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6月の季語 30の【一覧】と例句

雨に濡れる青梅

6月になると雨の日も多くなり、季節は梅雨の時期へと移り変わってゆきます。

この頃には、どうしても外へ出るのがおっくうになり、湿度も高いので憂鬱な気持ちになりがちです。しかし、雨に濡れて咲く色鮮やかな紫陽花など、この時期にしか見られない美しい光景もあります。

このページでは、そのような季節感に満ちた「6月の季語」といえるものを集めて、それぞれの例句とともに並べました。6月ならではの雰囲気が感じられるものばかりですので、是非チェックしてみて下さい。

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6月の季語30

私たちが使っている現代の暦(新暦)の 6月にみられる風物で、俳句の季語となっているものを集めて、句の文字の五十音順に並べました。

また、それぞれの季語が詠み込まれた句を【例句】として挙げました。

なお、俳句の季語の季節感は旧暦によるものであり、ここに集めた季語は「夏」のものです。

 

 

葵 / あおい

【例句】うらかなし 葵が天へ 咲きのぼる

【作者】三橋鷹女(みつはし たかじょ)

【補足】には向日性があり、「仰ぐ日(あおぐひ)」という意味で名付けられたといわれています。

 

青梅 / あおうめ

【例句】青梅の たゝくや雨の 石燈籠

【作者】寺田寅彦(てらだ とらひこ)

 

紫陽花 / あじさい

【例句】紫陽花に 瞳ばかりの 記憶あり

【作者】長谷川かな女(はせがわ かなじょ)

【補足】紫陽花の花の色はよく変わることから、「七変化(しちへんげ)」「八仙花(はっせんか)」という別名も持っています。

【関連】 紫陽花の俳句

 

雨蛙 / あまがえる

【例句】或る時は 雨蛙なき 雨来る

【作者】高野素十(たかの すじゅう)

【関連】 雨蛙の俳句

 

瓜の花 / うりのはな

【例句】瓜の花 雫いかなる 忘れ草

【作者】松尾芭蕉(まつお ばしょう)

【補足】「雫」の読みは「しずく」です。

黄色い瓜の花

 

桜桃 / おうとう

【例句】桜桃の みのれる国を まだ知らず

【作者】三橋鷹女

【補足】桜桃(=サクランボ)は、果樹・実桜(ミザクラ)の実です。

 

蛙 / かわず

【例句】灯火も 人にもらひて 初蛙

【作者】中村汀女(なかむら ていじょ)

【関連】 蛙の俳句

 

柿の花 / かきのはな

【例句】柿の花 散るや仕官の 暇無き

【作者】正岡子規(まさおか しき)

【補足】「柿の花」は夏の季語ですが、単なる「柿」であれば秋の季語となります、「暇」のよみは「いとま」です。

【関連】 柿の俳句

 

かたつむり

【例句】かたつむり 十日の雨を なほ倦まず

【作者】山口青邨(やまぐち せいそん)

【補足】「かたつむり」は「蝸牛」と表記されることもあります。「倦まず」の読みは「まず」です。

 

黴 / かび

【例句】末の子が 黴と言葉を 使ふほど

【作者】中村汀女

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空梅雨 / からつゆ

【例句】空梅雨の 草木しづかに 曇りけり

【作者】日野草城(ひの そうじょう)

【補足】空梅雨とは、梅雨の期間に雨がほとんど降らない場合をいいます。

 

黒南風 / くろはえ

【例句】黒南風に 雲低き日と なりにけり

【作者】稲畑汀子(いなはた ていこ)

【補足】黒南風とは、梅雨の頃に吹く南からの風のことをいいます。

【関連】 南風の俳句

 

夏至 / げし

【例句】枝を伐る 夏至の日深く 響きたり

【作者】阿部みどり女(あべ みどりじょ)

【補足】夏至は、一年を 24等分して季節の名前を付けた二十四節気の一つです。

【参考】 夏至とは?

【関連】 夏至の俳句

 

五月雨 / さみだれ

【例句】五月雨や 色紙はげたる 古屏風

【作者】斯波園女(しば そのめ)

【関連】 五月雨の俳句

 

早苗 / さなえ

【例句】早苗水 走り流るる 籬に沿ひ

【作者】杉田久女(すぎた ひさじょ)

【補足】早苗とは、苗代(なわしろ:苗を育てるところ)から田に移す頃の稲の苗のことをいいます。

早苗と田

 

紫蘇 / しそ

【例句】紫蘇の香に をりをり触れて 黙りをり

【作者】加藤楸邨(かとう しゅうそん)

【補足】「をりをり」は「ときどき、たびたび」という意味です。

 

梅雨 / つゆ

【例句】梅雨ふかし 見えざる糸を 誰が引く

【作者】鈴木真砂女(すずき まさごじょ)

【補足】梅雨の時期には黴が発生しやすいため「黴雨(ばいう)」と呼ばれ、同じ音を持つ「梅雨」へと転じたともいわれています。

【関連】 梅雨の俳句

 

梅雨明け / つゆあけ

【例句】梅雨明けや 林の奥の ことごとく

【作者】阿部みどり女

 

梅雨入 / ついり

【例句】十薬の 花の十字の 梅雨入かな

【作者】石田波郷(いしだ はきょう)

【補足】梅雨の頃に栗の花が雨によって落ちることから、梅雨には栗花落(ついり)という別名があります。

 

梅雨寒 / つゆざむ

【例句】梅雨寒の 日の出早かれ 柳散る

【作者】渡辺水巴(わたなべ すいは)

【補足】梅雨寒とは、梅雨の頃の寒さをいいます。

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梅雨の月 / つゆのつき

【例句】梅雨の月 ありやとかざす 掌に

【作者】加藤楸邨

【補足】「掌」の読みは「てのひら」で、「たなごころ」と読むこともあります。

 

梅雨晴 / つゆばれ

【例句】南蛮絵 梅雨晴れたれば 歩く様

【作者】長谷川かな女

【補足】南蛮絵(なんばんえ)とは、安土桃山時代頃に日本に伝わってきた西洋画のことです。

 

梅雨夕焼 / つゆゆうやけ

【例句】ほのぼのと 梅雨夕焼けの 夕べかな

【作者】原 石鼎(はら せきてい)

 

入梅 / にゅうばい

【例句】入梅や 蟹かけ歩く 大座敷

【作者】小林一茶(こばやし いっさ)

【参考】 入梅とは?

 

花柘榴 / はなざくろ

【例句】花石榴 久しう咲いて 忘られし

【作者】正岡子規

【補足】花石榴(はなざくろ)とは、鑑賞用で実がならないものをいいます。

雨に濡れる石榴の花

 

花橘 / はなたちばな

【例句】駿河路や 花橘も 茶の匂ひ

【作者】松尾芭蕉

 

枇杷 / びわ

【例句】枇杷の蝉 かすかに鳴ける 逮夜かな

【作者】西島麦南(にしじま ばくなん)

【補足】逮夜(たいや)とは、葬儀・忌日(きじつ)の前夜のことで、「大夜」「宿夜」ということもあります。

 

芒種 / ぼうしゅ

【例句】芒種なり 水盤に粟 蒔くとせむ

【作者】草間時彦(くさま ときひこ)

【補足】芒種も二十四節気の一つです。

【参考】 芒種とは?

【関連】 芒種の俳句

 

水無月 / みなづき

【例句】走馬燈 青水無月の とある夜の

【作者】山口誓子(やまぐち せいし)

【補足】水無月は旧暦 6月の異名で、 水月(すいげつ)と呼ばれることもあります。

【関連】 水無月の俳句

 

六月 / ろくがつ

【例句】六月や 堤の下の 二階建

【作者】野村喜舟(のむら きしゅう)

一面が緑の堤

 

 


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