1月の季語 30の【一覧】と例句
何かと忙しい年の暮れを越えて迎えたお正月、しかし楽しい時はあっという間に過ぎてしまいます。
1月の暦をみれば「小寒」「大寒」といった文字が目につき、寒さもピークに向かっていきます。
このページでには、そのような季節感に満ちた「1月の季語」といえるものを集めました。1月特有の雰囲気をもったものばかりですので、是非チェックしてみて下さい。
目次
- 1 1月の季語30
- 1.1 小豆粥 / あずきがゆ
- 1.2 風花 / かざはな
- 1.3 寒月 / かんげつ
- 1.4 寒雀 / かんすずめ
- 1.5 寒卵 / かんたまご
- 1.6 寒椿 / かんつばき
- 1.7 寒念仏 / かんねぶつ、かんねんぶつ
- 1.8 寒の入り / かんのいり
- 1.9 寒の内 / かんのうち
- 1.10 寒の水 / かんのみず
- 1.11 寒梅 / かんばい
- 1.12 寒風 / かんぷう
- 1.13 寒牡丹 / かんぼたん
- 1.14 寒詣 / かんもうで
- 1.15 寒餅 / かんもち
- 1.16 厳寒 / げんかん
- 1.17 寒し
- 1.18 大寒 / だいかん
- 1.19 氷柱 / つらら
- 1.20 どんど
- 1.21 七草 / ななくさ
- 1.22 福寿草 / ふくじゅそう
- 1.23 松過ぎ / まつすぎ
- 1.24 藪入 / やぶいり
- 1.25 雪
- 1.26 雪折れ / ゆきおれ
- 1.27 雪卸 / ゆきおろし
- 1.28 雪女郎 / ゆきじょろう
- 1.29 雪晴 / ゆきばれ
- 1.30 雪見 / ゆきみ
1月の季語30
私たちが使っている現代の暦(新暦)の 1月にみられる風物で、俳句の季語となっているものを集めて、句の文字の五十音順に並べました。
また、それぞれの季語が詠まれた句を【例句】として挙げました。
なお、俳句の季語の季節感は旧暦によるものであり、ここに集めた季語は「冬」のものです。
小豆粥 / あずきがゆ
【例句】吾子が頬に したたかつけぬ 小豆粥
【作者】尾崎紅葉(おざき こうよう)
【補足】古くから、1/15 の小正月にはお米と小豆を炊き込んだ小豆粥を食べる習慣がありました。吾子(あこ)とは、「わが子」を意味します。
風花 / かざはな
【例句】風花に 礼者のかざす 扇かな
【作者】村上鬼城(むらかみ きじょう)
【補足】風花とは、風に乗ってきた雪のことをいいます。礼者(れいじゃ、れいしゃ)とは、年賀にまわり歩く人です。
【関連】 風花の俳句
寒月 / かんげつ
【例句】寒月や 門をたゝけば 沓の音
【作者】与謝蕪村(よさ ぶそん)
【補足】「沓」の読み方は「くつ」です。
【関連】 寒月の俳句
寒雀 / かんすずめ
【例句】寒雀 もんどり打つて 飛びにけり
【作者】川端茅舎(かわばた ぼうしゃ)
【関連】 寒雀の俳句
寒卵 / かんたまご
【例句】夜すがらの あらしもやみて 寒卵
【作者】山口誓子(やまぐち せいし)
寒椿 / かんつばき
【例句】折り取つて 日向に赤し 寒椿
【作者】渡辺水巴(わたなべ すいは)
【関連】 寒椿の俳句
寒念仏 / かんねぶつ、かんねんぶつ
【例句】まよひ子を 呼声たえて 寒念仏
【作者】松岡青蘿(まつおか せいら)
【補足】寒念仏とは、寒中(次の項を参照)に鉦(かね)・太鼓を叩き、念仏を唱えながら練り歩くことをいいます。
寒の入り / かんのいり
【例句】清流は 霜にささやき 寒の入り
【作者】飯田蛇笏(いいだ だこつ)
【補足】このページの「寒(かん)」に関係する二十四節気について、下の表にまとめました。
二十四節気 | 別名 | |
寒 寒中 寒の内 |
小寒 | 寒の入り |
大寒 | - | |
立春 | 寒の明け |
小寒から立春までの期間を寒、寒中、寒の内といいます。
【参考】 大寒の卵、寒の水が人気なのは何故?
寒の内 / かんのうち
【例句】寒の内 このやうな日の あることを
【作者】星野立子(ほしの たつこ)
寒の水 / かんのみず
【例句】寒の水 飲みてつらぬく もののあり
【作者】皆吉爽雨(みなよし そうう)
寒梅 / かんばい
【例句】寒梅や 空の青さに すきとほり
【作者】星野立子
寒風 / かんぷう
【例句】寒風や 菜に飛ぶ虫の 散りゞに
【作者】渡辺水巴
寒牡丹 / かんぼたん
【例句】そのあたり ほのとぬくしや 寒牡丹
【作者】高浜虚子(たかはま きょし)
【関連】 寒牡丹の俳句
寒詣 / かんもうで
【例句】風神を 祀らすとかや 寒詣
【作者】後藤夜半(ごとう やはん)
寒餅 / かんもち
【例句】寒餅の とゞきて雪と なりにけり
【作者】久保田万太郎(くぼた まんたろう)
厳寒 / げんかん
【例句】厳寒や 夜の間に萎えし 草の花
【作者】杉田久女(すぎた ひさじょ)
寒し
【例句】寒しとは 小町が嘘よ ほとゝぎす
【作者】高井几董(たかい きとう)
大寒 / だいかん
【例句】大寒の 空の白壁 日もすがら
【作者】阿部みどり女(あべ みどりじょ)
【補足】大寒は、一年を 24等分して季節の名前をつけた二十四節気の一つです。
【参考】 大寒とは?
【関連】 大寒の俳句
氷柱 / つらら
【例句】にぎやかに 氷柱しづくの 障子かな
【作者】水原秋桜子(みずはら しゅうおうし)
【関連】 氷柱の俳句
どんど
【例句】どんどの火 衰へ瀬音の 高まり来
【作者】 阿部みどり女
【補足】小正月には左義長(さぎちょう)という火祭りの行事が行なわれますが、これは「どんど焼き、どんどん焼き、どんと焼き」などとも呼ばれます。
【関連】 左義長の俳句
七草 / ななくさ
【例句】七種の そろはずとても いわゐ哉
【作者】加舎白雄(かや しらお)
【補足】1/7 の人日(じんじつ)の節句は、七草(ななくさ)ともいわれます。行事食の七草粥には、次の春の七草がよく使われています。
- せり
- なずな
- ごきょう
- はこべら
- ほとけのざ
- すずな(かぶ)
- すずしろ(だいこん)
福寿草 / ふくじゅそう
【例句】福寿草 紙風船と あることも
【作者】中村汀女(なかむら ていじょ)
【補足】福寿草は、キンポウゲ科の多年草です。
【関連】 福寿草の俳句
松過ぎ / まつすぎ
【例句】松過ぎの 福神巡り したりけり
【作者】青木月斗(あおき げっと)
【補足】松過ぎとは、正月の松飾りを取り除いたあとのことをいいます。
藪入 / やぶいり
【例句】薮入や 母すこやかに 梅の花
【作者】野村喜舟(のむら きしゅう)
【補足】かつてには藪入り(奉公人が実家へ帰ることを許される)の習慣がありました。
雪
【例句】金殿の ともし火細し 夜の雪
【作者】正岡子規(まさおか しき)
【補足】金殿(きんでん)とは、黄金で飾り付けた御殿、りっぱで美しい御殿のことです。
【参考】 雪の種類・言葉・表現【一覧表】
【関連】 雪の俳句
雪折れ / ゆきおれ
【例句】雪折も 聞えて暗き 夜なりけり
【作者】与謝蕪村
【補足】雪折れとは、降り積もった雪の重さで木の枝などが折れることをいいます。
雪卸 / ゆきおろし
【例句】雪卸 少女ならねど 赤き靴
【作者】長谷川 櫂(はせがわ かい)
雪女郎 / ゆきじょろう
【例句】みちのくの 雪深ければ 雪女郎
【作者】山口青邨(やまぐち せいそん)
【補足】雪女郎とは、雪国で言い伝えられる「雪女」のことです
雪晴 / ゆきばれ
【例句】雪晴の 日の柔かく 暖かく
【作者】星野立子
雪見 / ゆきみ
【例句】門を出て 行先まどふ 雪見かな
【作者】永井荷風(ながい かふう)
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