4月の季語 30の【一覧】と例句
4月になると気候も良くなって暖かくなり、季節は春そのものといった様子になります。
花見をはじめとして、様々な風物に触れることができ、「春」を存分に楽しめるのが 4月ではないでしょうか。
このページには、そのような季節感に満ちた「4月の季語」といえるものを集めて、それぞれの例句とともに並べました。4月ならではの雰囲気をもったものばかりですので、是非チェックしてみて下さい。
目次
- 1 4月の季語 30
- 1.1 甘茶 / あまちゃ
- 1.2 朧 / おぼろ
- 1.3 蛙 / かわず
- 1.4 蚊帳釣草 / かやつりぐさ
- 1.5 穀雨 / こくう
- 1.6 桜狩 / さくらがり
- 1.7 桜草 / さくらそう
- 1.8 桜餅 / さくらもち
- 1.9 四月尽 / しがつじん
- 1.10 雀の子 / すずめのこ
- 1.11 清明 / せいめい
- 1.12 蝶 / ちょう
- 1.13 躑躅 / つつじ
- 1.14 菜の花 / なのはな
- 1.15 長閑 / のどか
- 1.16 初桜 / はつざくら
- 1.17 初花 / はつはな
- 1.18 花曇り / はなぐもり
- 1.19 花衣 / はなごろも
- 1.20 花の雨 / はなのあめ
- 1.21 花冷え / はなびえ
- 1.22 花人 / はなびと
- 1.23 花見 / はなみ
- 1.24 花御堂 / はなみどう
- 1.25 春の月 / はるのつき
- 1.26 春の宵 / はるのよい
- 1.27 春の夜 / はるのよる
- 1.28 日永 / ひなが
- 1.29 雲雀 / ひばり
- 1.30 柳 / やなぎ
4月の季語 30
私たちが使っている現代の暦(新暦)の 4月にみられる風物で、俳句の季語となっているものを集めて、句の文字の五十音順に並べました。
また、それぞれの季語が詠み込まれた句を【例句】として挙げました。
なお、俳句の季語の季節感は旧暦によるものであり、ここに集めた季語は「春」のものです。
甘茶 / あまちゃ
【例句】和尚云ふ 甘茶貰ひに また来たか
【作者】高浜虚子(たかはま きょし)
【補足】4月8日のお釈迦さまの誕生日(=花祭り)には、誕生仏に甘茶を注いでお祝いをします。これは、お釈迦さまが誕生したときに、天の八大竜王が甘露(かんろ)を降らせたという故事に由来しています。
【参考】 花祭りとは?
朧 / おぼろ
【例句】別れんと かんばせよする 朧かな
【作者】飯田蛇笏(いいだ だこつ)
【補足】朧とは「はっきりしないこと、ぼんやりしていること」を表現する言葉です。「かんばせ」は「顔、顔つき、顔色」などを意味します。
【関連】 朧の俳句
蛙 / かわず
【例句】なく蛙 白河に関は なかりけり
【作者】泉鏡花(いずみ きょうか)
【補足】白河の関(しらかわのせき)は、福島の白河神社のある場所に設けられていたとされる関所です。
【関連】 蛙の俳句
蚊帳釣草 / かやつりぐさ
【例句】淋しさの 蚊帳吊草を 割きにけり
【作者】 富安風生(とみやす ふうせい)
【補足】蚊帳釣草は雑草の一種です。
穀雨 / こくう
【例句】琴屋来て 琴鳴らし見る 穀雨かな
【作者】 長谷川かな女(はせがわ かなじょ)
【補足】穀雨は、一年を24等分して季節の名前を付けた二十四節気の一つです。
【参考】 穀雨とは?
【関連】 穀雨の俳句
桜狩 / さくらがり
【例句】思ひ立つ 木曽や四月の 桜狩り
【作者】 松尾芭蕉(まつお ばしょう)
【補足】桜狩とは、一般にいう「花見」のことです。
桜草 / さくらそう
【例句】桜草 一茎のびて 花とぼし
【作者】 阿部みどり女(あべ みどりじょ)
桜餅 / さくらもち
【例句】桜餅 闇のかなたの 河明り
【作者】 石田波郷(いしだ はきょう)
【関連】 桜餅の俳句
四月尽 / しがつじん
【例句】夜具の下 畳つめたき 四月尽
【作者】 橋本多佳子(はしもと たかこ)
【補足】四月尽とは、四月が終わることをいいます
雀の子 / すずめのこ
【例句】雀の子 はや羽虱を ふるひけり
【作者】 小林一茶(こばやし いっさ)
【補足】羽虱(はじらみ)は、主に鳥類に寄生する生物です。
清明 / せいめい
【例句】清明の 路ゆく媼が 念珠かな
【作者】 飯田蛇笏
【補足】清明は、一年を24等分して季節の名前を付けた二十四節気の一つです。
【参考】 清明とは?
【関連】 清明の俳句
蝶 / ちょう
【例句】山寺や 蝶が受取る 甘茶水
【作者】 小林一茶
【関連】 蝶の俳句
躑躅 / つつじ
【例句】花びらの うすしと思ふ 白つつじ
【作者】 高野素十(たかの すじゅう)
【関連】 躑躅の俳句
菜の花 / なのはな
【例句】菜の花と いふ平凡を 愛しけり
【作者】 富安風生
【関連】 菜の花の俳句
長閑 / のどか
【例句】大佛の うしろ姿も 長閑なり
【作者】 正岡子規(まさおか しき)
初桜 / はつざくら
【例句】五六本 咲くや吉野の 初桜
【作者】 正岡子規
初花 / はつはな
【例句】初花の 水にうつらふ ほどもなき
【作者】 日野草城(ひの そうじょう)
花曇り / はなぐもり
【例句】花ぐもり 松に翡翠の 瑠璃うごく
【作者】 水原秋桜子(みずはら しゅうおうし)
【補足】花ぐもりとは、桜の咲く頃に空が薄曇りであることをいいます
【関連】 花曇りの俳句
花衣 / はなごろも
【例句】旅衣 花衣とも なりながら
【作者】 星野立子(ほしの たつこ)
【補足】花衣とは、花見に着る衣装のことをいいます。
【関連】 花衣の俳句
花の雨 / はなのあめ
【例句】京三日 二日は宿の 花の雨
【作者】 西山泊雲(にしやま はくうん)
【補足】桜の咲く頃に降る雨、または桜の花に降る雨のことを花の雨といいます。
花冷え / はなびえ
【例句】花冷えや 卓に肱つき 考へる
【作者】 阿部みどり女
【補足】花冷えとは、桜の咲く頃に寒さがやって来ることをいいます
【関連】 花冷えの俳句
花人 / はなびと
【例句】花人を よそ目に佗茶 くつろぎぬ
【作者】 阿波野青畝(あわの せいほ)
【補足】花人とは、花見をする人のことです。
花見 / はなみ
【例句】けふもまた 花見るあはれ 重ねつつ
【作者】 山口青邨(やまぐち せいそん)
【関連】 花見の俳句
花御堂 / はなみどう
【例句】うかがひて 杓さし入れる 花御堂
【作者】 川端茅舎(かわばた ぼうしゃ)
【補足】花御堂とは、前述の花祭りの際に誕生仏を安置する、様々な花で飾り付けたお堂のことです。
春の月 / はるのつき
【例句】子を負へる 影に昔を 春の月
【作者】 阿部みどり女
【関連】 春の月の俳句
春の宵 / はるのよい
【例句】句を知りて 四十年の 春の宵
【作者】 高橋淡路女(たかはし あわじじょ)
【関連】 春の宵の俳句
春の夜 / はるのよる
【例句】春の夜の ねむさ押へて 髪梳けり
【作者】 杉田久女(すぎた ひさじょ)
【補足】「梳けり」の読みは「とけり(すけり)」です。
日永 / ひなが
【例句】意久地無う 坐禅くづるゝ 日永かな
【作者】 幸田露伴(こうだ ろはん)
【補足】日永とは、春に日(昼の時間)が長くなってくることをいいます
【関連】 日永の俳句
雲雀 / ひばり
【例句】まりそれて ふと見附たる 雲雀哉
【作者】 小林一茶
柳 / やなぎ
【例句】引きよせて 放しかねたる 柳かな
【作者】 内藤丈草(ないとう じょうそう)
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