7月の季語 30の【一覧】と例句
7月には季節も本格的な夏へと向かい、それまで梅雨で湿りがちだった空も爽快な青さを取り戻します。
目にする色々な光景も輝いていますし、夏の爽快な気分を十分に味わうことができます。
このページでは、そのような季節感に満ちた「7月の季語」といえるものを集めて、それぞれの例句とともに並べました。7月ならではの雰囲気が感じられるものばかりですので、是非チェックしてみて下さい。
目次
- 1 7月の季語 30
- 1.1 青簾 / あおすだれ
- 1.2 打水 / うちみず
- 1.3 炎天 / えんてん
- 1.4 雷 / かみなり、らい
- 1.5 祇園会 / ぎおんえ
- 1.6 金魚 / きんぎょ
- 1.7 雲の峰 / くものみね
- 1.8 百日紅 / さるすべり
- 1.9 七月/ しちがつ
- 1.10 小暑 / しょうしょ
- 1.11 白南風 / しろはえ
- 1.12 睡蓮 / すいれん
- 1.13 蝉時雨 / せみしぐれ
- 1.14 大暑 / たいしょ
- 1.15 七夕 / たなばた
- 1.16 月見草 / つきみそう
- 1.17 土用 / どよう
- 1.18 土用干し / どようぼし
- 1.19 夏の雨 / なつのあめ
- 1.20 夏川 / なつかわ
- 1.21 夏山 / なつやま
- 1.22 虹 / にじ
- 1.23 蓮 / はす
- 1.24 日傘 / ひがさ
- 1.25 日盛り / ひざかり
- 1.26 日向水 / ひなたみず
- 1.27 百日草 / ひゃくにちそう
- 1.28 風鈴 / ふうりん
- 1.29 夕顔 / ゆうがお
- 1.30 夕立 / ゆうだち
7月の季語 30
私たちが使っている現代の暦(新暦)の 7月にみられる風物で、俳句の季語となっているものを集め、俳句の文字の五十音順に並べました。
また、それぞれの季語が詠み込まれた句を【例句】として挙げました。
なお、俳句の季語の季節感は旧暦によるものであり、ここに集めた季語は「夏」のものです。
青簾 / あおすだれ
【例句】青簾 好いた同士の 世帯かな
【作者】尾崎紅葉(おざき こうよう)
打水 / うちみず
【例句】打水に 木蔭湿れる 茶店かな
【作者】杉田久女(すぎた ひさじょ)
【補足】打水は、暑さをやわらげたりするために庭や道などに水をまくことです。
炎天 / えんてん
【例句】旅なれば この炎天も 歩くなり
【作者】星野立子(ほしの たつこ)
【補足】炎天とは、夏の燃えるような暑い天気のことをいいます。
雷 / かみなり、らい
【例句】山の雷 夕べの渓を 照しけり
【作者】長谷川かな女(はせがわ かなじょ)
【補足】「渓」の読みは「たに」です。
祇園会 / ぎおんえ
【例句】祇園会や 古き錦に 汗の玉
【作者】松瀬青々(まつせ せいせい)
【補足】祇園会は、京都・八坂神社(祇園社)の祭礼です。
金魚 / きんぎょ
【例句】やはらかに 金魚は網に さからひぬ
【作者】中村汀女(なかむら ていじょ)
【補足】金魚は室町時代に中国から渡来し、広く飼育されるようになったのは江戸時代になってからのことです。
【関連】 金魚の俳句
雲の峰 / くものみね
【例句】かさなるや 山々の峯 雲の峯
【作者】森鴎外(もり おうがい)
百日紅 / さるすべり
【例句】咲き満ちて 天の簪 百日紅
【作者】阿部みどり女(あべ みどりじょ)
【補足】「簪」の読み方は「かんざし」です。
【関連】 百日紅の俳句
七月/ しちがつ
【例句】七月や 既にたのしき 草の丈
【作者】日野草城(ひの そうじょう)
小暑 / しょうしょ
【例句】あぎともて 病後もの食ふ 小暑かな
【作者】皆吉爽雨(みなよし そうう)
【補足】小暑は、一年を 24等分して季節の名前を付けた二十四節気の一つです。
【関連】 小暑の俳句
白南風 / しろはえ
【例句】白南風の 夕波高う なりにけり
【作者】芥川龍之介(あくたがわ りゅうのすけ)
【補足】白南風とは、梅雨明けに吹く南からの風のことをいいます。
睡蓮 / すいれん
【例句】睡蓮に 旅の朝夕 さだめけり
【作者】長谷川かな女
蝉時雨 / せみしぐれ
【例句】いと低き 幹にも蝉や 蝉時雨
【作者】富安風生(とみやす ふうせい)
【補足】蝉時雨とは、多くの蝉の鳴声が聞こえる様子を、時雨が降るときの音に例えたものです。
【関連】 蝉時雨の俳句
大暑 / たいしょ
【例句】大暑過ぎ すでに秋思に 胸満たす
【作者】及川貞(おいかわ てい)
【補足】前述の小暑の次の二十四節気が大暑です。
【参考】 大暑とは?
【関連】 大暑の俳句
七夕 / たなばた
【例句】七夕や 夜空展け来 水の面
【作者】三橋鷹女(みつはし たかじょ)
【補足】七夕は奈良時代に中国から伝わった行事で、五節句(ごせっく)のうちの一つです。
【関連】 七夕の俳句
月見草 / つきみそう
【例句】天地の あひびき長し 月見草
【作者】三橋鷹女(みつはし たかじょ)
土用 / どよう
【例句】稲妻を さして水ゆく 土用かな
【作者】渡辺水巴(わたなべ すいは)
【補足】土用は雑節(ざっせつ)の一つで、『立春、立夏、立秋、立冬の前の約 18日間』のことです。
【参考】 土用は年に 4回もある?
【関連】 土用の俳句
土用干し / どようぼし
【例句】家ぢゆうが 仏間の暗さ 土用干し
【作者】鷹羽狩行(たかは しゅぎょう)
【補足】土用干しは、主に夏の土用に行なわれます。
夏の雨 / なつのあめ
【例句】夏の雨 草井に日影 残りけり
【作者】飯田蛇笏(いいだ だこつ)
夏川 / なつかわ
【例句】夏川に 濯ぎて遠き 子を思ふ
【作者】中村汀女
夏山 / なつやま
【例句】夏山の 意になじみたる 雲のいろ
【作者】飯田蛇笏
虹 / にじ
【例句】いづくにも 虹のかけらを 拾ひ得ず
【作者】山口誓子(やまぐち せいし)
【補足】「いづく」は「どこ(何処)」の意味です。
蓮 / はす
【例句】極楽や 清水の中に 蓮の花
【作者】正岡子規(まさおか しき)
日傘 / ひがさ
【例句】たゝまれて 日傘も草に 憩ふかな
【作者】阿部みどり女
【補足】「憩ふ」の読みは「いこう(=休憩するの意)」です。
日盛り / ひざかり
【例句】日盛に 知らぬ小鳥の 遠音かな
【作者】泉鏡花(いずみ きょうか)
【補足】遠音(とおね)とは、遠くに聞こえる音のことをいいます。
日向水 / ひなたみず
【例句】日向水 ひろごる雲を うつしけり
【作者】久保田万太郎(くぼた まんたろう)
【補足】日向水とは、日に当たって温まった水のことをいいます。
百日草 / ひゃくにちそう
【例句】蝶歩く 百日草の 花の上
【作者】高野素十(たかの すじゅう)
風鈴 / ふうりん
【例句】風鈴が あればかなしき 時あらん
【作者】細見綾子(ほそみ あやこ)
【補足】江戸時代の終わり頃になると、ガラス製の風鈴が作られるようになりました。
【関連】 風鈴の俳句
夕顔 / ゆうがお
【例句】夕顔に 干瓢むいて 遊びけり
【作者】松尾芭蕉(まつお ばしょう)
【補足】「干瓢」の読み方は「かんぴょう」です。
夕立 / ゆうだち
【例句】夕立に 幾人乳母の 雨やどり
【作者】森川許六(もりかわ きょりく)
【補足】夕立は、「ゆだち」「白雨(はくう)」などとして俳句に詠まれることもあります。乳母(うば)とは、母親に代わって子供を育てる女性のことをいいます。
【関連】 夕立の俳句
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