、これは民間語源(言語学的に根拠がないもの)であるとされています。

 

さむざむと 日輪あそぶ 冬至かな

【季語】冬至

【作者】飯田蛇笏(いいだ だこつ)

【補足】日輪(にちりん)とは太陽のことです。また、月は月輪(がちりん)といいます。いずれも輪(わ)のように丸いことから名付けられたものです。

 

尻もちを つきてよろこぶ しはす哉

【季語】しはす

【作者】北村季吟(きたむら きぎん)

 

師走の夜の 釣鐘ならす 身となりて

【季語】師走

【作者】尾崎放哉(おざき ほうさい)

【補足】晩年の放哉は、瀬戸内海の小豆島で寺男としての生活を送りました。

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水仙の 香も押合ふや 年の市

【季語】年の市

【作者】加賀千代女(かがのちよじょ)

【補足】年の市は年末にお正月飾りなどを売り出す市で、歳の市、暮の市ともいわれます。

 

月あらむ 櫺子明りを 柚子風呂に

【季語】柚子風呂

【作者】臼田亞浪(うすだ あろう)

【補足】冬至の日の柚子風呂(ゆずぶろ)は江戸時代の銭湯から流行したといわれています。柚子湯(ゆずゆ)、冬至風呂ともよばれています。

「月あらむ」は「月が出ているのだろう」の意です。櫺子(れんじ)とは、窓や戸などに取り付ける格子のことです。

 

妻はまだ 何かしてをり 除夜の鐘

【季語】除夜の鐘

【作者】日野草城

【関連】 除夜の鐘の俳句

 

年の市 何しに出たと 人のいふ

【季語】年の市

【作者】小林一茶(こばやし いっさ)

 

年の瀬の うららかなれば 何もせず

【季語】年の瀬

【作者】細見綾子

【補足】「うららか(麗らか)」とは、空が晴れて明るく穏やかな様子を表現する言葉です。

 

年の瀬の 三日つづきて 晴れわたり

【季語】年の瀬

【作者】細見綾子

 

年忘れ 一斗の酒を 尽しけり

【季語】年忘れ

【作者】正岡子規(まさおか しき)

【補足】一斗(いっと)は、約 18リットルに相当します。

杉玉

 

長旅の はてのわが家や 年の暮

【季語】年の暮れ

【作者】久保田万太郎

 

中々に 心おかしき 臘月哉

【季語】臘月

【作者】松尾芭蕉(まつお ばしょう)

【補足】臘月(ろうげつ)も 12月の別名で、臈月、﨟月と表記されることもあります。

 

何かしら 遠し遠しと 年暮るる

【季語】年暮るる

【作者】富安風生(とみやす ふうせい)

 

仏壇の 菓子うつくしき 冬至かな

【季語】冬至

【作者】正岡子規

 

北斎を 見る極月の 橋わたり

【季語】極月

【作者】橋 閒石(はし かんせき)

【補足】葛飾北斎(かつしか ほくさい)は、江戸時代後期の浮世絵師です。

 

ゆく年や 蕎麦にかけたる 海苔の艶

【季語】ゆく年

【作者】久保田万太郎

【補足】「蕎麦」「海苔の艶」の読み方は、それぞれ「そば」「のりつや」です。

 

柚子湯出て 老の顔なる 汗やまず

【季語】柚子湯

【作者】皆吉爽雨(みなよし そうう)

 

來年の いつの間にやら 來りけり

【季語】来年

【作者】正岡子規

 

わが家の いづこか除夜の 釘をうつ

【季語】除夜

【作者】山口誓子(やまぐち せいし)

【補足】除夜(じょや)とは、大晦日の夜のことをいいます。

 

 


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