6月の季語 30の【一覧】と例句
6月になると雨の日も多くなり、季節は梅雨の時期へと移り変わってゆきます。
この頃には、どうしても外へ出るのがおっくうになり、湿度も高いので憂鬱な気持ちになりがちです。しかし、雨に濡れて咲く色鮮やかな紫陽花など、この時期にしか見られない美しい光景もあります。
このページでは、そのような季節感に満ちた「6月の季語」といえるものを集めて、それぞれの例句とともに並べました。6月ならではの雰囲気が感じられるものばかりですので、是非チェックしてみて下さい。
目次
- 1 6月の季語30
- 1.1 葵 / あおい
- 1.2 青梅 / あおうめ
- 1.3 紫陽花 / あじさい
- 1.4 雨蛙 / あまがえる
- 1.5 瓜の花 / うりのはな
- 1.6 桜桃 / おうとう
- 1.7 蛙 / かわず
- 1.8 柿の花 / かきのはな
- 1.9 かたつむり
- 1.10 黴 / かび
- 1.11 空梅雨 / からつゆ
- 1.12 黒南風 / くろはえ
- 1.13 夏至 / げし
- 1.14 五月雨 / さみだれ
- 1.15 早苗 / さなえ
- 1.16 紫蘇 / しそ
- 1.17 梅雨 / つゆ
- 1.18 梅雨明け / つゆあけ
- 1.19 梅雨入 / ついり
- 1.20 梅雨寒 / つゆざむ
- 1.21 梅雨の月 / つゆのつき
- 1.22 梅雨晴 / つゆばれ
- 1.23 梅雨夕焼 / つゆゆうやけ
- 1.24 入梅 / にゅうばい
- 1.25 花柘榴 / はなざくろ
- 1.26 花橘 / はなたちばな
- 1.27 枇杷 / びわ
- 1.28 芒種 / ぼうしゅ
- 1.29 水無月 / みなづき
- 1.30 六月 / ろくがつ
6月の季語30
私たちが使っている現代の暦(新暦)の 6月にみられる風物で、俳句の季語となっているものを集めて、句の文字の五十音順に並べました。
また、それぞれの季語が詠み込まれた句を【例句】として挙げました。
なお、俳句の季語の季節感は旧暦によるものであり、ここに集めた季語は「夏」のものです。
葵 / あおい
【例句】うらかなし 葵が天へ 咲きのぼる
【作者】三橋鷹女(みつはし たかじょ)
【補足】葵には向日性があり、「仰ぐ日(あおぐひ)」という意味で名付けられたといわれています。
青梅 / あおうめ
【例句】青梅の たゝくや雨の 石燈籠
【作者】寺田寅彦(てらだ とらひこ)
紫陽花 / あじさい
【例句】紫陽花に 瞳ばかりの 記憶あり
【作者】長谷川かな女(はせがわ かなじょ)
【補足】紫陽花の花の色はよく変わることから、「七変化(しちへんげ)」「八仙花(はっせんか)」という別名も持っています。
【関連】 紫陽花の俳句
雨蛙 / あまがえる
【例句】或る時は 雨蛙なき 雨来る
【作者】高野素十(たかの すじゅう)
【関連】 雨蛙の俳句
瓜の花 / うりのはな
【例句】瓜の花 雫いかなる 忘れ草
【作者】松尾芭蕉(まつお ばしょう)
【補足】「雫」の読みは「しずく」です。
桜桃 / おうとう
【例句】桜桃の みのれる国を まだ知らず
【作者】三橋鷹女
【補足】桜桃(=サクランボ)は、果樹・実桜(ミザクラ)の実です。
蛙 / かわず
【例句】灯火も 人にもらひて 初蛙
【作者】中村汀女(なかむら ていじょ)
【関連】 蛙の俳句
柿の花 / かきのはな
【例句】柿の花 散るや仕官の 暇無き
【作者】正岡子規(まさおか しき)
【補足】「柿の花」は夏の季語ですが、単なる「柿」であれば秋の季語となります、「暇」のよみは「いとま」です。
【関連】 柿の俳句
かたつむり
【例句】かたつむり 十日の雨を なほ倦まず
【作者】山口青邨(やまぐち せいそん)
【補足】「かたつむり」は「蝸牛」と表記されることもあります。「倦まず」の読みは「うまず」です。
黴 / かび
【例句】末の子が 黴と言葉を 使ふほど
【作者】中村汀女
空梅雨 / からつゆ
【例句】空梅雨の 草木しづかに 曇りけり
【作者】日野草城(ひの そうじょう)
【補足】空梅雨とは、梅雨の期間に雨がほとんど降らない場合をいいます。
黒南風 / くろはえ
【例句】黒南風に 雲低き日と なりにけり
【作者】稲畑汀子(いなはた ていこ)
【補足】黒南風とは、梅雨の頃に吹く南からの風のことをいいます。
【関連】 南風の俳句
夏至 / げし
【例句】枝を伐る 夏至の日深く 響きたり
【作者】阿部みどり女(あべ みどりじょ)
【補足】夏至は、一年を 24等分して季節の名前を付けた二十四節気の一つです。
【参考】 夏至とは?
【関連】 夏至の俳句
五月雨 / さみだれ
【例句】五月雨や 色紙はげたる 古屏風
【作者】斯波園女(しば そのめ)
【関連】 五月雨の俳句
早苗 / さなえ
【例句】早苗水 走り流るる 籬に沿ひ
【作者】杉田久女(すぎた ひさじょ)
【補足】早苗とは、苗代(なわしろ:苗を育てるところ)から田に移す頃の稲の苗のことをいいます。
紫蘇 / しそ
【例句】紫蘇の香に をりをり触れて 黙りをり
【作者】加藤楸邨(かとう しゅうそん)
【補足】「をりをり」は「ときどき、たびたび」という意味です。
梅雨 / つゆ
【例句】梅雨ふかし 見えざる糸を 誰が引く
【作者】鈴木真砂女(すずき まさごじょ)
【補足】梅雨の時期には黴が発生しやすいため「黴雨(ばいう)」と呼ばれ、同じ音を持つ「梅雨」へと転じたともいわれています。
【関連】 梅雨の俳句
梅雨明け / つゆあけ
【例句】梅雨明けや 林の奥の ことごとく
【作者】阿部みどり女
梅雨入 / ついり
【例句】十薬の 花の十字の 梅雨入かな
【作者】石田波郷(いしだ はきょう)
【補足】梅雨の頃に栗の花が雨によって落ちることから、梅雨には栗花落(ついり)という別名があります。
梅雨寒 / つゆざむ
【例句】梅雨寒の 日の出早かれ 柳散る
【作者】渡辺水巴(わたなべ すいは)
【補足】梅雨寒とは、梅雨の頃の寒さをいいます。
梅雨の月 / つゆのつき
【例句】梅雨の月 ありやとかざす 掌に
【作者】加藤楸邨
【補足】「掌」の読みは「てのひら」で、「たなごころ」と読むこともあります。
梅雨晴 / つゆばれ
【例句】南蛮絵 梅雨晴れたれば 歩く様
【作者】長谷川かな女
【補足】南蛮絵(なんばんえ)とは、安土桃山時代頃に日本に伝わってきた西洋画のことです。
梅雨夕焼 / つゆゆうやけ
【例句】ほのぼのと 梅雨夕焼けの 夕べかな
【作者】原 石鼎(はら せきてい)
入梅 / にゅうばい
【例句】入梅や 蟹かけ歩く 大座敷
【作者】小林一茶(こばやし いっさ)
【参考】 入梅とは?
花柘榴 / はなざくろ
【例句】花石榴 久しう咲いて 忘られし
【作者】正岡子規
【補足】花石榴(はなざくろ)とは、鑑賞用で実がならないものをいいます。
花橘 / はなたちばな
【例句】駿河路や 花橘も 茶の匂ひ
【作者】松尾芭蕉
枇杷 / びわ
【例句】枇杷の蝉 かすかに鳴ける 逮夜かな
【作者】西島麦南(にしじま ばくなん)
【補足】逮夜(たいや)とは、葬儀・忌日(きじつ)の前夜のことで、「大夜」「宿夜」ということもあります。
芒種 / ぼうしゅ
【例句】芒種なり 水盤に粟 蒔くとせむ
【作者】草間時彦(くさま ときひこ)
【補足】芒種も二十四節気の一つです。
【参考】 芒種とは?
【関連】 芒種の俳句
水無月 / みなづき
【例句】走馬燈 青水無月の とある夜の
【作者】山口誓子(やまぐち せいし)
【補足】水無月は旧暦 6月の異名で、 水月(すいげつ)と呼ばれることもあります。
【関連】 水無月の俳句
六月 / ろくがつ
【例句】六月や 堤の下の 二階建
【作者】野村喜舟(のむら きしゅう)
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